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第42話

Author: レイシ大好き
京弥の低く落ち着いた声が受話口から伝わってきた。その声には、少しの疲れと柔らかな笑みが滲んでいた。

紗雪は手を止め、パソコンの右下に表示された時刻をちらりと確認する。

「迎えに来たということは、今日は忙しくないの?」

彼女はマウスを動かし、別のファイルを開いて素早く内容をチェックした。

「前から決めてたんだ」

京弥の声が、先ほどよりも柔らかくなる。

「最近物騒だからな。一人で帰るのは危ないだろ」

紗雪の胸にじんわりと温かいものが広がる。

無意識に耳たぶを触りながら、口元がふっと緩んだ。

「もう少し残業するから、待ってて。この企画書、明日使うの」

「じゃあ、上に行くよ」

そう言って、京弥は電話を切った。

「ちょっ......」

紗雪は慌てて引き止めようとしたが、すでに通話は終わっていた。

彼女はしばらく携帯を握ったまま固まる。

どうしよう。

周囲をそっと見回す。

もう定時は過ぎているが、まだ数人の同僚がデスクに向かって作業をしていた。

この時間に京弥がオフィスに現れたら、絶対に注目を集めてしまう。

想像するだけで、彼らの驚いた顔や、微妙に含みのある視
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