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第776話

Author: レイシ大好き
他のことはさておき、辰琉は自分の肋骨のあたりがズキズキと痛むのをはっきり感じていた。

おそらく――いや、間違いなく折れている。

「当たり前だろ!」

辰琉は声を荒らげた。

「お前ら全員グルなんだ。俺なんてよそ者だ、いじめられるに決まってる!」

その言い訳めいた言葉に、紗雪は思わず吹き出しそうになった。

「ふうん、自分でも『よそ者』だって自覚はあるんだ?」

嘲るような視線を向けられ、辰琉は珍しく気圧される。

他の誰に睨まれても強がれるのに、紗雪だけは違った。

彼女は全てを知っている。

監視カメラがないからこそ、こうして強気に振る舞っているに過ぎない。

もし証拠映像が残っていたら、こんな態度は取れなかっただろう。

だが返す言葉も見つからず、口を開けても声は出なかった。

紗雪は相手を気にも留めず、淡々と続ける。

「それにあの注射器。持ち込んだのはあなたでしょ。私たちは一度だって使っていないわ」

言葉の調子を少しだけ変えて、彼女は追い打ちをかける。

「それどころか、最初は私の体に注射しようとしたんだもの。

中身が何なのか、私も気になるわ」

「私の体に注射」――その一言に、京弥は反射的に立ち上がりかけた。

さっきの一蹴りはまだ甘かった、と怒りで頭が真っ白になる。

得体の知れない薬剤を紗雪の体に?

想像するだけで、胸の奥が針で刺されるように痛む。

自分が不甲斐ないばかりに、彼女を守るのが遅れた。

目を覚ましたばかりの彼女を、あの男と二人きりにしてしまった......

その無力感に、京弥の体は小さく震え始めていた。

すぐ傍にいた紗雪は、その震えに気づく。

そして彼が何を思っているかも、すぐに理解できた。

胸が締めつけられるように痛む。

彼女はそっと手を伸ばし、京弥の掌を強く握る。

さらに指先で軽くなぞり、安心させるような合図を送った。

驚いて視線を向けると、紗雪はやわらかな微笑みを返してくる。

そのやり取りを、緒莉は見逃さなかった。

この女、目を覚ましたばかりで、もういちゃついてるなんて......

恥知らずめ!

奥歯を噛みしめすぎて、今にも砕けそうだ。

だがよく考えれば、相手は正式な夫婦。

どんなに睦まじくしていても、法的にも当然のこと。

それを自分がどうこう言う資格はない。

紗雪は微笑んだまま、緒莉の苛
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