社長は私を離さない

社長は私を離さない

last updateLast Updated : 2025-11-15
By:  空蝉ゆあんCompleted
Language: Japanese
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建設会社で働いていた西宝麻美。帰宅した彼女はポストを確認すると、一つの封筒を取り出していく。それが彼女の運命を変えていく存在になるとは考えていなかったーー 麻美が本当の愛を知るまでの物語。

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Chapter 1

第一話 採用通知

全ての始まりは一つの採用通知からだった。建設会社で働いていた西宝麻美《さいほうあさみ》は息を吐くように椅子に座ると、見覚えのない封筒を蛍光灯に掲げていた。

「採用通知? 何これ」

封筒にはそれ以外の情報は書かれていない。住所があるはずなのに、見当たらなかった。どうしてこれがポストに入っていたのかを知る為に、何処の採用通知かを確認するしかないと自分に言い聞かせ、丁寧に開けていく。

【ジェクトコーポレーションーー西宝麻美様、この度は当社の面接にご参加頂きありがとうございます。西宝様のお仕事内容についてお話を進めていきますので当社にご来訪よろしくお願いします。日時は20日の午後二時となっています。三間坂建設にはこちらからご連絡をしておりますので、ご了承下さい】

手紙に打ち込まれている文字を読み終えた麻美には面接をした記憶が一切ない。彼女は建設会社で下積みをする為に働いている。それなのに、急にジェクトコーポレーションからの手紙が届いた。何がどうなっているのか分からない麻美は会社の直属の上司葉山に連絡をする事にした。

「会社に連絡してるってどういう事なのよ。なんでジェクトが……」

ブツブツと自分の心に留めておいた言葉を吐き出すと、タイミングよく葉山から着信が入る。マナーモードにしていた麻美は持っていたスマホを操作し、通話ボタンを押した。

「お疲れ様です」

「お疲れ、西宝。お前、明日会社に来なくていいからな。いや明日から来なくていい」

「どういう事ですか?」

当然のクビ宣言をする葉山は麻美の様子に気を止める事もなく、淡々と話を進めていく。

「お前は明日からジェクトコーポレーションの社員になる。郷東様からそう聞いている」

「へ? 郷東って……誰ですか?」

「おいおい。お前の上司だぞ。ジェクトコーポレーションを纏めている、郷東終夜《ごうとうしゅうや》社長だ」

葉山から知らされた内容は未知の領域のものだった。勝手に自分の事を決められた事に腹を立てている麻美は、葉山に自分の気持ちを伝えようとする。しかし葉山は、これ以上関わりたくないのだろう。要件を終わらせるとすぐさま通話を切った。

「郷東終夜……」

聞かされた名前を呟くと、どこかで耳にした事がある事実を思い出していく。それは麻美の父、西宝晴明が言っていた言葉に隠されていた。晴明は建設会社の社長をしている。麻美は晴明の跡継ぎとして子会社の三間坂建設に実力をつけさせる目的で入社させていた。そんな父の了承もなく、勝手に動き出している物事に疑問を抱えるしか出来ない。

「麻美、決して郷東終夜を敵に回してはいけないよ」

記憶の中で忠告を促す晴明の姿を繰り返していく。その言葉が麻美を動けないように縛り上げていった。郷東終夜が何者なのかを知らない。少しでも情報が欲しかった麻美は慌てるようにパソコンを開き、終夜の名前を打ち込んでいく。

カタカタと音が響きながら、心臓の音も加速していった。Enterキーを押すと、そこには終夜の情報で埋め尽くされている。ジェクトコーポレーションのサイトには勿論、国、県、町の公式ホームページに終夜の今までの学歴と功績が公開されていた。一会社の社長の立場であるにも関わらず、どうしてそれ以外の場面に表示されているのだろう、クビを傾げ画面を見つめる事しか出来なかった。

「……この人、何者なの」

ジェクトコーポレーションーー複数の事業を展開していきながら、勢力を拡大し続ける。話題の会社として有名だった。建設は勿論、飲食店、IT技術を中心に幅広く運用している。この会社の社長は殆ど顔を見せる事はなかったが、後継者として選ばれた終夜は先代社長と別の視野で状況を観察し、表舞台へと出る機会にも恵まれていた。

新しい技術を広める先駆者として紹介されていた終夜の事を思い出すと、肩を下げた。

「はああああああ?」

ひっそり暮らすつもりだったのに、無理矢理引っ張られているように思えた麻美は、不満と共に叫び声をあげていくーー

彼女にとって運命の分かれ道が目の前に現れた。受けるか拒否するかで麻美を含み、周囲に影響がいくだろう。断る事が許されない状況に気づいた時には遅かったのだった。

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