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第28話

作者: 壽倉雅
last update 公開日: 2026-09-20 22:55:47
 余命宣告の件を伝えてからというもの、彩花はさくらと健太に支えながら、何とか日々の業務に従事していた。

 体調は日に日に悪化していく一方だったが、それでも彩花は仕事をしている間こそが自分らしくいられると思い、少しの体の不調で休みたくはないと思っていた。彩花の中では、むしろここで音を上げると、自分自身に負けることを意味すると考えていた。

「彩花、大丈夫?」

 さくらが声をかけてきた。

「うん。これぐらいなら、何とかね」

 ずっとパソコンの画面を見続けていると、時折めまいや立ち眩みが酷くなる時がある。しかし、パソコンの画面も見れないようでは仕事にはならなかったので、彩花は視界がぼやけると一旦目を閉じて、少しの休憩を取るようにしていた。

「中間報告書の書類、俺が作ろうか?」

 健太が名乗りを上げてきた。彩花は、隼人を始め『神宮寺ホールディングス』の役員たちに、出資を経てから現在までの中間報告をまとめた報告書を作成している最中だった。細かい数字や報告内容を考えると、それだけで大きな負担になっていた。

「もう少しで終わるから、大丈夫」

 少し息が荒くなっていたが、彩花は何とか笑ってごまかした。

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     余命宣告の件を伝えてからというもの、彩花はさくらと健太に支えながら、何とか日々の業務に従事していた。 体調は日に日に悪化していく一方だったが、それでも彩花は仕事をしている間こそが自分らしくいられると思い、少しの体の不調で休みたくはないと思っていた。彩花の中では、むしろここで音を上げると、自分自身に負けることを意味すると考えていた。「彩花、大丈夫?」 さくらが声をかけてきた。「うん。これぐらいなら、何とかね」 ずっとパソコンの画面を見続けていると、時折めまいや立ち眩みが酷くなる時がある。しかし、パソコンの画面も見れないようでは仕事にはならなかったので、彩花は視界がぼやけると一旦目を閉じて、少しの休憩を取るようにしていた。「中間報告書の書類、俺が作ろうか?」 健太が名乗りを上げてきた。彩花は、隼人を始め『神宮寺ホールディングス』の役員たちに、出資を経てから現在までの中間報告をまとめた報告書を作成している最中だった。細かい数字や報告内容を考えると、それだけで大きな負担になっていた。「もう少しで終わるから、大丈夫」 少し息が荒くなっていたが、彩花は何とか笑ってごまかした。「中間報告会、私が代わりに行ってこようか?」「さくら……」「今の彩花には、中間報告会でプレゼンするのは負担が大きすぎる。かえって、向こうの人たちに余計な心配かけさせるだけだよ」「そうだよね……」「体調不良のため欠席、急遽私が代役で報告をするってことで、当日向こうの人に話せば分かってもらえるでしょ。それに、神宮寺社長だって出席するんだから」 彩花は黙ってしまった。建前上『ビジネスとしての付き合い』と言って、隼人の婚約者のフリを断ってからというもの、ほとんど連絡は取っていない。それは、仕事に関してもそうだった。また、どこかで自分の病気のことを隼人に気づかれてしまうのではないかという怖さもあった。「あの社長のことよ。彩花が体調不良だなんて聞いたら、顔色変えてお見舞いに来るかもしれないよ」 苦笑してさくらは言ったが、健太は怪訝な顔になる。「いや、その神宮寺社長も今は難しい立場にいるかもよ」 ビジネスに関する時事的な出来事に過敏な健太は、噂レベルではあるものの、隼人の両親が行おうとしている新規事業のことを把握していた。「じゃあ、共同で事業をスタートさせたら、そのもう一つの会社

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