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第412話

Author: ラクオン
一真が立ち去ると、梨花はかえって言葉を失ってしまった。

ただ墓の傍らに座り込み、静かに両親を見つめ続けた。

長い時間が過ぎ、立ち上がろうとした時には、足が痺れて何千匹もの蟻に噛まれているような感覚に襲われた。

名残惜しさを感じながら、ゆっくりとお寺の入り口へ向かって歩いていると、山を登ってくる人たちとすれ違った。

「梨花?」

その中の一人が彼女の顔立ちに目を留め、振り返って慌てて追いかけてきた。

「梨花でしょ?」

梨花は急に足を止め、目の前の女性を見つめた。

見覚えはあるが、懐かしさよりも他人行儀な空気が勝るその女性。

叔母の佐藤由衣(さとう ゆい)だ。

かつて両親が亡くなった後、親戚はこの叔母だけだった。

しかし叔母は梨花を引き取ることを拒んだ。

そのせいで梨花は児童養護施設に入ることになったのだ。

もっとも、梨花はそれを恨んでいない。

赤の他人を家族に加えるのを嫌がるのは当然だからだ。

由衣は彼女の顔をはっきりと確認すると、確信したように言った。

「やっぱり……兄さんと義姉さんのお墓参り?」

梨花は頷き、一応挨拶をした。

「おばさん」

以前もお墓参りに来た時に、一、二度顔を合わせたことがあった。

由衣は彼女の目がクルミのようにパンパンに腫れているのを見て、長くため息をついた。

「新しい薬を開発したこと、ニュースで見たわ。すごいのね」

梨花は唇を引き結んだ。

「ええ……」

あまりに疎遠すぎて、梨花は何と返していいか分からなかった。

「こんなに立派になって……」

由衣は何かを言いかけてはやめ、少し不憫そうな表情を見せた。

「実は……」

梨花は眉をひそめた。

「何ですか?」

「実はね……」

由衣はお墓の方を一瞥し、意を決したように深呼吸をした。

「あなたもこんなに立派になったんだし、本当の親を探してみてもいいんじゃないかと思って」

言い終えた彼女は、どこか肩の荷が下りたような様子だ。

梨花は雷に打たれたように立ち尽くし、しばらく呆然としてからようやく思考を取り戻した。

「どういうことですか?」

本当の親を探すって?

「あなたは、うちの家の子じゃないのよ……」

肝心なことを口にしてしまうと、残りの事情を話すのは由衣にとってずっと容易だ。

「本当の梨花は、とっくの昔に死んでるの。

あの子が亡く
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