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第288話

Author: 木憐青
「だめです!」

深雪の態度には揺るぎがなかった。

「確かな証拠がない限り、誰にも彼を連れて行かせない!」

「深雪さん、公務妨害になりますよ!」

看護師は焦りの声を上げた。

深雪は一歩も引かない。

「証拠を見せなさい。なければ、誰一人連れて行けないわ!」

「......もういい」

延浩は彼女の手をそっと引いた。

「俺が行く。はっきりさせてくれば済むことだ」

深雪はまだ納得できず、険しい表情を崩さなかった。

「心配するな、俺は無実だ」

延浩は穏やかに言い、彼女を安心させようとした。

「ここで待っててくれ。すぐに戻るから」

「先輩......」

深雪は言葉を続けようとしたが、延浩が遮った。

「いいから」

彼の声は弱々しいのに、不思議と強い確信がこもっていた。

「俺を信じろ」

深雪はその目を見つめ、ついに小さくうなずいた。

「......わかった。待ってるから」

延浩は警察に伴われ、病院を後にした。

残された深雪の胸には、不安が渦巻いていた。

「静雄......恥知らずな男!」

深雪は奥歯を噛みしめた。

「絶対に許さない!」

彼女はすぐに携帯を取り出し、大介へ電話をかけた。

「大介、静雄が延浩を陥れたことについて調べて!すべての細部を突き止めなさい!」

深雪の声は氷のように冷たかった。

「承知しました。すぐに動きます」

通話を切った深雪の目は、憤怒の炎に燃えていた。

一方その頃、松原家でも安らぎはなかった。

芽衣の鬱が突如悪化し、病床に横たわる彼女の顔は蒼白だ。

苦しげな呻きとともに、彼女は静雄の手を掴み、涙を流して訴えた。

「静雄......つらいの......私、もうすぐ死んじゃうの?」

「縁起でもないことを言うな!」

静雄は胸を締め付けられる思いで答えた。

「大丈夫だ、絶対に俺が守る!」

「でも、本当に苦しくて......このままじゃ......」

芽衣は弱々しい声を震わせた。

「そんなはずない。医者も言ったろう?ただ疲れてるだけだ。休めば良くなる」

静雄は必死に慰めた。

「でも......」

芽衣が言葉を継ごうとした途端、激しい咳が彼女を襲った。

肺を吐き出すかのような咳に、静雄の顔が青ざめた。

「芽衣!どうした!医者を呼べ!」

医師が駆けつけ、急ぎ診察した。

「先生、彼女
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