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第77話

Auteur: 霜晨月
last update Date de publication: 2026-02-03 15:30:42

「どうした」

周歓は何事かと、己の手をかざして見つめた。どうやら今日は弓の稽古に没頭しすぎたらしい。左手の親指に、いつの間にか血豆が潰れた痕ができていた。

「血が出ているではないか!なぜ早く言わぬ!」

阮棠は眉をひそめ、咎めるような眼差しを向けた。

「いや……俺自身、気づいていなかった」

周歓は後頭部を掻きながら笑った。

だが、次の瞬間。彼は身動きもできずに立ち尽くした。

阮棠が周歓の手を取るや、ふいと顔を寄せたのだ。傷口に、柔らかな感触が触れる。阮棠はその薄い唇で、傷から滲む血をそっと吸い上げた。

周歓は呆然と阮棠を見つめていた。一瞬にして、思考が白く染まる。

周歓の動揺に気づく様子もなく、阮棠はしばし丁寧に血を吸い出すと、ようやく顔を上げた。

視線がかち合った途端、阮棠ははっと我に返ったように動きを止めた。そして気まずげに周歓の手を振りほどくと、視線を逸らして軽く咳払いをする。

「……山育ちの悪い癖だ。止血にはこれが一番早い」

周歓の胸の内に、突如として熱い奔流が沸き起こった。それは行き場を失った溶岩さながらに、胸の内で激しく逆巻く。

阮棠は何食わぬ顔で横を向いたが、気のせいか、
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