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第2話

Author: みそ汁
「お医者さんから、もう長くはないって言われたんです。

安心して、純一さんにはもう迷惑はかけませんから」

美優はまだ諦めていないようだった。

「H市で一番のがん治療の権威を紹介できるわ。その気があるなら、今からでも手配するから」

私は首を振った。「今はただ、両親ともう少し一緒にいたいです」

「それなら、最高のガイドさんを手配しましょう。ご両親を連れて、どこか気分転換にでも……」

彼女が言い終わる前に、母がその言葉を遮った。

母は、勢いよく立ち上がった。

「あなたはね、うちの娘を苦しめないと気が済まないの!?」

母の声は震えていた。

「出て行って!あんたも、あんたの冷酷非情な息子も、二度と私たちの前に現れないで!

うちの娘は、あんたたちに何も借りなんてないんだから!」

私が止める間もなく、美優は追い出されてしまった。

私は、くしゃくしゃになった白いシーツを握りしめた。

ぼうっとした後、母が家から持ってきてくれた本を手に取った。

捕まる前に、まだ読み終えていなかった本だった。

ページをめくると、折りたたんであったページの間から、私と純一のツーショット写真がひらりと落ちた。

写真は色褪せていたけど、私がブルースターの花束を抱え、純一に優しく抱きしめられている様子がはっきりと分かった。写真の中の彼は、笑っていた。

私はその写真を指でなぞり、一瞬、我を忘れた。

ぼうっとしている間に、母が急にそれをひったくって、粉々に引き裂いた。

そして、私の肩に突っ伏して泣きじゃくった。

私はそんな母をなだめながら、口の中に苦い味が広がるのを感じた。

「お母さん、もう全部終わったことだよ」

2週間化学療法を続けた後、私は治療をやめることにした。

腕は注射の跡で青あざだらけになり、髪は全部剃り落としてしまった。

長い入院生活は、まるで刑務所に戻ったかのようで、自由が恋しくてたまらなかった。

退院して、私は昔のワンピースを着て、ウィッグをつけ、薄く化粧をした。

まるで、病気なんてしたことがなかったかのように。

遺影を撮り、一番気に入った写真を手に、私は仏具店へ入った。

生きているうちに、自分の好きな骨壺を選んでおきたかったから。

私は、空色の骨壺を指さした。

「これにしよう」

それは空のようでもあり、海のようでもあって、どこにも縛られていない感じがした。

会計を済ませようとした時、後ろから、聞き覚えのある声がした。

「純一さん、この骨壺、ユキちゃんにぴったりだわ。きっと気に入るはずよ」

そこでようやく、彼女が指さしているのが私の手にある骨壺だと気づいた。

「紬さん!」

絢香は私だと気づくと、驚きと喜びが入り混じったような顔をした。

「どうしてここに?

その手に持ってる骨壺、譲ってもらえないかしら?」

彼女は目を赤くし、涙を浮かべていた。

「純一さんと私が飼っていた犬が、昨日死んでしまって。あの子、生前は……この色が一番好きだったの」

私は、きゅっと手に力を込めた。

私が断るよりも早く、純一は骨壺をひったくると、絢香に渡してしまった。

「こいつが持っていても、どうせ使い道がないんだ。許可なんていらないだろ」

純一は、私に向かって笑いかけた。

「親父があの世できっと寂しがってるからなぁ。お前が一緒に、あの世で親父の側にいてやるって言うなら、考えてやってもいいけどな」

絢香は骨壺を固く握りしめたまま、嬉しそうな表情を隠そうともしなかった。

私は拳を白くなるほど握りしめたけど、なんだか力が抜けてしまった。

他のことなら、なんだって譲れる。

でも、これだけはダメだった。

「だめ」

私は、きっぱりとした口調で断った。

「それは私が先に手にしたものだから。返してください」

様子を見にきた店員が、私たちの間に挟まれて困り果てていた。

「お客様。当店には他にも素敵な色やデザインのものがたくさんございますが、いかがでしょうか?」

絢香は、名残惜しそうに骨壺を見つめていた。

もう片方の手は、純一の袖口を掴んでいる。

「純一さん、でも私、この骨壺が本当に気に入ったの。きっとユキちゃんも喜ぶわ。

でも……もし紬さんもこれがいいって言うなら……」

絢香は、そこまで言うと言葉を濁した。

純一は眉をひそめた。

「紬、お前は昔から空色なんて好きじゃなかっただろ。たかが骨壺ひとつで、絢香と張り合うのか?」

私は笑った。

人は変わるということを、彼は知らない。
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