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第1127話

Author: レイシ大好き
京弥は紗雪の隣に立ち、彼女の気分がわずかに沈んだのを察する。

「あの人たちのせいなのか?」

紗雪は首を振る。

「ううん。とにかく今は母を探しに行こう」

ここで時間を無駄にしたくなかった。

せっかくのパーティーだというのに、まるで見世物の猿のように見られる――

そんな状況が耐えられない。

こんな無駄な時間を過ごすくらいなら、有益なプロジェクトの話を何件も進める方がマシだ。

京弥は静かに頷き、彼女の気持ちを理解したと示す。

だが彼は目だけを上げ、周囲で陰口を叩いていた面々の顔をひとり残らず記憶した。

後で必ず、片をつける。

ここは二川家の縄張り。

動けば自分の立場を荒らすことになる。

――そろそろ......彼女に自分の正体を話すべきかもしれない。

こんなふうに時間だけが過ぎていけば、ますます言い出しづらくなる。

もし他人の口から知られてしまえば、彼女はもっと怒るだろう。

どうして自分は隠したんだ......

後悔が胸を刺した。

やり直せるなら、最初から嘘なんてつかなかったのに。

だが今更何を言っても遅い。

二人は美月を探しに歩き出す。

すると、彼女はグラスを手に笑顔で客と談笑していた。

目が合った瞬間、紗雪は悟る――

今行くべきではない。

割り込めば話の流れを壊すだけだし、自分が入る余地もない。

次の瞬間――目の光がふっと落ちる。

下ろした手がきゅっと握りしめられた。

――なぜ緒莉がそこにいる?

母の隣に立ち、盛装し、まるで当たり前のように微笑んでいる。

挑発だと言わんばかりに。

紗雪は動かず、ただ静かに二人を見つめた。

緒莉は従順な娘のふりをし、淡いピンクのマーメイドドレスで可憐に飾っている。

だがその裏側に潜む蛇の毒を紗雪は知っている。

どれだけ見た目が綺麗でも、心は真っ黒だ。

京弥も彼女の視線を追い、理由を理解した。

――まさかあいつまで連れてくるなんて......

このパーティーは、安東家との契約破棄の公表、そして紗雪が後継者であることを正式に示す場。

緒莉に関係することなど何一つもないはずだ。

なのになぜ?

一ヶ月の昏睡、その原因の一端を担った女。

すべて美月に説明したはずなのに......まだ分かっていない。

京弥の胸に、痛みが走る。

大切に守ってきた人が、こんな扱いを受け
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