瞳

last updateHuling Na-update : 2025-10-21
By:  空蝉ゆあんIn-update ngayon lang
Language: Japanese
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短編オムニバス形式となっています。 短編集 哀しみといじめそしてそれを包む『愛』の物語。 沢山の別人の塁の表情の一つ一つを感じてほしい。

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Kabanata 1

始まりの塁□□

 ここまで来れた。20年以上かけて貴方の元へと届いたの。私の心と体と瞳が貴方の姿に触れて涙を流していく。

 幼い頃に一度出会っただけだったわね。貴方とは。私はまだ幼く、貴方は大人の階段を上ろうとしている段階だったのを覚えてる。憧れだと思った、そう勘違いしていたのよ。幼い私にその違いも、言葉も何も理解出来なくて、この感情の答えが分からないまま、漂っていた。

 目を閉じると貴方に会える。そして心の中で貴方に触れる事が出来るの。まるで包まれているような安心感の中で赤ん坊になっている自分がいる。

 「君にプレゼントをあげようか。いつも頑張り屋さんな|塁《るい》に」

 私の名前を憶えていてくれた事が凄く嬉しくて、嬉しくて、言葉が頭から弾けて無になっていく。これは軽くパニックになっているのかもしれないね。

 嬉しさと込み上げてくる悲しみに嘘は吐けなくて、夢の中でしか会えない貴方を探し続けてる。

 現実の中で、貴方の影を追いかけて、私は大人になっていったのよ。

 ――もう泣き虫なんて言わせないから。

一回目 貴方に出会った□□

 あの時のあたしは子供で強がってばかりな我儘っ子だったのよね。まだ小学生だもの、仕方ないじゃない。環境だっていいとは言えない方だし。どうしてだろうね、あんだけ頑張って働いていた父。裕福なはずなのに、心は一人ぼっちだった。

 ――本当の幸せを知らないんだ。

 あたしは一人だった、ずっとずっと一人ぼっちだったの。人前で泣かないように頑張った。その代わり、一人になると泣き崩れた、そんな日常の繰り返し。

 「それでも貴方に出会った」

 目を瞑りながら、優しい匂いを思い出すとね、瞳から涙が毀れ落ちるの。

 あの時とは違う『温もり』に満ちた涙がね。

 『るい。君は一人じゃないよ。僕がいるから』

 「……うん」

 見えない影を追いかけながら、貴方に抱き着くあたしがいる。

 『るい。愛しているよ』

 温かい言霊は、心を縛り付け、あたしを大人にしていく傷跡をつけるの。

 まるで砂のように、消える貴方。

 ――待って、行かないで、なんて言えないよ。

第二回目 特別□□

 いつもの駅で貴方を待ってた。一人ぼっちな私……ううん、少し成長した私は『友人』が出来たはずなのに、心にポッカリと穴が開いてる。

 どうしてかな?悲しくないのに、何も感じないのに……。

 ――涙が溢れてくるの。

 ガタンゴトンと電車が私を置き去りにして、そして動く度に、私の泣き顔を隠してくれる。だからありがたいなんて思ってしまうのよ。

 誰にも気付かれない、だから大丈夫。

 また『皆』の前では笑顔なるいでいれるから。だから、ね?

 今だけ泣いてもいいかな?

 ◇◇◇◇◇

 ポロポロと崩れる雫は、あっという間に瞳を隠して、視界を歪ましている。

 少し気を抜くといつもこうなる自分が情けないけど、少し笑ってしまうよね。自分の感情がどう感じているのか分からないのに、涙が出るなんて。

 それも勝手に溢れる、どうしてだろう。

 ――きっと毒素を出している。

 「おーい。るい何してんだ?」

 私の名前を呼ぶ『その声』を忘れた事なんて一度もない。こんな自分を貴方に見られるなんて、耐えれない。

 (なんてタイミング悪いんだろう……)

 でもね、それでも心は嬉しくて、ついつい涙を拭う事も忘れて、振り向いてしまう私がいるの。

 クルリと振り向く私の目線の先には『貴方』がいる。

 ぼやけてても分かるのよ、貴方は特別だから……。

第三回 沢山の私達□□

 My name is Rui

 I am not alone

 A lot of rui

 Another person's ru

 I want to present my heart's tears

 Am I?

 私の名前はるい

 私は一人のるいではないの

 沢山のるいの

 別人のるい達の

 心の呟きをプレゼントしたい

 我儘かな?

 ――綺麗な星空が見えるよ。

 同じように見えて、違う輝きを放っている。まるで私達るいみたい。

 手と手が繋がれ、目と目がリンクし、鼓動と鼓動が時を刻む。私達はそうやって同じ時代ときを生きながら、笑って、泣いて、苦しんで、震えて、そして最後は笑顔になるの。

 神様なんていない。だけどね、ほんの少しの私達るいの願いに気付いてほしいのよ。

 私達るいは生きているの、心臓を動かしながら、沢山の世界を見つめているの。

 愛してなんて言わない。そこまで言う資格も権利もないから。

 心のままに生きていけたらって願うのよね。それは我儘かな?自己中心的?間違いなの?

 バランスを崩すと横暴に変化するかもしれないけど、そこまで馬鹿じゃないから、ちゃんと考えてるんだよ?

 不器用な私達るいは、本当の心を見せる事はないけど、ここには存在してるから。

 ――忘れないで、私達の事を。

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始まりの塁□□
 ここまで来れた。20年以上かけて貴方の元へと届いたの。私の心と体と瞳が貴方の姿に触れて涙を流していく。 幼い頃に一度出会っただけだったわね。貴方とは。私はまだ幼く、貴方は大人の階段を上ろうとしている段階だったのを覚えてる。憧れだと思った、そう勘違いしていたのよ。幼い私にその違いも、言葉も何も理解出来なくて、この感情の答えが分からないまま、漂っていた。 目を閉じると貴方に会える。そして心の中で貴方に触れる事が出来るの。まるで包まれているような安心感の中で赤ん坊になっている自分がいる。 「君にプレゼントをあげようか。いつも頑張り屋さんな|塁《るい》に」 私の名前を憶えていてくれた事が凄く嬉しくて、嬉しくて、言葉が頭から弾けて無になっていく。これは軽くパニックになっているのかもしれないね。 嬉しさと込み上げてくる悲しみに嘘は吐けなくて、夢の中でしか会えない貴方を探し続けてる。 現実の中で、貴方の影を追いかけて、私は大人になっていったのよ。 ――もう泣き虫なんて言わせないから。一回目 貴方に出会った□□ あの時のあたしは子供で強がってばかりな我儘っ子だったのよね。まだ小学生だもの、仕方ないじゃない。環境だっていいとは言えない方だし。どうしてだろうね、あんだけ頑張って働いていた父。裕福なはずなのに、心は一人ぼっちだった。 ――本当の幸せを知らないんだ。 あたしは一人だった、ずっとずっと一人ぼっちだったの。人前で泣かないように頑張った。その代わり、一人になると泣き崩れた、そんな日常の繰り返し。 「それでも貴方に出会った」 目を瞑りながら、優しい匂いを思い出すとね、瞳から涙が毀れ落ちるの。 あの時とは違う『温もり』に満ちた涙がね。 『塁。君は一人じゃないよ。僕がいるから』 「……うん」 見えない影を追いかけながら、貴方に抱き着くあたしがいる。 『塁。愛しているよ』 温かい言霊は、心を縛り付け、あたしを大人にしていく傷跡をつけるの。 まるで砂のように、消える貴方。 ――待って、行かないで、なんて言えないよ。第二回目 特別□□ いつもの駅で貴方を待ってた。一人ぼっちな私……ううん、少し成長した私は『友人』が出来たはずなのに、心にポッカリと穴が開いてる。 どうしてかな?悲しくないのに、何も感じないのに……。 ――
last updateHuling Na-update : 2025-10-18
Magbasa pa
涙□□
第四回 さようなら□□ 「頼むよ塁。目を覚まして。僕を見て……」 壊れた塁の瞳は真っ黒で、命が毀れるように感情が消えるように涙が永遠と流れている。 僕を忘れていいから、記憶から消していいから、君には生きてほしいんだ。僕は沢山の涙と叫びを嗚咽として吐き出しながら、彼女を抱きしめる。 「塁?」 ピクリとも動かない彼女は壊れた人形そのものだった。周りの人間は僕をずっと責め続けるだろう。きっと、もう彼女の傍にはいれない、永遠と……。 僕が消えれば、君は元に戻るの?僕はただ君を愛してただけ、そして塁、君も答えてくれた。 「あああああああああああああああ」 子供の頃の塁を思い出す。僕と君は年が離れていたね。環境が原因でいじめと虐待に耐えながらでも、表では笑顔だったのを覚えている。 体に沢山の傷跡を残して、僕は当時の君と出会い、どうしても見て見ぬ振りが出来なかった。少しずつ大人になっていく度に、背中のミミズ腫れが落ち着いて、今では傷が残っていない。まるで最初からなかったように……。 でもね、僕は君の隠された傷跡を知っているよ?それは右目の上側だよね。殆ど気にならないけど、くぼみが出来ている。よく見ると凹んでいるんだよ。一㎝位だし、昔に比べては誰も気付かないだろうね。 ――僕以外はね。 ねぇお腹は大丈夫かい?君が内蔵弱くなったのも、毎日蹴られていたからだよね。時々心臓が痛むんだろう?僕は知っているよ。 ――君の心の一番は僕の居場所だからね。 見えないよね、僕の姿。そうだよね。僕は『もういない』存在なんだから。それでも我儘を言うとね、せめて塁の記憶には存在していたかった。 僕と君を引き裂こうと君を地獄へと叩きつけた周りは、君の心から僕の存在を消した。こんなふうに複数の人間が一人を攻撃すると、簡単に心が死ぬんだと現実を知ってしまった。 僕は泣きながら、彼女の名を呼びながら、右手を伸ばす。せめて最後に君に触れたい。 ――愛している永遠に。 ◇◇◇◇◇ 貴方はだあれ? 僕はその言葉で、たったその一言で、彼女の前から姿を消した。 笑顔で僕を見つめてきた塁は、初めて会った時のように優しく僕を……。 ――さようなら。僕の愛した人。 ◇◇◇◇◇ 私は長い間眠っていたみたい。でも不
last updateHuling Na-update : 2025-10-18
Magbasa pa
対面□□
第六回 ブランコ□□ ギーコーギーコ。 ブランコを漕ぐ音が、悲しく響く。空を見上げるといつの間にか、青空から夕焼けに移り変わり、時間経過の早さに驚いてしまうの。こうやって子供から大人へと成長していくのね、と考えてみると、少しくすぐったい。 何故かしらね……。きっと『夕焼け』のせいなのかもしれない。 「まるで、子供時代に戻ったみたい」 呟きは夕焼けと共に消え去り、私自身を『過去』へと誘うの。 ◇◇◇◇◇ ギーコーギーコー。 幼い私は、いつもこの公園にいた。そして一番大好きなお遊具は『ブランコ』なの。だって座ったままで、少し蹴り上げると、宙に浮いたように動いてくれるの。まるで魔法みたいで、楽しくて、よく『一人遊び』してたっけ。 「綺麗なお空さん。風も気持ちいいな~」 まず最初はお空を見るの、凄く綺麗なんだよ。青空も好きだけど一番好きなのは『夕焼け空』なんだ。だって、その時間帯になるとね、大好きなお母さんがお仕事から私の元へ思いっきり走ってくるから。一人ぼっちの終わりの合図なの。 私はいつもニコニコしているんだけど、お母さんはね、凄く怒るの。『こんな時間まで何してるの?』って……。私、お母さんを待っていただけなのになぁ。 この公園はね、特別なの。死んだお父さんとお母さん、そして私の三人で楽しく遊んでいた思い出の場所なのだから。 それに、ここはお母さんの職場から凄く近くて、すぐにお母さんに会えるから、私は言う事なんて聞かずに、いつっも、この公園で遊んでいるんだ。 ――お父さんの事を思い出しながら……ね。 今日もいつもと同じように、お母さんがダッシュをして、抱きしめてくれるのを待っている悪い子なの。でも、こんな事しないと、お母さん思いつめちゃうからさ。 (私も考えてるのになあ) ギーコギーコ。 ゆっくりブランコの軋む音がする。目を瞑りながら考えていた私は、いつの間にか変な体制になってて、目を開けた瞬間に気付いたの。いつもより、空が近くて、高くて、いつの間にか凄い、勢いでブンブン、ブランコが加速してる。 「どうしよう。止まらないよ……うう、届かないよ、足」 まだ低学年の私は、勿論足が短い。どうしたら、こんな状態になったのか自分でも分からなくて、焦ってる、というか……もう泣いてるよね。 「うわあああん」 その
last updateHuling Na-update : 2025-10-18
Magbasa pa
記憶□□
第八回 トラブル□□ 初めて手を繋げたのは十九の時。男性が苦手だった私は、彼の華奢な手と骨格の違いを肌で感じた。ビクリとする私に、微笑みながら『どうした?塁』なんて甘く名前を呼んでくれるの。 私はアタフタしながら、たどたどしい日本語でパニックになってる。免疫ないのよ、それもホストの仕事をしている人なんて、特に。 女性の扱いにたけている彼は、簡単に、無意識にエスコートをする。私はお客じゃなくて『彼女』なのに、そんな事しなくていいから。 (他の女性にも同じ事するのかな?) そう思うと不安で不安でたまらない。でもね、彼の微笑みを見ていると、彼がしたいようにしたらいいかな?って思ってしまうの。 ――これが、惚れた弱みってやつかな? 実際、告白したのも、好きになったのも私からじゃなかったんだけどね。最初職業とか関係なく、いつも通りに関わってたら、急に笑いだしてさ。なんでこの人、笑ってんのかな?って嫌悪感さえ感じていた。 え?それなのに、なんで付き合っているのかって? チラリと彼の横顔を見ながら、私はあの時に戻っていく……。  ◇◇◇◇◇ 私の得意な事は『迷子』なの。スキルに近いのかもしれないね。道は繋がっているから、絶対たどり着ける自信があるんだ。友達に『その自信、どこから来てるの?』とよく呆れられるけど、私は、いつも通りに『大丈夫、大丈夫、どうにかなるから~』なんて危機感なんて一切感じない。 確か、彼と出会ったのは、私が一人で隣の県をドライブしてた時だったっけ。うん……そうだと……思う。 ――違うからね、大切な彼との出会いの瞬間を忘れる訳ないから。 私そこまで抜けてないし、こう見えてかなりのしっかり者。そう言うとね、周りの友人達は笑い出すのよ。その度にどんよりな気持ちになるけど、皆が笑顔になっ
last updateHuling Na-update : 2025-10-20
Magbasa pa
余韻□□
第十回 フラッシュバックと無力□□ 夜は地獄の時間。私にとって苦痛の時間。全身が張り裂けそうな痛みと首を絞められるような感覚が残り、今日も明けない夜が始まるんだ。  誰も助けてくれない、いつもベッドの中で涙しながらも、唇を噛み締めて、誰にも気付かれないように感情を溢れさせていた。 恐怖でカタカタと震える身体の抑え方を知らなくて、フラッシュバックを体感しながら、人間の悪の部分に埋もれて……頭が壊れそうだった。 耐えれない私は、泣き声をあげる代わり、自分の右手の中指で左腕の肉を切り裂く。なんとなく意識を保っている状態だけど、痛みなんて、何も感じなかった。あるのは恐怖と過去の自分の悍ましさだけ。 ――あんなの私じゃない、違う。 両耳を両手で遮って、私の唸り声と人の叫び声と、ギュッと瞼を閉じ、見たくないものを見ないようにしたの。 それでも見える。それでも聞こえる。それでも、私は幼少に戻る。インナーチルドレンがケラケラと微笑みながら『貴女も潰れてみる?』なんて私に囁くの。 ――やめて、もう。お願いだから。 毎晩毎晩、何日も何か月も何年も、永遠に続く地獄の記憶。それから逃げる術はない。ある訳ないんだ。 頭がボーッとする。まるで脳に直接麻酔を打たれたみたいに、自分の心も体も固まって、視界から色が消える。全てがモノクロの世界。懐かしい世界でもあるんだ。 『逃げれると思うの?あの時から、そしてあたしから……』 ふふふと嗤う幼少の私の姿を模った亡霊は、私を自由にするつもりはないらしい。永遠に自分のものとして、おもちゃとして、操り人形として、生きて苦しめるつもりなのだろうか。 ――こんなの望んでないのに、どうして? 背中の十字架は重くて重くて、私の身体は耐えられない、壊れそうだ。周
last updateHuling Na-update : 2025-10-20
Magbasa pa
繋がり□□
第十二回 感謝□□ いつからだろうか『笑顔』が苦痛になったのは。楽しくて笑っているのではなく、周りに合わせて笑っているだけ。自分を守る為に……。 私は学校に着いて、一息つこうと教室へと向かうと友人の一人が後ろから抱きついてくる。『おはよう』と微笑みながら、いつものスキンシップをする。基本群れるのは好きではない、ある程度の距離を取りながら人間関係を作る。じゃないと余計な情で動いてしまうし、友人達が間違った行動をした時に、止める事も出来ない。だって、価値観が同じになったりすると、他の人達の考えや気持ちを見る事も出来ないし、話を聞く事も無理になってしまう。 だから私のあだ名は『旅人』だったの。いつもトラブルがあるとサッと現れて、一言で解決するとか、周りは言っていた。 『塁は正論しか言わないから。皆、何も言えなくなるのよ』 「そう」 『本当、ドライだね。さすが、期待してる』 「他人の為に動くなんて、しないから」 『そう言って、いつも私達を守ってくれるのは誰かな?』 「気のせいでしょ。私は私の役割を果たしているだけだから」 『あんたを敵に回す奴なんているのかね?私達は塁の過去を知っているし、切れた時のあんたは最高に綺麗。血まみれだしね』 「口、縫っていい?」 『マジにとんなよ。冗談だって~』 「そっちこそ、マジにとんないでくれない?ブラックジョークでしょ?」 笑顔の私と冷酷な私が存在してる。長い付き合いの友人からは沢山の仮面を持ちすぎと言われるけど、これはこれで都合がいいの。 ――でもね。私だって笑顔になりたい、本当の笑顔を取り戻したいの。 帰宅すると、静かな空間しか存在していない。微かに聞こえるのは蛇口からポタリと堕ちる雫の音。そこに
last updateHuling Na-update : 2025-10-20
Magbasa pa
宝物□□
第十五回 コイントス□□ 今日もいつもの日常が始まる。学校に行く前からずっとこれだよ、本当勘弁してほしい。私はチューインガムをムシャムシャとかみ砕いている。少し機嫌が悪いように感じるのは昨日の賭けに負けたからだ。 賭けが何の賭けだって?コイントスだよ。表が出たら私の勝ち。裏が出たらあいつの勝ちな訳。それで終わればよかったんだけどさ、それには続きがあるのよ。勝ちと言っても、それで賭けが終わる訳ないの。だって『罰ゲーム』が必要でしょ?じゃないと面白くないじゃん。 ――自分の提案で自爆するとか、マジ笑える。 私が勝った場合は、半年間お昼ご飯を奢る事。あ、勿論、私にだからね。勝者がおいしい思いをするの当たり前でしょ。 正直、自信満々だった訳。私、勝負事にはめっちゃ強いし、あんな奴に負けるなんて絶対に、世界が滅んでもあり得ないって思ってた訳よ。私の中では敗北の文字なんてありはしなかった……そうあの時までは。 放課後だった。私とあいつの二人きりの教室は静かだけど、二人の会話が雰囲気を台無しにしている。少女漫画とかなら、ここれアクションが……とかあるはずなんだけど。これ漫画じゃないし、こんな奴とそんなラブロマンスなんてあって、たまるかっつーの。 『何ボーッとしてんの?ビビってんのか?』 「はっ!まさか。あんたこそチビリそうなんじゃないの?」 『ホント、減らず口だな。可愛くねぇ』 「それはこっちの台詞なんですけどー」 『俺、結構モテるんだよ』  「ほー自慢ですか?」 『くわああああああ!ムカつく!!!!!!』 そうそう、この発狂が聞きたくて、いつもいつも言葉で追い詰めて茶化してる。女子にチヤホヤされてる奴が、こんな風に獣みたいな唸り声とか叫び声あげるのって楽しくて、魅力的でしょ? 
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日常□□
第十七回 オムツ□□ 子供の頃から私のオムツをかえていたのは誰だと思う?普通親だよね。私よく分からないけど、祖母と時々母がかえていたと思うの。それでも確実な事があってね、それ以外の人で私のお守りを定期的にしていてくれた知り合いのお兄ちゃんがいたんだ。 私は気が付くと、いつもそのお兄ちゃんにべったりでね。遊ぼっ遊ぼっ!って懐いていたみたい。まるで子犬のように……。私が懐くってよっぽどだよ?普通はそこまで心を開かないし、懐かない。ましてや子供の頃の私は用心深く、自分の心を閉ざしてたから余計にね。 今日は何して遊ぶ?何しようかな?と考えてるとゾクゾクと寒気がしてね、まだオムツだった私は、フルフル震えていた。 そんな私に気付いたのはそのお兄ちゃんなの。 『どうしたの?塁ちゃん』 近づいてきて、顔を覗き込むお兄ちゃんは、いつもと違う私の異変に気付き心配している。 「なんでもないもんないもん!」 プイッと顔を逸らして駄々っ子に変身してしまった私を元に戻せるのは誰なんだろうかな?ふふふと微笑みながら、幼き自分の姿を見つめている現在の塁。 プルプル震える、身体が勝手に反応してしまう。堪える事が出来なくなった私は、『瞳』をウルウルさせながら、お兄ちゃんの耳にこっそりとヒソヒソ話をする。 「おしっこ……」 『え』 「漏れる」 『え』 「お兄ちゃん……うう」 『よしよし。ちょっと我慢出来る?』 「……出る」 『え』 「うわああああああん」 そしてこの場には私とお兄ちゃんしかいない。濡れたオムツは気持ち悪くて、余計泣いてしまう私がいた。 そんな私のオムツをかえてくれたのは、勿論お兄ちゃん。優しくしてくれて、大丈夫だよ、って言葉で安心させてくれる、優しいお兄ちゃん。 ◇◇◇◇◇ バタバタと廊下が煩い。いつの間にか泣きつかれたのかスヤスヤ寝ていた私は、その足音で目覚めた。ムクリと起き上がると、私を守るように、あやすように、傍で一緒に眠っているお兄ちゃんの姿があった。 (泣いてた事内緒にしてもらわないと……恥ずかしいよ) ショックと羞恥心で伝るのを忘れた私は後悔をしていた。あの時我慢なんてせずに、正直にトイレに行
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