تسجيل الدخول夕食を終えた後、千鶴と海人はようやく立ち上がって暇を告げた。梨花はポーチの下に立ち、テールランプが角に消えていくのを見送ってから、竜也の腕に抱きついた。「私、あったかいお風呂に入ってさっぱりしてくる」「行こう」竜也は彼女の少し冷たくなった指先を握り、一緒に背を向けて二階へ上がった。梨花がお風呂から上がってきた時、竜也はすでにソファで待っていた。傍らにはヘアドライヤーが置かれており、彼女が出てきたのを見ると手招きした。「こっちへおいで」梨花は歩み寄り、慣れた様子で彼の前のクッションの上にぺたんと座り、彼に背を向けた。男の長く美しい指が彼女の濡れた髪の間に入り込み、温かい風が頭皮を心地よくリラックスさせた。彼の動作はすでに手慣れたものだったが、指先が時折彼女の耳の輪郭を掠めるたび、かすかに痺れるような感覚が走った。数分後、竜也は電源を切り、指先で毛先の乾き具合を確かめてから、ドライヤーを傍らに置いた。「よし、乾いたぞ」しかし梨花は立ち上がらず、そのまま座ったままうつむき、何かを考えているようだった。竜也はそれを見抜いた。「何を考えてる?」梨花はためらうことなく、顔を上げて彼を見た。「千鶴姉さん……また何か厄介なことに巻き込まれたの?」今日、千鶴は午後中ずっと彼女に付き添ってくれていて、彼女の前では何も気にするような素振りを見せなかったが、それでも梨花は直感的に、千鶴に何かが起きていると感じていた。ただ、それがネットのあの厄介なニュースのせいなのか、それとも何か別のことなのかは分からなかった。竜也に聞いてみないと、どうしても心配で仕方なかったのだ。「まあな」竜也は目を伏せて彼女を見つめ、手を伸ばして彼女のガウンの襟元を直してやった。「雅義のあの声明は、表面上は彼女を庇っているように見えて、実際には彼女を逃げ場のないところへ追い詰めているんだ。彼は今、これまでの離婚に関する世論をすべて『ただの些細な誤解』だったと作り替えた。千鶴姉さんがこのタイミングでどうしても離婚すると言い張れば、かえって彼女の方が恩知らずで空気が読めないと思われることになる」梨花の眉が寄った。「それじゃあ、雅義があの声明を出したのは、千鶴姉さんを引き留めるためだったってこと?」「ああ」竜也は淡々とした
涼真はようやく顔を上げて彼を見たが、その目の奥には隠そうともしない冷ややかな嘲りが浮かんでいた。「俺が嫌味を言っているのか? それとも、あんたが手段を選ばないのか?」雅義はこの言葉に詰まり、一瞬顔をこわばらせた。口角の笑みが崩れそうになり、口調も一段と重くなった。「事の経緯がどうであれ、結局のところ、私たちは実の兄弟だろう。お前がよそ者のために私と対立するなんて、おかしいと思わないのか……」「彼女はよそ者じゃない」涼真は彼の言葉を遮った。声は大きくはなかったが、一字一句がはっきりとしていた。ダイニングは完全に静まり返った。母親は口を開いたが、声を出す前に浩和の鋭い視線で制止された。祖父は湯呑みを持ち上げた手を空中で止め、視線を涼真の顔からゆっくりと雅義へ移し、また戻して、まるで何かを天秤にかけているかのようだった。長い時間が経ってから、彼はようやく湯呑みを置き、淡々とした声で口を開いた。「よせ。家族同士でこんな些細なことで言い争って、どうするつもりだ。涼真、お前の兄の言うことも間違ってはいない。千鶴は結局のところお前の義姉だ。お前は誤解を招くような行動は慎み、彼女を困らせるような真似はするな」この言葉は、一見すると両成敗のように聞こえるが、どちらに偏っているかは明白だった。祖父は涼真に釘を刺しているのだ。千鶴とは一線を画し、雅義の立場を悪くするな、と。涼真は反論せず、ただ焦る様子もなく立ち上がり、透き通った平坦な声で言った。「ごちそうさまでした。俺は二階へ戻ります」そう言い終わると、彼は誰の返事も待たずに背を向けて去っていった。祖父は彼を引き留めることもなく、ただどうでもいいように手を振って再び湯呑みを持ち上げ、いつもの威厳ある口調に戻って言った。「いいだろう。雅義、お前はやはり公の仕事に重きを置くべきだ」この言葉は祖父からのごく普通なアドバイスに聞こえるが、実際にはある意思表示だった。——彼が三浦家をしっかりと繋ぎ止め、近藤家の利益を保証できる限り、近藤家は後継者を代えるつもりはない、という。「はい」雅義は答えた。涼真が彼にどれほど不満を持っていようがどうでもいい。お祖父様が自分の味方についている限り、近藤家がこのタイミングで自分の立場を揺るがすことはないのだ。彼はもう長居はせず、ナプキン
食事は和やかでリラックスした雰囲気の中で進んだ。食後、梨花がフルーツとお茶菓子の準備をしようとしたが、智子に止められた。「いいのよ、あなたは座ってなさい。お手伝いの鈴木さんたちがやってくれるから」「私はただ口出しするだけですから」と、梨花は苦笑した。「口出しするだけでも気疲れするものでしょう」智子は彼女を軽く睨んでみせてから、千鶴と海人を見た。「千鶴ちゃん、海人くん、もう少しゆっくりしていってね。私は裏庭の鉢植えをちょっと見てくるから」明らかに、彼ら若者たちに歓談の空間を残すための心遣いだった。海人と千鶴は返事をした。智子が遠くへ行くのを待たず、海人は特に気兼ねすることなく口を開いた。「そういえば姉さん。雅義のあの声明が出た後、いくつか取引がまた復活したんじゃないか?」千鶴は彼が何を聞きたいのか分かっていた。「ええ。元々停止していた数社が、昨日の午後になってまた彼の方へ自主的に連絡を入れてきたわ」商人が利益を追い求めるのは本性だ。それについて言えることは何もない。「じゃあ、あいつ今頃いい気になってるだろうな」海人はここまで言って、ふと顔を向けて竜也を見て、ニヤリと笑った。「まあ、いい気になってられるのもあと数日だけどな」近藤家本邸のダイニングもまた、同じように煌々と明かりが灯っていた。雅義は箸を置き、手元のグラスを手に取って一口飲んだ。「お祖父様。グループのほうの多くのプロジェクトが、すでに再開に向けて動き出しています」近藤の祖父は上座に座り、濁った目の奥に微かな満足の色を浮かべ、微かに頷いた。「今回の処理は見事だった。何事においても、我々近藤家を第一に考えるべきだということが、お前にもよく分かったはずだ」雅義は目を伏せて答えた。「はい、分かっております」彼の向かいに座っている涼真は、最初から最後まで一度も箸を動かすことなく、ただ湯呑みを手に持ち、その縁をゆっくりと指でなぞっていた。この祖父と孫の会話を聞いて、彼はふいに口角を冷たく歪めた。「涼真、どうして箸を進めないの?」母親が彼の様子の異変に気づき、白身魚の蒸し物を彼のお皿に取り分けた。「最近忙しすぎるんじゃないの? 少し痩せたみたいだけど」「食欲がないんだ」涼真は湯呑みをテーブルに戻した。その声には何の起
竜也はあっさりと応じた。「分かった。それなら明日、菜々子に資料を届けさせよう」「ええ」千鶴は湯呑みを持ち上げて一口飲んだ。その表情には何の変化もなく、まるでごくありふれた取引を一つ成立させただけのようだった。海人は傍らに座り、二人の間を交互に見遣って、堪えられず笑い出してしまった。「お前たちの商談って、俺がレストランで料理を注文するときよりあっさり決まるんだな」「お前の料理の注文が細かすぎるだけだ」竜也は淡々と返した。海人は言葉に詰まり、言い返そうとしたその時、突然書斎のドアがノックされた。ドア越しに梨花の声が聞こえてきた。「竜也、話はもうすぐ終わりそう?おばあ様が、あと十分でご飯にするって」それを聞いて、竜也は立ち上がってドアのほうへ歩いていった。「ちょうど終わったところだ」彼がドアを開けると、梨花がドアの外に立っており、手には切り分けたフルーツの皿を持っていた。彼女は書斎の中を覗き込み、千鶴と海人がすでに立ち上がっているのを見て、にっこりと微笑んで声をかけた。「ちょうどよかった。下に降りてご飯にしましょう」「何を用意してくれたんだ?」海人は顔を近づけ、フルーツの皿の中を覗き込んだ。「マンゴー?」「そうだよ。食後のデザートもちょうどマンゴーのミルクレープだから」梨花は頷いた。海人は思わず口走った。「お前、マンゴー味のものは好きじゃないんじゃなかったのか?」梨花は少し意外そうに彼を一瞥した。「私の好み、知ってたの?」これは本当に、少し驚きであり恐縮してしまうほどだった。何しろ、この男は以前からずっと、自分をあまり快く思っていなかったはずなのだから。海人はバツが悪そうに鼻の頭を掻き、誤魔化すように言った。「いつだったか竜也が言ってたのを、何となく覚えてただけだ」まさか、「自分の妹の好みはずっと覚えている」などと言えるはずがない。傍らでそれを見ていた千鶴の口角が、目に見えないほど微かに上がった。数人は一緒に一階へ降りた。ちょうど智子もリビングから歩いてきたところで、彼らを見るなり声をかけた。「千鶴ちゃん、海人くん。さあ、早く座って。梨花がキッチンにお願いして、あなたたちの好きな料理を特別に作ってもらったのよ。遠慮しないでね」「おばあ様。私たちも初め
翌日の午前、空は珍しく晴れ渡っていた。海人は時間通りに清水苑に姿を現した。彼はソファで真里奈の足を揉んでいたが、千鶴が二階から降りてくるのを見て立ち上がった。「姉さん、行こう。竜也にはもう話をつけてある」「ええ」千鶴は相変わらず髪を後ろで一糸乱れずまとめ、その全身から冷ややかで落ち着いた空気を漂わせていた。「行ってらっしゃい」真里奈は彼らが大事な用事をこなしに行くのだと分かっていた。「梨花に、自分の体を大切にするように言ってちょうだいね。いざ陣痛が来たら、絶対に私に電話するようにって」「安心してよ。言われなくても、俺と千鶴からあいつに言っておくから」海人は笑い、千鶴と前後して家を出た。車のそばまで歩いてくると、千鶴は海人を一瞥した。「竜也くんには何て言ったの?」「千鶴が用があるって言っただけだよ」海人は車の前を回って助手席のドアを開けた。「心配するなよ、具体的なことは何も言ってない。でもあいつは抜け目がないから、八割方は見当がついてるだろうけどな」千鶴はそれ以上は聞かず、腰をかがめて車に乗り込んだ。車は霞川御苑へと向かって走った。到着した時、梨花は前庭でユウユウにブラッシングをしていた。見慣れたSUVが走ってくるのを見て、彼女は少し驚いた様子だった。すぐに、彼女は笑顔で出迎えた。「千鶴姉さん、海人お兄ちゃん!どうして一緒に来たの?」そして、すぐに察したように言った。「竜也に用があるんでしょ?」千鶴は、彼女のすべてをお見通しといった様子を見て、思わず口角を上げた。「どうして分かったの?」「今日は家に用事なんてないはずなのに、午前中ずっと会社に行かないから、誰かを待ってるんじゃないかなって思って」梨花は二人をエレベーターの前まで案内した。「上がって。彼、書斎にいるから。話が終わったら下に降りてきて、一緒にお昼ご飯を食べようね。お口に合うものをいくつか追加するように、キッチンに言っておくから」彼女のその言葉は自然で気が利いており、冷たく感じることもなく、彼らが大事な話をするための空間を、ごく自然に提供するものだった。海人は彼女の後ろ姿が角に消えるのを見つめ、思わず声を潜めて言った。「あいつ、だんだんこの家の女主人らしくなってきたな」千鶴はそれに答えず、彼
千鶴はスマートフォンを握りしめたまま、しばらく何も言わなかった。電話の向こうで、祖父は彼女の返事がないのを見て、口調をさらに一段と重くした。「千鶴、私の言っている意味が分かっているのか?」「分かっています」千鶴は波風一つ立たない声で言った。「お祖父様が今ではないとおっしゃるなら、もう少し待ちましょう」祖父は彼女がこれほどあっさり引き下がるとは思っていなかったようで、かえって一瞬沈黙し、彼女の言葉がどれほど本心であるかを見極めようとしているかのようだった。やがて、彼はゆっくりと口を開いた。「分かってもらえたならそれでいい。結局のところ、私はお前を離婚させないと言っているわけではないのだ。ただ、今離婚したところで、お前にとっても、三浦家にとっても何のメリットもない。世間の噂が完全に収まった後であれば、お前がどうしようと、私は口出ししないつもりだ」「ええ」千鶴はそれ以上何も言わず、あっさりと電話を切った。彼女がスマートフォンを書斎の机に置こうとした時、ようやく着信履歴にもう一件の不在着信があることに気づいた。海人からだった。彼女が折り返す暇もなく、彼から二度目の電話がかかってきた。「千鶴、今飛行機を降りたところだ。もう北都に着いてるぞ」海人の声が受話器越しに聞こえてきた。背景にはまだ空港のアナウンスが混じっていた。「安心してくれ。遅くとも明日には、絶対に雅義があの件に関わっている証拠を掴んでみせるから」千鶴は、彼のその猪突猛進な口調を聞いて、無意識に手を上げて眉間を揉んだ。「もう調べなくていいわ。帰ってきなさい」「何だって?」海人は明らかに戸惑った。「このまま泣き寝入りするってのか?」「証拠はもう手に入れたわ」「……そんなに早く?」海人の声がはっきりと止まった。「何の証拠だ?」「涼真がさっき、雅義と美晴の通話録音を送ってきたの」千鶴は事の経緯を手短に説明した。電話の向こうは二、三秒静まり返った。「あいつ、やけに仕事が早いな」海人の口調には少し意外そうな響きが混じっていた。彼は少し躊躇ってから尋ねた。「それで、どうするつもりだ?証拠があるなら、お祖父様だってこれ以上千鶴の離婚を引き止めるわけにはいかないだろう?」「さっきお祖父様に送ったわ」







