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第8話

Author: 日々バズり
「母さんは病気じゃない?どういうことだよ、それ!」

その一言に、誰もが息を呑んだ。

最初に動いたのは里中先生だった。捜査隊長をじっと見つめ、その表情は揺れている。

捜査隊長は冷ややかに里中先生を一瞥すると、脇の若い刑事に短く指示を飛ばした。

「事件に進展があった。現場の証拠品を押収し、関係者全員を署まで連行して事情聴取を行う」

母は弾かれたように立ち上がり、声を張り上げた。

「何をする気!私たちは殺人犯じゃない!どうして逮捕されなきゃいけないの!」

捜査隊長は鼻で笑った。

「殺人犯かどうかは、あなたが決めることじゃありません。連行しろ」

その言葉で、二人の警官が母を玄関のパトカーへ連れて行こうとする。母は激しく身をよじり、半狂乱になって泣き叫んだ。

「あなた!私、怖い!早く助けて!」

その叫びにも、父は一度も振り返らなかった。母とは別のパトカーに、まっすぐ乗り込んでいく。

「寛太まで私を見捨てるの!」

母の金切り声に、兄は苦しげに振り返り、ただ一言なだめるように言った。

「母さん、大丈夫だ。警察がちゃんと調べてくれるから」

やがて里中先生はもちろん、隣人ま
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    「母さんは病気じゃない?どういうことだよ、それ!」その一言に、誰もが息を呑んだ。最初に動いたのは里中先生だった。捜査隊長をじっと見つめ、その表情は揺れている。捜査隊長は冷ややかに里中先生を一瞥すると、脇の若い刑事に短く指示を飛ばした。「事件に進展があった。現場の証拠品を押収し、関係者全員を署まで連行して事情聴取を行う」母は弾かれたように立ち上がり、声を張り上げた。「何をする気!私たちは殺人犯じゃない!どうして逮捕されなきゃいけないの!」捜査隊長は鼻で笑った。「殺人犯かどうかは、あなたが決めることじゃありません。連行しろ」その言葉で、二人の警官が母を玄関のパトカーへ連れて行こうとする。母は激しく身をよじり、半狂乱になって泣き叫んだ。「あなた!私、怖い!早く助けて!」その叫びにも、父は一度も振り返らなかった。母とは別のパトカーに、まっすぐ乗り込んでいく。「寛太まで私を見捨てるの!」母の金切り声に、兄は苦しげに振り返り、ただ一言なだめるように言った。「母さん、大丈夫だ。警察がちゃんと調べてくれるから」やがて里中先生はもちろん、隣人まで全員が署へ連行された。取調室の中で、母はぐったりと椅子に座り込んでいた。「置物に付着していたのは娘さんの血液ですが、指紋は江角悦子さんのものです。どう説明しますか」「私、あのとき発作で……自分を抑えられなかったんです。わざとじゃありません!」警察が何を尋ねても、母は同じ言葉を繰り返すだけだった。「あなたは、娘に日常的な暴力を振るっていたのではありませんか」「違う!」母の声が裏返る。「あの子がわざとスカートを履いて、私を怒らせたんです。虐待なんかじゃない!」「そうですか」捜査隊長は別の調書をめくる。「ご近所の方々に話を聞いたところ、あなたは江角さんの留守中、頻繁に娘に手を上げ、ひどい言葉を浴びせていた。これについては覚えがありますね?」観察室の中で、父の顔色がみるみる土気色に変わっていく。10年以上の歳月のなかで、私が母に何度殴られたか、父はもう数えきれずにいた。止めようと思うたび、妻の「心の病」と里中先生の診断書が頭をよぎり、言いかけた言葉を何度も飲み込んできた。妻は病気なのだ。美緒は娘なのだから、わかってくれるはずだ。あの子は

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