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第七話 夏の定番カレーライス(その三)

last update Last Updated: 2025-06-26 10:32:24

 ——カシャッ、タンッ、タンタン。

(うん、この写真がいいからこれにして……送信っと!)

私はスマートフォンのカメラで、出来上がったカレーライスの写真を数枚撮る。

写りのいいいものを選択して、恭弥さんにLIMEで送った。

もちろん、メッセージも添えて……。

(あとは返事が来るまで待つ……その間冷めないうちに食べてしまおう)

彼からの返信を待ちながら、カレーライスを食べることにする。

「いただきます」

手を合わせて食事の挨拶をした後、カレーの皿に添えた木製のスプーンを手に取る。

カレーとご飯の狭間の部分をひと口分すくって口へ運ぶ。

(おぉ! ガラムマサラをかけたことで、ピリッとしたスパイシーさが増してる)

でもそんなに嫌な辛さはなく、大人なら誰でも食べられる辛味が良い。

それも加え奥にある甘みや酸味、旨味といったコクのハーモニーが上手く調和されている。

(くぅぅ~、やっぱりカレーは美味しいから最高!)

一口食べるごとに、どんどん食欲が増していく。

時折、カレーに添えた甘めの福神漬けで食感を変えるととまらない。

これを食べて、今年も夏バテから乗り越えられたらいいなぁと思っている。

——カレーライスを半分くらい食べた頃……。

ピコンッ!

スマホからメッセージの通知がきた。

(あっ、恭弥さんからだ! どんな返事が来たかなぁ?)

顔には表さないけれど、期待しながら画面を開いてみる。

恭弥さん「おっ、今日のご飯はカレーかぁ。良いなぁ! はぁ……空のお手製カレーが恋しいよ」

飯テロの効果が効いていると、ふふっと心の中で笑いが生まれている。

思えば、家でカレーを作ること自体が久しぶりだった。

一人で食べるからレトルトで済ますことが多かった。

私「そういえば、私も最近家でカレーを作ってなかったから作ったんだけど、すごく美味しいよ」

恭弥さん「あぁ~羨ましい! 今度の結婚記念日の連休か、その次の時ぐらいにカレー作ってよぉ」

よほどお腹が空いているのか、まるで子供みたいに駄々をこねるようなメッセージだ。

恭弥さん「どんなカレーとか肉の具材を何にするかは空に任せる」

(え? 任せるって言われても……)

私はそのメッセージにちょっと困ってしまった。

恭弥さんの実家では、牛肉以外にも豚肉や鶏肉の日もあったから迷う。

さすがに私の一存だけでは決めかねない。

私「恭弥さん……せめて、何のお肉が良いのかぐらいリクエストしてほしい」

恭弥さん「んー……何が良いかなぁ。あっ、鶏肉だ。鶏肉にしよう! バターチキンカレーなんかもいいな!」

私「鶏肉ね。うん、わかった」

(確かにバターチキンカレーも食べてみたい……)

お店のものしか食べたことがない私にとって、未知の挑戦だ。

鶏肉は、我が家に用意がないから今度買いに行くこととしよう。

恭弥さん「あっ、そういや……よくよく考えたら、結婚記念日の時はローストチキンを一緒に作る日だった」

私「そうだね、前にどうするか決めたから」

実は先日、連休の日程が再び決まった時に再び庭でキャンプの計画話をしていた。

その際、メニューも何にするのかを一緒に決めていた。

恭弥さんは前からダッチオーブンを使って、鶏の胸肉でローストチキンを作りたかったらしい。

恭弥さん「じゃあ、カレーは次回に回すとしよう。それにしても、カレーを外で作るって林間学校とか以来じゃない?」

私「うん、私も林間学習の時に、夕飯で作ったわ」

恭弥さん「アレだろ?黒い飯盒でご飯炊いて、金色の鍋でカレー作って……。懐かしいなぁ」

私「懐かしいね」

(確かに、何人かのグループに分かれてご飯を作っていたなぁ)

私は、野菜を切ったりとカレーを作る側だった。

一応、家でも普段料理のお手伝いしていたから苦ではなかった。

(まぁ、稀にサボっていた人もいたけど)

それよりも、結婚記念日の方が待ち遠しい。

恭弥さんに会えることでワクワクなのと、庭で二人きりのパーティーするなんて斬新な気がする。

メッセージを送り合いしながら食べているうちに、カレーライスはもう無くなった。

辛さが程よく、とても美味しかった。

これで少しはスタミナがついたし夏を乗り越えられる……と思いたい。

(さて、残りの時間は……コーヒーを飲みながら、少し焚き火をしながらゆっくり過ごそうかなぁ)

 ◇ ◆ ◇

 時間は、夕暮れから夜を迎えようとしている。

私は、先日ナタで細くした木や太めの薪を追加していた。

念の為、暗くなって灯りが必要とする時にLEDタイプのランタンも持ってきている。

——パチッパチッ!

しばらくすると小さな火が、だんだん大きくなっていく。

同時に火と木が燃え重なり音を奏でている。

沸かした湯をミルク入りインスタントコーヒーの入ったマグカップに注いでひと息。

自然が奏でる音を楽しみつつ、私は焚き火で灯している炎のゆらめきを眺めながらぼんやりと過ごしている。

(今夜は星が見えるかなぁ……)

そろそろ、夏の大三角や天の川の見える時期が近づいていく。

少し暗くなりつつも、夕焼けの空がまだ余韻に浸っている。

そんな空の中にうっすらだけど、星がだんだん鮮やかに見えてくる気がした。

今日も美味しいごはん、ごちそうさまでした。

——キャンプシーズンがやってくる盛夏、本格的な夏の始まりへ……。

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