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第4話

Author: 白団子
本当は、開人のことを信じたかった。

でも......どうやって信じろというのだろう。

彼の身体にはまだ、あの女の香水の匂いが残っていた。

シャワーを浴びたというのに、洗い流しきれていない。

そして、シャツの襟元には、かすかに見えるキスマークが......

開人、お願いだから教えて。

一体どうすれば、信じられるの?

南は眉を寄せて開人を見つめた。

目には深い悲しみが宿っていた。

だが、開人はそんな彼女に微笑み、親しげに鼻先を指先でつついた。

そして、ブルーダイヤの指輪を彼女の指にはめながら、ふざけるように言った。

「悪い子だな。人を疑っておいて、自分が泣きそうになってどうするの?」

彼はそっと彼女の頬に伝う涙を拭ってやった。

「ほら、もう泣くなって」

「まずは指輪を先に。ネックレスとブレスレットは、夜の花火のときに渡すから」

そんな優しさに満ちた開人の顔を見ていたら、南はふと、真実を暴くこと自体がどうでもよく思えてきた。

彼女はもう、限界だった。

泣きすぎて目が赤く腫れ上がり、心はぐちゃぐちゃに崩れていたというのに、開人は終始、完璧な振る舞いを崩さなかった。

どこにも隙がなかった。

......負けた。

完敗だった。

「最初に好きになった方が負ける」なんて言葉があるけれど、後から好きになった自分だって、惨めなくらい負けてしまった。

その後、開人は「世界一の夫」としての役を、完璧に演じ続けた。

彼女が少しでも喉を潤したそうにすれば、すぐに水を差し出し、果物もフォークに刺して、手が汚れないように口元へ運んでくれる。

太陽が強く照りつければ、彼女に日傘をさし、その角度すらも彼女の方へ傾けて......

そんな至れり尽くせりの優しさに包まれながら、南の胸には虚しさだけが広がっていった。

ふと、彼女は思わず問いかけてしまった。

「どうしてそこまで、私に優しくするの?」

愛してないのなら、そう言って離婚すればいい。

まだ愛しているのなら、どうしてこんなに残酷なことをするの?

「だって、君は俺の妻だよ? 君に優しくしないで、誰に優しくするの?」

開人は当然のように言った。

「それに、約束するよ。今だけじゃない。これからも、もっともっと君を大切にする。

君がおばあちゃんになっても、俺は君をこの世界で一番幸せなおばあちゃんにしてあげる」

南は、それ以上なにも言わなかった。

心の中で、ただひとこと思った。

開人、自分たちに『これから』なんて、もうないよ。

そのとき、南のスマホが震えた。

画面を見ると、弁護士からのメッセージだった。

【結城さん、離婚協議書が完成しました。今すぐお届けできますが、ご自宅にいらっしゃいますか?】

同時に、開人のスマホも震えた。

彼は画面を見て、一瞬の間に喉がごくりと鳴り、瞳が少しずつ深く濁っていく。

この表情を、南はよく知っている。

それは、彼が欲望に支配されたときの顔。

南は、つい彼のスマホに視線を落とした。

画面には、黒いストッキングに包まれた脚が写っていた。

そして、次のメッセージが続けて届いた。

【お城のトイレ、3番目の個室。5分以内に来て。過ぎたら知らないよ♡】

開人ははっきりと呼吸を乱し、画面を素早く消した。

「南、ちょっとトイレ行ってくる。すぐ戻るから」

そう言い残して、彼は急ぎ足でその場を離れた。

その目には、黒ストッキングの羽彌しか見えていなかった。

そして、彼は気づかなかった。

南がずっと彼のスマホを見ていたことに。

見に行こう。

南は思った。

今度こそ、完全に諦めるために。

目で見たことだけが真実。

彼の言い訳にも、もう耳を貸さない。

自分をごまかすのも、これで最後にする。

そう決意して、南は彼のあとを追った。

そして彼女が目にしたのは、トイレにたどり着く前、開人が羽彌を抱きしめていた光景だった。

羽彌は「アナと雪の女王」のエルサの衣装を着ていた。

二人は、トイレの前で激しく唇を重ねていた。

持ち上げられた羽彌のプリンセスドレスの下には、黒いストッキングが覗いていた。

「ディズニーのプリンセス衣装の中に、黒ストッキング仕込んでるのかよ?」

開人は苦笑しながら、彼女の頬をつまんでからかうように言った。

「ほんと悪魔だな。純粋なおとぎ話まで汚しやがって」

羽彌は色っぽく目を細めながら、囁いた。

「ふふ、気に入らなかった?」

「気に入ったさ」

開人はふたたび彼女にキスを落としながら言った。

「......行こうぜ、中で......もっと汚してやるよ」

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