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第三話 和食 de 庭キャンプ(その一)

last update publish date: 2025-05-12 11:00:36

――大型連休に入る少し前のある日のこと。

私はいつもの仕事部屋で、今日も原稿を書いている。

唐突だが原稿を執筆している最中、こんなことを思ってしまった。

(んー……アレ? そういや、最後に焼き魚や煮魚を食べた日って……いつだっけ?)

なぜ、そんなことを言い出したのか?

麺類や肉類、簡単な炒め物やスーパーで売っていた惣菜はよく食べている。

しかし、最近は献立の中に自分で作った和食らしいものを取り入れていなかった。

(本当は健康を意識したいところだけど、忙しいと簡単なものをついつい……)

オマケに今原稿を書いている内容は、決まったテーマがある。

雪絵さんから雑誌に掲載する提案で「私の好きな和食」というコラムで依頼が来ていたのだ。

ちなみに私の好きな和食は、焼き魚や肉じゃがなど色々とメニューが挙がっていく。

だけど、いざ文章にしたい食材が意外と思い浮かばない。

自分の決めたメニューからどんな内容にして書こうか悩んでいる。

いわゆる、キッカケ作りが難しい。

(うーん、ここは気分を変えてアイデア探しに冷蔵庫の中身をみてみるかぁ……)

そう思いながら一旦、仕事部屋から出ることにした。

キッチンにある冷蔵庫の中を見に向かうよう、席から立ち上がる。

台所の部屋に入り、冷蔵庫の扉を開いてみる。

最初目に見えたのが、黄緑色の蓋で閉じている半透明のタッパー。

(あっ! この前、残った白菜ときゅうりを切って白だしで漬けていたままだった。そろそろ食べないと!)

そして、その隣に魚の入った袋を発見した。

先日スーパーで購入した、鯵の干物だった。

(干物かぁ……。干物といったら……あぁ! これは、もう、炭火で焼くしかない!)

この機会に思い切って庭キャンプでもしよう。

仕事の気分転換になるし、何かいいアイデアが浮かぶかもしれない。

(締め切りまでは、まだ時間がある。ご飯を作って食べてから原稿を再開しよう)

よし、今日の夕飯は鯵の干物で決まりだ。

せっかく和食にするなら、もちろん白米と味噌汁も欲しい。

メニューは、これでベリーグッドと言えるだろう。

すんなり決められたことで、あとは行動に移すのみ。

(和食メニューで庭キャンプ……いいねぇ)

出来た食事を想像すると、心の中の表情がニヤニヤと笑みが出そうだ。

そんな感じで、私は早速準備に取り掛かることにしたのである。

 ◇ ◆ ◇

まずは、いつものようにキッチンで行う下ごしらえから作業を開始する。

一合分の白米を洗い、メスティンに水ごと入れる。

しばらくの間、お米の吸水させるためメスティンの蓋をして放置するだけ。

これでお米を炊く準備は万端だ。

(あとは焚き火台の上で炊くから、もう玄関まで持っていこう)

次は、味噌汁に入れる具材決めと味噌玉だ。

実は今回、初めての味噌玉を作る。

今まではインスタント味噌汁で頼りきっている。

その中で特にお気に入りが、米麹の入った合わせ味噌。

具材は三種類あって、ネギが一番大好きだ。

けれど、いつの間にか家で常備しているストック分がもうなくなってしまった。

(今は、ストックが全くないけど心配無用)

なぜかタイミングが良く、先週末に私の実家から食料品が送られてきた。

その中の一つにインスタントではなく、生味噌で送られてきた。

両親にお礼をするついでに電話をして聞いてみた。

どうやら今流行りのお取り寄せで、美味しい合わせ味噌があったからと買ってきたらしい。

(まぁ、人並程度だけど味噌汁が作れないわけでもないし、ここはありがたく使おう)

しかし、問題が一つある。

生の味噌をどうやって手軽に持ち運べるかだ。

容器ごと持っていくにしても、一人分だけの量が欲しい。

(えーっと、味噌、キャンプ飯っと……)

スマートフォンのネットアプリで検索して調べた。

キャンプ飯で味噌汁が出来るなら使いたいと思っている。

そこに出た結果が、例の味噌玉を作ることでたどり着いた。

(せっかく和食のメニューにするなら、味噌汁も定番ものだから欲しくなる)

味噌玉余を作る材料は、味噌と粉鰹。

鰹節ではなく粉鰹なのは、恐らく溶けるのが早いからだ。

その上、出汁として入れるために使うのだろう。

もし、家に粉鰹が無くても顆粒だしや鰹節を細かくすればいいかもしれない。

具材は乾燥ものであれば好きな組み合わせと、サイト内のレシピに記されている。

(あと、味噌汁の具材は何にしようかな?)

と言っても、具材選びはそう困ることはなかった。

決まったのは、乾燥ワカメだ。

持ち運びする際なら、乾物だろうと判断したからだ。

まずは、適度な大きさに切ったラップを台の上に敷く。

そこに味噌と粉鰹、ワカメを乗せて、一旦混ぜ込みながら味噌を団子状に包み込む。

そして、口の部分をねじって縛る。

たったこれだけで、味噌汁の元になる味噌玉の完成。

(凄っ! こんなにも早く簡単に出来た……。もっと早く知れば良かったなぁ)

これでごはんの準備が整ったから、あとはキャンプ道具の設置にかかるのである。

――和食で揃うキャンプごはんを楽しみにしながら……。

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