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第三十八話

Auteur: 夏目若葉
last update Date de publication: 2024-12-31 14:45:05

「話変わるけど、これは由依が書いたのか?」

 ケーキを切り分け、紅茶を淹れていた私に、ジンが不意に話しかけてきた。

 なんのことだろうかと視線をジンのほうへ向けた途端、焦って熱い紅茶をこぼしそうになってしまう。

「なんでそれを持ってるの!」

「来たときに由依がリビングにいなかったから、向こうの部屋かなと思って覗いたら机にこれが置いてあった」

 ジンが薄い冊子を片手でヒラヒラとさせながら私に笑いかけているが、他人の私物を勝手に持ち出したのだから、少しは悪びれてもらいたい。

「面白い話だな」

「読んだの?!」

「で、これは何の台本?」

 ジンの手元からそれを奪おうと思ったけれど、先ほどのスマホの二の舞だ。

 無理に奪えるわけがないとわかりつつドタバタと跳ねていたら、片手で腰を掴まれる形でジンに捕まって……そのまま軽く引き寄せられた。

 その彼の行動に、一瞬で心臓がドクンと跳ね上がる。

 身体が密着している……そう思うと、緊張と羞恥と混乱で顔の温度が急上昇した。

「俺の質問に答えてよ」

「それは、昔私が書いた舞台の脚本」

「舞台?」

「高校の演劇部の。後輩に頼まれたの」

 昔から私には物語
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