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第53話

Author: 霜晨月
last update publish date: 2026-01-08 17:36:19

周歓が呆然と立ち尽くすうち、沈驚月がいつの間にか音もなく忍び寄っていた。

「あちらを。あの方こそ、兄者が探し求めておられる斉王殿下ですぞ」

周歓が沈驚月の指し示す先へ目をやると、一人の男が隅の個室に座し、数人の友人と談笑しながら豪快に酒を酌み交わしている姿が映った。

周歓が興味津々に男を窺っていると、その斉王は二人の視線に気づいたのか、ふとこちらを振り返った。

目が合った瞬間、周歓は思わず息を呑んだ。

──似ている!

斉王と蕭晗は、顔立ちが驚くほどよく似ている。特にその双眸は、まるで蕭晗そのものではないか。

ただ蕭晗と違うのは、斉王の方が明らかに年嵩であることだ。齢は少なくとも四十を越え、その鋭い眼差しには、世の荒波を乗り越えてきた者だけが持つ深みが滲んでいた。

「おお、静山せいざんではないか」

沈驚月の姿を認めるや、斉王は己が太腿をぽんと一つ叩き、席を立つと大股で二人のもとへ歩み寄ってきた。

「斉王殿下、ご無沙汰しております。お変わりなくご壮健なご様子、何よりです」沈驚月は恭しく一礼し、微笑を浮かべた。

「静山も相変わらず凛々しいではないか!」斉王は沈驚月の肩をばしりと叩き、
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  • この男、毒花の如く   第49話

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  • この男、毒花の如く   第43話

    万感の思いを胸に、周歓はゆるりと洛陽の都を後にした。洛水のほとりまで来ると馬を降り、橋の袂の柳に手綱を預ける。川辺へと歩み寄り、掬い上げた清冽な水で顔を洗った。水面のさざ波が凪いでいく。その静まった水の上に、ふと見慣れた人影が映り込んだ。周歓ははっと息を呑み、弾かれたように顔を上げた。橋の上で、深青の衣をまとった人影がひらりと身を翻し、足早に去っていくのが見えた。「陛下……?」

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  • この男、毒花の如く   第41話

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