LOGIN入口のすぐ近くにある内側のでっぱりを指で強く押され、私は堪らず男の胸に顔を埋めた。その瞬間、お兄ちゃんと同じ、あの清潔で上品な香水の香りが鼻先を掠め、私は無意識にそれを思いきり吸い込んでしまう。
脳がお兄ちゃんだと勘違いしたかのように麻痺し、そこからは堰を切ったように蜜が濡れてくる。 (イっちゃう……っ、でも、絶対にイクもんか……!) 見知らぬ男の手で汚される悔しさに必死で堪えるけれど、その拒絶を見透かしたかのようなタイミングで、クリトリスをきゅっと指先で摘ままれ、同時に内側のでっぱり――Gスポットを強く押し込まれた。 「ん、……っ!!」 堪えきれず、私は一瞬でイってしまった。男の分厚い胸筋に顔を埋めた状態で、躰がガクガクと小刻みに震える。声を漏らさないよう、痛いほど唇を噛み締めて耐えた。 けれど、休む間もなく、熱くて硬い、ぐっしょりと濡れたものが足の間に滑り込んできた。下着を隔てているというのに、恐ろしいほどの熱量が肌に伝わってくる。それがなんなのか、混乱した私の頭ではもう分からない。 ロングスカートの内側だけが、別の空間みたいだった。男は乗客の目の前で、ズボンの前を寛げ、剥き出しにしているのだ。 男はその熱い何かを、私の薄い下着を隔てた割目の正面にピタリと嵌め込んだ。そして、電車の小刻みな揺れに合わせて、その大きな塊を割目にゴリゴリと擦りつけてくる。 男は私の両尻をガッチリと掴んでもみくちゃにしながら、有無を言わせない力で腰をガツガツと押し付けてくる。電車の小刻みな揺れに合わせて、下着越しに擦りつけられる生身の熱い隆起は、私を壁へと縫い付けていた。 私の背中は冷たい壁、前からは男の質量。どこにも逃げ場はなかった。 正面から生身の熱が押しつけられるたび、脳は知らない男だと叫んでいるのに、躰は鼻先を満たす匂いだけで「お兄ちゃんに守られている」と錯覚し、壁に押しつけられたまま緊張を解いてしまう。 「っ……!」 あろうことか、私は壁に背中を張り付けられたまま、見知らぬ男の腕の中で、お兄ちゃんへの安心感に抱かれながらまたも卑しくも絶頂を迎えてしまった。 私が快感の波に呑まれ、男の胸の中でぐったりと躰を震わせた、その瞬間だった。 男の体が獣のように一度、大きく強張る。 お尻を掴んでいた男の手が、強引に私のショーツのゴムを引き下げ、隙間から自身の熱い塊を私のショーツに捻じ込んできた。 (え……っ!? やだ、なにか熱いのが――) 挿入こそされないものの、ショーツの内側の布地と私の肌の間に、男の生身が強引に滑り込んでくる。 恐怖で叫ぼうとした瞬間、逃げ場のない冷たい壁に向かって、男の腰がひときわ激しく叩きつけられた。 「……っ、ふ……!」 男の喉から、低く押し殺した熱い吐息が漏れる。 同時に、私のショーツの内側で、ドクドクと脈打つような熱い衝撃が溢れた。 男が身を引いた後、残されたショーツの中で、重く不快に肌にへばりついていく感覚が生々しく私を絶望させた。 次の駅についてドアが開いた瞬間、私は力が入らない足で半ば転がるようにしてホームへと飛び出した。 (……最低だ、私) 恥ずかしかった。 怖かったのに、途中から躰が言うことを聞かなくなっていた。そのことが、痴漢に遭ったこと以上に、自分を惨めにさせた。 立ち上がろうとしても、膝がガタガタと震えて力が入らない。 何より、動くたびにショーツの内側でドロリとしたものが太腿を伝って落ちていくのが分かって、余計に動けない。 パニックな頭で、スマートフォンを握り締める。液晶に浮かぶ「健くん」からの通知を見た瞬間――私の頭の中に浮かんだのは凌さんだった。 『痴漢に遭ったりでもしたら、すぐに俺に連絡するんだぞ』 涙で視界が歪むなか、私は縋るような思いで、健くんの通知を無視して凌さんの番号をタップした。 コール音が二回鳴っただけで、すぐに繋がる。 「……もしもし?」 自分でも情けなくなるほど、声が掠れていた。 『どうした』 凌さんの低い声。いつもと変わらない、落ち着いた声。それだけで、目の奥が熱くなった。 「あの……電車で、痴漢に……」 『今どこにいる』 「S駅の、ホーム、のベンチ……っ、う、ぅく……っ」 私はただ、子供のように泣きじゃくった。 『分かった、動くな。今すぐ行くから、そこで待ってろ』 いつもの冷静な声を少しだけ乱して、凌さんはそう言って電話を切った。 ――それから、本当にすぐだった。 数分もしないうちに、人混みを掻き分けて凌さんが走ってきた。息を切らし、彼は私の前に膝をつくと、何も言わずに私をその大きな腕で力強く抱き締めた。 凌さんの広い胸に顔を埋めると、朝の玄関で嗅いだ清潔で上品な香水の香りが、私の鼻先を掠めた。 (ああ……お兄ちゃんの、匂いだ……) 痴漢とは違う、私を包み込んでくれる優しい匂い。 「怖かったな」 低い声が、頭の上から降ってくる。 「……うん」 泣いた。声を押し殺して、凌さんのスーツを握り締めて、泣いた。 この手に守られている限り、私は安全だ――。 (お兄ちゃん……。よかった、お兄ちゃんが来てくれて……) 不思議だった。 さっきまであんなに震えていたのに、凌さんの腕に包まれた瞬間、強張っていた体の力が、嘘のように抜けていく。 「今日は大学を休め」 凌さんが私の顔を覗き込み、親指で涙を拭う。私は、擽ったさに目を細めた。 「家でゆっくり休もうな。今日はずっと、俺が傍にいる」お兄ちゃんはためらいもなく通話ボタンを押し、スピーカー状態にしてベッドに放り出した。 『もしもし!? 大丈夫!? どこ消えちゃったの、具合悪いの!?』 受話器から聞こえる、健くんの心配そうな声。 優しい。本当に優しい声。 ――でも、その優しさを、私は最初から求めていなかったんだ。お兄ちゃんが健くんに似てたんじゃない。健くんが、お兄ちゃんの底なしの優しさに、ほんの少し似ていただけ。私の本物は、お兄ちゃんだけ。 「ほら。健に正直に伝えないと、可哀想だろ?」 お兄ちゃんが背後から、私の腰を強引に掴んで激しく突きまくった。 「た、たけるくぅんっ……あ、ぁあっ♡」 『え!? どうしたの!? お腹痛いの!?』 「だいじょーぶ、ふあ♡なんでも、ないのぉ♡」 お兄ちゃんは、電話の向こうの健くんに聞こえよがしに、私の最奥を容赦なく突きまくった。 もう、喘ぐことしかできない。脳の芯までお兄ちゃんの硬さと熱さでドロドロに溶かされて、何も考えられない。 「おにいちゃ、きもちいっ♡きもちいっ♡♡」 『え……? 誰、誰といるの……?』 「健のより、いいか?」 お兄ちゃんの低い声がスピーカーに拾われる。 「ぜんぜん、ちがう……っ♡」 「どこがだ?」 「かたしゃも……おおきしゃもっ♡にゃがさもぉ……っ♡おにいちゃ、すき♡すきぃっ♡ずっと嘘ついててごめんねぇっ」 「――許してやる」 お兄ちゃんの低く満足げな声とともに、最奥にこの日一番の熱い衝撃がドクドクとぶちまけられた。 「ひ、あぁあああーーっっ♡♡♡」 私は受話器の向こうの恋人の存在すら忘れて、お兄ちゃんの極上の狂気の中で、正気を失って絶頂した。 気付いた時には、電話はとっくに切れていた。それがいつ切れたのか、健くんがどんな絶望の声を上げたのか、もう私にはどうでもよかった。 ※ ※ ※ あの日から、私はもう大学には行っていない。 何回か、エントランスのインターフォンが鳴ったような気もするけれど、今の私にはそんなことはどうでもよかった。それよりも、ようやく気持ちが通じ合ったお兄ちゃんと一緒にいることの方が、ずっと大事だった。 ベッドの上。大きなクマのぬいぐるみが、私のお腹の下に敷かれている。 お尻を高く持ち上げさせられるための、淫らな台座。 その体勢の
認めてしまえば、驚くほど簡単で、気持ちがすっと楽になった。 「おにいちゃ、おにいちゃっ……きもちい、気持ちいいよぉ♡」 お兄ちゃんは一度、私の最奥に熱い精液をぶちまけて身を引き、自身を抜いた。 私は達した余韻で立っていられなくなり、その場に座り込んだ。 大きな手が私の頭を優しく撫でてくる。 顔を上げると、お兄ちゃんが私を熱のこもった目で見下ろしていた。 「これが、欲しかったんだろ?」 「うん♡うん、お兄ちゃん……っ♡素直になれなくて、ごめんなしゃい……♡」 「もっと味わっていいんだぞ」 お兄ちゃんは萎えたそれを私の口元に差し出した。 優しい声音だった。 私の頭を撫でながら、髪をくしゃくしゃと掻き乱す、いつもの動作。 私は迷わず、お兄ちゃんのそれを口に頬張った。 私は舌を伸ばし、それを熱く、いやらしく舐めとる。さっき私がイッて溢れ出た私の愛液と、お兄ちゃんの精液が混ざり合った、濃厚な味。……お兄ちゃんの味がする。 私は、お兄ちゃんのそれを一生懸命に舐めながら、視線を上に向けた。 「お兄ちゃん……わたしのこと、妹と思ったことないって、ほんとう……?」 「ずっと、そんなことで悩んで素直になれなかったのか?」 「うん……っ。おにいちゃん、いつからわたしのことすき?」 「お前が……六歳の頃から……。俺はおかしいと思った。子供を変な目で見る大人だと。でも、お前以外を見てもなんともなかった。それに、お前が成長していってもその思いは消えなかった。俺はお前をずっと愛してた」 きゅう♡と子宮が啼いた。 今度は、認めることにした。私の子宮はお兄ちゃんを求めて切なく啼いてる。 「俺が告白しようとした矢先に、他の男に……」 お兄ちゃんの瞳がどろりと嫉妬の炎で揺らぐ。私は怖いと思わなかった。ただ、た、だ……。 「わたしたち、さいしょからりょうおもいだったんだね♡♡」 私は立ち上がって、入口ドアに両手をついてお尻を高く上げた。お兄ちゃんの硬いそれが入りやすいように。 「ちっちゃいころから、ずっと……ずっとお兄ちゃんのこと、好っ!」 言い終える前に、私はお兄ちゃんの屈強な腕で軽々と持ち上げられ、背後から突き上げられた。 お兄ちゃんに背後から抱きすくめられ、私の両太腿をがっちりと腕で抱え込まれる。私の爪先は宙に
――私は、自分にそう言い聞かせた。 きゅう、と子宮が切なく啼く。 「私は、ないてない……」 声に出して否定する。 心は否定しているはずなのに、私の肺は凌さんの香りを思いっきり吸い込んだ。 私の手は――クマの手を掴んだ。 私はクマのふわふわした手を引き寄せて、自分の両脚の間に挟み込んだ。 クマの手が、スウェット越しに私の股間の中心――いちばん敏感な場所のあたりにピタリとハマる。 「……ぁ」 ただ挟んでいるだけ。 なのに、ふわふわした柔らかさと、そこから漂う凌さんの匂いが、私の躰をじじじっ、と熱くさせていく。 ――気付いたら、私はスウェットをショーツごと脱いでいた。 無意識のうちに、そのクマの手を割目に押し付けて、腰を前後に動かし始めていた。 (わたしは、こんなことっ、こんなことしたくないのに……っ) 心は拒絶しているのに、躰は、あの大人の大きな手を求めていた――狂おしいほどに。 クマの手を挟み込んだまま、お尻をきゅっと上へと持ち上げる。 ふわふわした触感の手が、私の割目に入り込んで、秘部をぐりぐりと、規則正しく押し潰していく。 (やだっ。私、何してるの……っ!) やめようと思うのに、凌さんの匂いが脳に浸透して、脳を蕩けさせ、腰の動きは止まらない。 クマのぬいぐるみのガラスの目と視線が合う。まるで、レンズのように、私の卑しい姿を見下ろしているような錯覚に陥った。 私は、その羞恥を掻き消すように、クマの顔に自分の顔を押し付け、凌さんの匂いをこれでもかと吸い込みながら、更に激しくクマの手に秘部を擦りつけた。 クマのふわふわ部分が濡れたクリトリスを、引っ張る痛さが堪らなく気持ちいい。 ふわふわ部分が、秘部に食い込んでいく。挿入されている気分になっていく。 私の脳は、快感しか考えられないように堕ちていく。 でも、でも、これでもまだ。 私は、お兄ちゃんでこうなっているとは認めていない。 「あ、ぁぁっ♡ふっ、んぁ♡」 私は、クマの顔を涙と涎で汚しながら、クマの手が与える快感に身を委ね続けた。 ※ ※ ※ 休日。私は健くんとショッピングモールでデートをしていた。 「これ、君に似合いそう!」 「本当? 嬉しい、健くん大好きだよ♡」 私は自分の腕を健くんの腕に
「どうしてここにっ」 「お前の後をつけてた」 「……部屋番号まで」 「フロントに顧客がいる」 凌さんはそう言って、強引に私を部屋の奥へと押し込んで、そのままベッドへと押し倒した。 その勢いで、バスローブの前は簡単にはだけて、私の胸が暗い蛍光灯の下に晒された。 バスローブの襟元を閉めようとしたけど、私の両手は凌さんから簡単に捕らえられる。 抵抗する私の力なんて、もろともされていなかった。 「いや、やめて! お兄ちゃんに触られたくない、触らないでっ……!」 「時間がない。大人しくしろ」 冷たい瞳で私を見下ろす凌さん。健くんのために綺麗に洗ったばかりの体が、またしてもお兄ちゃんの手で汚されていく。 感じてなんていない。違う。私が好きなのは、優しくて大好きな健くんで――。 「ひ、あぁっ……!?」 何の前触れもなく、凌さんの巨大な質量が、私の秘部へと一気に突き立てられた。 拒絶でカラカラに乾いていたはずなのに、凌さんの熱を受け入れた途端、私の躰は驚くほどドロドロに濡れそぼって彼を迎え入れてしまった。なんで、どうして私の躰なのに、言うことを聞かないの……!? ドス、ドス、とベッドを軋ませる激しい律動。 激痛に近い衝撃のなかで、凌さんのペニスは、私のいちばん感じてしまう良いところだけを、寸分の狂いもなく正確に抉り潰してくる。 「あ”っ、んぁ♡うそ、らめっ、らめぇっ……!」 目の前がチカチカと明滅する。違う、ダメ、こんな乱暴な、酷いエッチで、私がイッちゃうなんて絶対にダメなのに――。 ――ガララ。 その時、浴室のドアが開く音が、やけに鮮明に室内に響き渡った。健くんがシャワーを終えて出てくる。 その気配を察した瞬間、凌さんは躊躇なく、私の中から自身をずるっと引き抜いた。 そして、何事もなかったかのような手つきで素早く服を整えると、音もなく部屋を出て行ってしまった。 パタン、と出入口のドアが閉まったのと、ほぼ同時だった。 「お待たせー! いやあ、いいお湯だった……」 健くんが寝室へと戻ってくる。 私は心臓が口から飛び出しそうなほどの恐怖のなか、はだけた前を隠すように、彼に背を向けた状態で必死にバスローブを整えた。 「う、うん! 健くん、おかえり……っ」 声の震えを誤魔化しながら、ベッドの上で
「ど、どうして……っ? どうしてなの、おにいちゃっ……!」 「静かにしろ。大声を出すと、健に全てバレるぞ」 耳元で凌さんが囁く。 凌さんは背後から私のロングスカートの裾を乱暴に捲り上げると、あの電車の時と全く同じように、私の脚の間に、前を寛げた自身の生身を割り込ませてきた。下着一枚を隔てて、熱量が肌に突き当たる。 「気のせいか? 随分と、最初から濡れているな?」 「濡れて、なっ……!」 さっきまでベッドの上で凌さんの匂いを嗅いでオナニーをしていたなんて、絶対に認められない。 「やめて、お願いだから、やめてっ……!」 「お前の好きなように、動いてやるよ」 恋人に囁くような優しい言い方。けれど、与えられる圧は少しも優しくない。 薄いショーツを隔てて、割目を熱い塊がゴリゴリと激しく擦れる。クリトリスに、凌さんの亀頭が擦りつけられ、快感が脳を焼き切りそうになった。その時――。 「――あ、ごめん! ちょっとトイレ貸してー!」 すぐ近くの寝室から、健くんの無邪気な声が響いた。 「っ!?」 全身の血の気が引く。心臓が爆発しそうなほどの恐怖のなか、凌さんに押し潰されながら、必死に声を振り絞った。 「う、うん、どうぞ……っ!」 平静を装う私の声。 凌さんはまだ膣には挿れていないというのに、健くんがすぐそこにいる恐怖と背徳感の中で、電車の揺れのように激しく腰をピストンさせてくる。擦り付けられるだけの摩擦なのに、あまりの快感に、まるで本当に奥まで入れられているような錯覚に陥っていく。 「ん、あ、あぅ……っ!」 狂ってしまいそうな声が出そうになった瞬間、凌さんの骨ばった大きな手が、後ろから私の口を塞いできた。 「ぐっ、むぅ……っ!?」 声を奪われたまま、背後の壁――ううん、凌さんの屈強な肉体に縫い止められ、ただただ擦り付けられる衝撃に身を委ねる。 健くんがすぐ隣のトイレに入ったその瞬間、凌さんの躰が獣のように強張った。 凌さんの剥き出しの熱がドクドクと脈打ち、限界を迎える。 凌さんは私のロングスカートの裾を捲り上げたまま、空いた手で私のショーツのクロッチを後ろからぐいっと指で引っ張った。 ゴムが伸びて、私の秘部とショーツの間に、ぽっかりと隙間が作られる。 凌さんはその隙間を狙うようにして、
※ ※ ※ あの夜から、凌さんとは一度も顔を合わせていない。 凌さんが忙しいのか、それとも私が避けられているのか……それすら分からないまま、私はただ自室のベッドの上で呆然と日々を過ごしていた。 気付けば、私はベッドの上で凌さんからプレゼントされたあの大きなクマのぬいぐるみを抱き締め、そのフカフカの毛並みに顔を埋めていた。 鼻先を掠めるのは、あの清潔で上品な、大好きな香水の香り。 ドクン、と下腹部が切なく疼く。 ――無意識だった。私の手が、自分の胸へと伸びていた。 「んぁ……っ」 服の上から自分の胸を揉みながら、小さな喘ぎ声が漏れる。指先で乳首をパチンと弾きながら、たまらなくなって太もも同士をぎゅっと擦り合わせた。指の腹で、硬くなった先端をぐりぐりと押し潰す。 「違う――っ」 ハッと息を呑んで、自分の口から出た言葉に戦慄した。何も違わない。何を言っているの、私。 やめよう、こんなことしちゃダメだ。そう思うのに、私の意思とは関係なく右手は吸い寄せられるように股間へと伸びていく。 ショーツの下に熱い手を忍ばせ、クリトリスを人差し指で円を描くように弄って、爪先で弾く。いつも通りの、自分がしてきたはずの触り方。でも、頭の隅で「何かが違う」と拒絶する私がいる。 凌さんの香水を、ぬいぐるみの毛並みから深く、深く吸い込んだ。その瞬間、私の意思とは裏腹に、お尻が無意識のうちにキュッと上へと持ち上がってしまう。 クマのぬいぐるみにお顔を強く押し付けたまま、腰を浮かせる。 (違う、私は、こんなことしたくない……っ!) でも、この体勢は、これじゃあまるで――重い何かを、待っているみたいじゃない。 『そんなふうに思っていたのは、お前だけだ』 凌さんの言葉が頭の中に浮かんだ。 あの言葉の意味を、私は分かり兼ねている。 『――俺は、お前を一度も妹だと思ったことはない』 じゃあ、お兄ちゃんは今まで私をどう思っていたの? 私の膣を埋めた凶暴な狂気。 『男』の顔をして、瞳に映った独占欲――私がほしいって言ってるみたいだった。 (そんなはずないっ) お兄ちゃんが私に欲情する理由なんてない。 ただ、私に彼氏ができたことが気に喰わなかっただけで……。 (そんな理由で、私を襲うなんて最低)







