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第581話

Author: ルーシー
愛莉がいなくなったと知った瞬間、玲奈の胸にあったのはただ一つの思いだけだった。

――すべてを手放してでも、娘の無事と引き換えたい。

その愛莉がいま、こうして目の前にいる。

張りつめていた胸が、ようやく落ち着いていった。

玲奈は汚れなど気にせず、愛莉の頬に自分の頬を寄せ、震える声で言った。

「無事でよかった……無事でよかった……」

そう言いながら、涙がこぼれる。

愛莉は少し胸が痛み、小さな手で玲奈の頬を包んで、顔の涙を拭いた。

それを見て、玲奈の心はさらに乱れた。

この瞬間、娘が戻ってきたように感じた。

愛莉は涙を拭きながら言った。

「ママ、泣かないで。

かわいくなくなっちゃうよ」

玲奈は嗚咽をこらえて頷いた。

「うん……泣かない。泣かないわ……」

傍らに立つ拓海は、母娘の一部始終を見つめていた。

いまの玲奈が痛ましくてならない。

雨はまだ止む気配がない。

強くはないが、それでも三人を濡らしていく。

玲奈も、愛莉も、拓海も、みすぼらしい姿になっていた。

玲奈は愛莉をいったん下ろすと、娘の前にしゃがみ込み、腕を取って左右を確かめた。

そして不安そう
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