Share

第3話

Author: satomi
last update Last Updated: 2026-01-27 08:20:38

「ここらで外界に出てみようと思うんだ」

「どうやって?俺の尻か?」

 それは嫌だ。

「できれば口から出たい……」

「ま、そうだよなぁ。俺だって、糞まみれはイヤだなぁ」

 たいていそうだろう。そもそも、龍己の大腸とか長そう。ちょっとしたダンジョンのような……。

「ボロボロになってはいるけど、剣があるし、龍己が寝てる間に出れないかな~とか思ってる」

「普段は胃酸の逆流を防ぐ奴が門のところにいるはずだけど……正己なら楽勝か。胃酸と共に口から出る事のないことを祈ってるよ」

 恐ろしいことを祈られた。

 その日の夜(だと思う)、龍己が寝たのを見計らって俺は外界に出ようと、龍己から聞いていた門のところにやって来た。

「胃酸でもないのに、この門を通りたいと?主の許可は取っているんだろうな?」

「証明は出来ないけど取ってる。この先の食道を通って、口から外界へと出るつもりだ。俺のレベルも-37になったしな」

「はぁ?マイナスぅ?そんな人間初めて見た」

「まぁ、この胃の中でずっと訓練してたからな。そういうわけで、この門を通っていいか?」

「本来なら、戦闘したいところだが、レベルがマイナスの人間と戦う趣味はない。絶対に負けるからな。俺のレベルは2だ」

 それでもかなり高いと思うけど、マイナスに比べたらなぁ。

 それからというもの、俺は長い道のりとなった食道を通り、口から出た。

 龍己……口臭酷いなぁ。歯磨きを教えよう。このままじゃ自慢の牙もダメになっちまう。

 俺は龍己の傍らで(臭いけど)、一夜を明かした。

「龍己、おはよう。改めて初めまして。俺は須藤正己。レベルはえーとマイナス37」

「本当に小童だなぁ。なんだ?いい匂い」

「龍己には足りないだろうけど、朝起きてすぐはこういうので胃を起こすのが体にいいんだよ?」

「ほう、正己は博識だな」

 陰キャでオタクなんです。

 龍己の鱗が朝日を浴びてキラキラしてる……汗?

「龍己……シャワー、はないなぁ。水浴びした方がいいよ」

「そ、そうか?」

 龍己が水浴びをしてる間にステータスでも見ようかな。

「浴びてきたぞ!」

 早いよ。早風呂とかあるけど、その仲間?

「さあ、これを食べて」

 鍋を一気飲み。え?まさかの鍋ごと?

「少ない……」

 そうでしょうとも。朝食とは違うからね。

「あ、そうだ。悲しいお知らせ。龍己、口臭が物凄いよ。これじゃあつがいに嫌われちゃうよ。毎度歯を磨かないと!自慢のその牙だって、抜け落ちちゃうかもしれないよ~」

「それは恐ろしい。それはどこ知識?」

「異世界に来る前の世界の常識みたいな感じかな?」

「常識なのか?そいつは大変だ。仲間が近寄らなかったのは、口臭が原因なのか!」

 え~!既に前科あり?番とかヤバくない?

 さて、ステータス。

 俺のレベルは-48。うわ、上がってるし。外界に出たってあるのかな?その他のステータスは…と。体力:計測不可能。 知力:計測不可能  敏捷性:計測不可能  etc.

 全部計測不可能。どういうこと?

 『外界でのデータがないので計測が出来ないとのことです』

 俺はてっきり阿呆認定されたか、もしくは、最強になったのかと思った。

「いや、俺の胃から出てきたんだから最強だろう?」

 そうなのか?

「今まで出てきた奴いないし」

 出ようとしたやつがいなかったんじゃ…?

Continue to read this book for free
Scan code to download App

Latest chapter

  • イジメられっ子世に憚る。   第4話

     俺の当面の目標は俺を囮に使ったクラスの連中への復讐だな。思い出すと腸が煮えくり返るようだ。 レベルMAXでも神谷の36だから、今でもマイナスって事はないだろう。 「そう言えば、俺の職業って何だ?」 ステータスの職業欄には‘無職’とある。龍己を倒したわけじゃないから‘ドラゴンスレイヤー’でもないしな。むしろ、龍己とは友人みたいな。 ‘無職’と言えばなんでもできるな。何をやっても許されるような気がする。のは気のせいだろう。 俺の勘だが、神谷は‘勇者’。港は‘戦士’。袴田は‘聖女’。長野せんせーは‘賢者’のような気がする。 袴田が聖女。はおかしいと思うんだけど、あいつは猫被ってるからなぁ。他の女子には「そのままでも十分可愛いじゃない」とか言うけど、その実「さあ、そのまま私の引き立て役になりなさい」とか思ってるんだろ?そんなのが聖女?笑わせるな。 しかも、俺を囮にするような連中を崇めるとかあり得ん。俺だからとかじゃなくて、人道的にダメじゃん。「龍己―、俺はこれからいろんな所を旅するから、ここでお別れだな」「正己、この角笛を持っていけ。困った時があると吹けばいつでも俺が飛んでいこう」 耳いいな。 俺と龍己はハイタッチをしてその場で別れた。龍己にとってはロータッチだろうか? 俺はココから近いというヴェータス王国を目指すこととした。「王国には最近になって聖女様がいるらしいわよ?」「勇者様や戦士様もいるらしい。商人なんかも独自のルートを使ってなかなかの儲けを王国にもたらしているらしい」 そんな噂を聞きながら、俺は一路ヴェータス王国を目指した。途中の道は砂漠で砂煙がウザかったのでローブを買った。 ちなみにお金なんかはすべて龍己の胃に落ちてきた人の財布から拝借している。 道すがら聞く噂は、異世界から来たという人たちから王国は恩恵を受けている。というものだ。 俺を囮にして逃げた先は王国ってわけか。そんでそこで地球知識で王宮の人に取り合ってもらった。みたいな? ただの高校生なんか信用しないよなぁ、普通は。そこはこの異世界の知識が地球よりも遅れていたことで、ちょっと知識を披露したら賢者扱いみたいな。世の中イージーモードだよな。 これからは俺がハードモードにしてやるよ。俺の方が成績いいからな。こんなとこで陰キャが役に立つとは……。「ヴェータス王国

  • イジメられっ子世に憚る。   第3話

    「ここらで外界に出てみようと思うんだ」「どうやって?俺の尻か?」 それは嫌だ。「できれば口から出たい……」「ま、そうだよなぁ。俺だって、糞まみれはイヤだなぁ」 たいていそうだろう。そもそも、龍己の大腸とか長そう。ちょっとしたダンジョンのような……。「ボロボロになってはいるけど、剣があるし、龍己が寝てる間に出れないかな~とか思ってる」「普段は胃酸の逆流を防ぐ奴が門のところにいるはずだけど……正己なら楽勝か。胃酸と共に口から出る事のないことを祈ってるよ」 恐ろしいことを祈られた。 その日の夜(だと思う)、龍己が寝たのを見計らって俺は外界に出ようと、龍己から聞いていた門のところにやって来た。「胃酸でもないのに、この門を通りたいと?主の許可は取っているんだろうな?」「証明は出来ないけど取ってる。この先の食道を通って、口から外界へと出るつもりだ。俺のレベルも-37になったしな」「はぁ?マイナスぅ?そんな人間初めて見た」「まぁ、この胃の中でずっと訓練してたからな。そういうわけで、この門を通っていいか?」「本来なら、戦闘したいところだが、レベルがマイナスの人間と戦う趣味はない。絶対に負けるからな。俺のレベルは2だ」 それでもかなり高いと思うけど、マイナスに比べたらなぁ。 それからというもの、俺は長い道のりとなった食道を通り、口から出た。 龍己……口臭酷いなぁ。歯磨きを教えよう。このままじゃ自慢の牙もダメになっちまう。 俺は龍己の傍らで(臭いけど)、一夜を明かした。「龍己、おはよう。改めて初めまして。俺は須藤正己。レベルはえーとマイナス37」「本当に小童だなぁ。なんだ?いい匂い」「龍己には足りないだろうけど、朝起きてすぐはこういうので胃を起こすのが体にいいんだよ?」「ほう、正己は博識だな」 陰キャでオタクなんです。 龍己の鱗が朝日を浴びてキラキラしてる……汗?「龍己……シャワー、はないなぁ。水浴びした方がいいよ」「そ、そうか?」 龍己が水浴びをしてる間にステータスでも見ようかな。「浴びてきたぞ!」 早いよ。早風呂とかあるけど、その仲間?「さあ、これを食べて」 鍋を一気飲み。え?まさかの鍋ごと?「少ない……」 そうでしょうとも。朝食とは違うからね。「あ、そうだ。悲しいお知らせ。龍己、口臭が物凄いよ。これじゃあ|番《

  • イジメられっ子世に憚る。   第2話

     ドラゴンにとってヒトなど米粒みたいなもので、咀嚼なんかはしない。 おかげで俺は五体満足で胃袋に収まっているわけだが……。 胃酸―――――‼‼‼ 服が全部溶けてしまった。つまり俺は全裸なのです。 『酸性に強い体となりました』 そんなことを言われても、胃の中だし。 ドラゴンはそこらの物をなんでも口に入れる質のようで、色々と胃袋に入ってくる。 『ドラゴン討伐』をしようとしたヒトもいるのかな?俺と同じ運命を辿ったようです。気絶している間に装備なんかを少々いただきました。強奪?生きるためです。 哀れ気絶した人よ。起きるのが遅かったから、全身が溶けてしまったようです。ご愁傷様です。「俺の胃の中で生きている者がいるのか?」「あ、俺は異世界転移したようで、須藤正己って言います。装備なんかも食べちゃってるんですね」「何を食べていいのかよくわからないから、目に入ったものをとりあえず食ってる感じだ」 なるほどね~。 ドラゴンさんは最強で雑魚モンスターなんかも一飲みで、胃の中が俺の訓練場になりました。時間の流れは待ってくわからないけど、来る日も来る日もドラゴンさんが口にする雑魚モンスターを倒す日々が俺の日々でした。睡眠?はドラゴンさんが寝てる時だけど、夜なのか昼なのかは不明。昼寝かもしれないし。 そんな日常を続けていると…。「あ、レベルが999だったのが125まで下がった。でも、まだまだですね」 俺の目標はもちろんLv.1!「ドラゴンさん!」「あ~、悪いが名前を付けてくれないか?ドラゴンなんかドラゴンの谷に行けばうようよしてるから」 なんて危険な場所なんだ!イッテハイケナイ ドラゴンノタニ。 ドラゴンの名前かぁ。語学力の無さが悲しい。日本語的でいいかな?「俺が正己だから、ドラゴンさんは龍己!」「呼び捨てで頼むぞ。正己!」「了解。龍己!」 俺は訓練を続けレベルは目標の1となった。「龍己は知らないのか?食べる時はよく噛んで食べた方がいいんだ。顎にもいいし。顔の筋肉を使う事になるから顔の老化も遅くなる。ん?そういえば、龍己は何才?俺は17才だけど……」「正己、17才?まだ小童ではないか?俺の年齢か?うーん100才を越えたあたりから忘れてるなぁ」 100才以上ということか?それに比べたら17才の俺なんか小童も小童だろう

  • イジメられっ子世に憚る。   第1話

     その日、俺は授業中にぼんやりと授業中に教室の窓から空を眺めていた。「あ、飛行機雲だなぁ。飛行機雲が見える時って天気がどうなんだっけ?」などと、取り留めもないことをぼんやりと考えていた。 と、その時、教室中が物凄い量の光に攫われた。 瞬間、2-C組の全員が異世界転移したようだ。この場合、聖女とか職業とかあるのか?と俺のような陰キャは思うのだが、陽キャたちは考えないようで……。 「なんだよ?ココ。とりあえず写メじゃね?あれ?圏外なんだけど?」クラスのリーダー的陽キャである神谷ジンが説明する。「俺達全員が異世界転移というやつらしい。証拠はえーとステータスと願うとステータスボードに各々ステータスが出てくるはずだけど……。俺はLv.36だ」 おいおい、異世界に転移したらまずはそこチェックだろう?内心せせら笑ってしまう。ちなみに俺のLV.999だ。俺最強?産まれてからずっとイジメられ続け、はや17年。下剋上の時代がきたのだ!クラスの皆の者、俺須藤正己にひれ伏すがいい‼ 俺のステータスは何々?他の体力知力なんかも全部1?そんなのわかってるって。前プレイヤーの中で一位ってことだろう?いやぁ。参ったなぁ!ハッハッハッ‼ 『プレイヤーの皆様にお知らせです。この世界ではレベルはカウントダウン制となっています』 はぁ?これまでのRPGなんかはだいたいカウントアップだったが、カウントダウン?「やっぱりなぁ。俺が神谷よりもレベル高いのはおかしいと思ったんだよなぁ」 という声があちらこちらから。 これじゃあ、俺のレベルなんか公表できない……。レベル999は絶対に馬鹿にされる。「私は担任だもの。レベルは35よ」「担任だもんな~。年上だし?そのわりに1個だけしかレベルが上じゃないのかよ?」 担任すらもバカにされてるもんな。俺のレベルを知った日には……。考えただけで恐ろしい。「ずっとここにいるわけにいかないし、どうにか元に戻る方法を探すためにも外に出ないか?」 鶴の一声ならぬ、神谷の一声でクラスは団結して外に出た。「へぇ、異世界の外ってなんかもっと乾燥して肌に悪いのかと思った。そういえば!化粧道具とかないけど、この先どうしよ~!」「私も~!」 女子どもは大方神谷とか、スポーツ万能の港の目が気になるだけだろう?「大丈夫よ。みんなすっぴんも

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status