LOGIN——カシャッ、タンッ、タンタン。
(うん、この写真がいいからこれにして……送信っと!)
私はスマートフォンのカメラで、出来上がったカレーライスの写真を数枚撮る。
写りのいいいものを選択して、恭弥さんにLIMEで送った。
もちろん、メッセージも添えて……。
(あとは返事が来るまで待つ……その間冷めないうちに食べてしまおう)
彼からの返信を待ちながら、カレーライスを食べることにする。
「いただきます」
手を合わせて食事の挨拶をした後、カレーの皿に添えた木製のスプーンを手に取る。
カレーとご飯の狭間の部分をひと口分すくって口へ運ぶ。
(おぉ! ガラムマサラをかけたことで、ピリッとしたスパイシーさが増してる)
でもそんなに嫌な辛さはなく、大人なら誰でも食べられる辛味が良い。
それも加え奥にある甘みや酸味、旨味といったコクのハーモニーが上手く調和されている。
(くぅぅ~、やっぱりカレーは美味しいから最高!)
一口食べるごとに、どんどん食欲が増していく。
時折、カレーに添えた甘めの福神漬けで食感を変えるととまらない。
これを食べて、今年も夏バテから乗り越えられたらいいなぁと思っている。
——カレーライスを半分くらい食べた頃……。
ピコンッ!
スマホからメッセージの通知がきた。
(あっ、恭弥さんからだ! どんな返事が来たかなぁ?)
顔には表さないけれど、期待しながら画面を開いてみる。
恭弥さん「おっ、今日のご飯はカレーかぁ。良いなぁ! はぁ……空のお手製カレーが恋しいよ」
飯テロの効果が効いていると、ふふっと心の中で笑いが生まれている。
思えば、家でカレーを作ること自体が久しぶりだった。
一人で食べるからレトルトで済ますことが多かった。
私「そういえば、私も最近家でカレーを作ってなかったから作ったんだけど、すごく美味しいよ」
恭弥さん「あぁ~羨ましい! 今度の結婚記念日の連休か、その次の時ぐらいにカレー作ってよぉ」
よほどお腹が空いているのか、まるで子供みたいに駄々をこねるようなメッセージだ。
恭弥さん「どんなカレーとか肉の具材を何にするかは空に任せる」
(え? 任せるって言われても……)
私はそのメッセージにちょっと困ってしまった。
恭弥さんの実家では、牛肉以外にも豚肉や鶏肉の日もあったから迷う。
さすがに私の一存だけでは決めかねない。
私「恭弥さん……せめて、何のお肉が良いのかぐらいリクエストしてほしい」
恭弥さん「んー……何が良いかなぁ。あっ、鶏肉だ。鶏肉にしよう! バターチキンカレーなんかもいいな!」
私「鶏肉ね。うん、わかった」
(確かにバターチキンカレーも食べてみたい……)
お店のものしか食べたことがない私にとって、未知の挑戦だ。
鶏肉は、我が家に用意がないから今度買いに行くこととしよう。
恭弥さん「あっ、そういや……よくよく考えたら、結婚記念日の時はローストチキンを一緒に作る日だった」
私「そうだね、前にどうするか決めたから」
実は先日、連休の日程が再び決まった時に再び庭でキャンプの計画話をしていた。
その際、メニューも何にするのかを一緒に決めていた。
恭弥さんは前からダッチオーブンを使って、鶏の胸肉でローストチキンを作りたかったらしい。
恭弥さん「じゃあ、カレーは次回に回すとしよう。それにしても、カレーを外で作るって林間学校とか以来じゃない?」
私「うん、私も林間学習の時に、夕飯で作ったわ」
恭弥さん「アレだろ?黒い飯盒でご飯炊いて、金色の鍋でカレー作って……。懐かしいなぁ」
私「懐かしいね」
(確かに、何人かのグループに分かれてご飯を作っていたなぁ)
私は、野菜を切ったりとカレーを作る側だった。
一応、家でも普段料理のお手伝いしていたから苦ではなかった。
(まぁ、稀にサボっていた人もいたけど)
それよりも、結婚記念日の方が待ち遠しい。
恭弥さんに会えることでワクワクなのと、庭で二人きりのパーティーするなんて斬新な気がする。
メッセージを送り合いしながら食べているうちに、カレーライスはもう無くなった。
辛さが程よく、とても美味しかった。
これで少しはスタミナがついたし夏を乗り越えられる……と思いたい。
(さて、残りの時間は……コーヒーを飲みながら、少し焚き火をしながらゆっくり過ごそうかなぁ)
◇ ◆ ◇
時間は、夕暮れから夜を迎えようとしている。
私は、先日ナタで細くした木や太めの薪を追加していた。
念の為、暗くなって灯りが必要とする時にLEDタイプのランタンも持ってきている。
——パチッパチッ!
しばらくすると小さな火が、だんだん大きくなっていく。
同時に火と木が燃え重なり音を奏でている。
沸かした湯をミルク入りインスタントコーヒーの入ったマグカップに注いでひと息。
自然が奏でる音を楽しみつつ、私は焚き火で灯している炎のゆらめきを眺めながらぼんやりと過ごしている。
(今夜は星が見えるかなぁ……)
そろそろ、夏の大三角や天の川の見える時期が近づいていく。
少し暗くなりつつも、夕焼けの空がまだ余韻に浸っている。
そんな空の中にうっすらだけど、星がだんだん鮮やかに見えてくる気がした。
今日も美味しいごはん、ごちそうさまでした。
——キャンプシーズンがやってくる盛夏、本格的な夏の始まりへ……。
クリスマスの日まで、もう間もない日のお昼頃……。——ピンポーン!(ん? インターホンのチャイムが鳴っているではないか?)「はい」(珍しい……。今日、来客する予定は確かいないはずだけど……?)私は画面越しから出てみることにした、ひとまず、来客が誰なのかを確かめるためだ。「大地運送です」「あ、はい。少々お待ちください」(あれ? 今日って、何か届く予定とかあったかな?)疑問はまだ残るけど、とりあえず宅配便だった。わかったからには、外でずっと待たせるわけにもいかない。急いで部屋から出て、玄関の扉を開ける。「こんにちは! 宅配の商品をお届けに参りました!」「は、はい! お疲れ様です」「ちょっと大きいものですが、すぐに荷物お持ちしますので待ってくださいね!」その方はいつも来てくれるエリア担当の男性。中年のおじさんぐらいの年齢層で顔見知りだ。我が家では、大きな荷物が届くことは少ない。だが、今回は少し大きめダンボールの荷物を二つ抱えているではないか。(おっと、これはちょっと大物だなぁ……その場凌ぎに玄関に置いてもらおう)一つだと、女性でもそこそこ抱えられる範囲かもしれない。しかし、二つもあると少し大掛かりという印象だ。「荷物……結構大きそうですね。どうぞ、こちらへ」「あぁ、すいません! 中の方へ失礼します」そう思い、玄関の扉を開けたままにして、配達員を荷物の置き場所へ誘導した。&n
——十二月中頃。いつも仕事場として使っている部屋で、ネットサーフィンをしながら篭っている。それもそのはず、十二月に入ると私の住む山奥では、気温が極端に下がり雪も降り始めている。まだ完全に積もっているというわけではない。しかし、日が経つにつれて積もっていく日も増えていく。(雪かきをしないといけなくなるけど、この寒さでは堪えちゃうなぁ)庭でキャンプをするにも、耐寒機能のないタープやテントでは凍ってしまう。ストーブなどの暖房があっても尚厳しい地帯だ。つまり、冬用のものじゃないと食事をして過ごすことは疎か、ずっと外に居ることすら大変なことである。山奥の朝は、最低気温が二桁に近いマイナスの温度から始まる。日が天辺にあるお昼間でもマイナスの一桁台、暖かくても零度から超えたら良い方だ。こんな状態の外じゃあ、流石に凍え死んじゃう。あと大声では言えないけど、私は極度の寒さは苦手だ。(ずっと外にいたら風邪を引いてしまいそう……)そんな理由もあって雪の降り積もっている間が、私の庭キャンプのお休み期間。しばらくは、家の暖房や炬燵で冬籠りをすることに……。外に出づらいしちょっと寂しいけど、クリスマスから年末年始に近づいたら、お休みに備えて仕事も忙しくなる。今年のクリスマスは、恭弥さんが当日に帰れそうにない。その代わり、先月末から今月初めに一度帰ってきた。早いけれど、ちょっとオシャレなレストランのフルコースやクリスマスケーキなどを食べて過ごしていた。それに年末年始は、彼と一緒にお正月を過ごすし初詣や旅行が楽しみだ。 ——さて、現在の話に戻そう。急ぎの仕事がないというのも相まって、前述の通り気晴らしに通販サイトを開いている。注文しているサイトは、いつもの大手通販サイトだ。何
——冬を迎える前のひとり鍋に、乾杯!(まずは、主役の豆腐をすくってと……)豆腐一つをお玉で鍋からすくい、箸で水菜とネギを取り出す。温まっているとはいえど、口の中へ入れるときの豆腐の中は熱い。それに私は猫舌だから、熱い状態ですぐに食べるのが少し苦手だ。ひと口で食べられるサイズを箸で割り、フーフーと少し冷ましながら口の中へ運ぶ。「ハフッ、ハフッ! 熱っ!」(やっぱり、まだ中はちょっと熱いのが……。けど、美味しい)絹豆腐は湯豆腐にすると、より柔らかな感じのイメージある。けれど、コシが残っていて尚且つ滑らかさも持っている。ポン酢に含まれる柚子の風味と酸味、昆布のホッとする優しい出汁が豆腐本来の味を横に添える感じだ。(この出汁が手助けをしてくれるから、豆腐がより感じられるのかなぁ)けれど時にポン酢のタレは豆腐の中へ染み込み、味変するかのような変化も起きる。不思議な作用だなぁと、感心してしまう。豆腐をひと口食べ終えたら、熱燗が入った徳利をおちょこに入れ移し、チビっと味わう。(う~ん、良い感じのまろやかさ!)口当たりがお酒の尖りっ気もクセもない。ほんのり甘みが広がっている。それなのに、後味はスッキリさせてくれるものだ。(湯煎して温めたのは正解だね)ストーブも大活躍してくれて、本当に一石二鳥だ。(豆腐も良いけど、野菜も煮えているから食べてみようっと!)私は先にポン酢に浸かっている水菜から取って
もう既に昼間も寒くなって、パーカーだけでは冷えが防ぎ切れない。風が吹くと耳まで凍えてしまいそうな気がした。こんなときこそ、イヤマフ付きのニット帽も被りたくなる。(この寒さじゃあ……それに合わせてウィンドブレーカーを羽織る出番の時期になったかぁ)薄い長袖の上に厚めのパーカー、その上に赤のウィンドブレーカー。作業用に履くズボンも、裏起毛が入ったヒートタイプの黒ズボンにした。今日は寒くないと良いなぁと思いつつ、いざ外へ出てみると……。(うっ! 寒っ! これは冷える……)強い風はまだ吹いてない。けれど、外の空気は想像通りひんやりと寒い。今日の天気予報では、雨が降らない薄暗い曇り空。これも冬の季節へ近づいた合図がしている気がする。周りに生い茂っている雑草の葉っぱも、ほぼベージュ色で纏う枯れ草だ。(玄関内に、カイロが置いてあったはずだけど……あ、あった!)玄関の靴箱の上にある箱からカイロを一つ取り出した。すぐにやって来る冬には欠かせないであろう。これさえあれば、多少の寒さがあっても我慢出来るし大丈夫だろうと思いたい。袋から中身を取り、シャカシャカと振ってウインドブレーカーのポケットにしまった。(さて、今からいつものテーブルやチェアを……)庭の収納庫から取り出し庭の真ん中へ設置する。その少し離れた場所に、焚き火用シートを敷いて焚き火台を置く。もちろん、今回も焚き火をするに決まっている。笠の開いた松ぼっくりや前回に残っている小さめの炭から新たに追加する大きめの炭を敷き詰めて……。それから、前に細かく割っておいた薪を山みたいに立てて並べていく。(一応、
——十一月の初旬頃。本格的に、冬が目の前になるという寒さの日。お昼はとっくに経って、もうまもなくおやつの時間まで過ぎようとしている。(あぁ、そろそろ暖房が欲しくなる時期がきたなぁ。ストーブを押入れから出したいものだ)日中の気温は今のところ、まだマイナスへ行くほどの温度になっていない。だが夜になれば、一気に下がって一桁台が多い。特に、来月後半になれば雪が降ってくるかもしれないと予報もちらほら出ている。寒さを凌ぐこたつのある温かい家に篭りたい気持ちが高まってくる頃だ。庭でこっそりに住んでいる虫や、山の中で暮らしている動物達もきっと同じ。これから訪れる寒さから凌ぐため、冬眠の準備をしているのだろう。(私も、そろそろ衣替えして冬用に着る厚い生地の服装を出さないといけないなぁ)そう思っているうちに、ふと気づいた。冬になれば、我が家の場所では雪が降ってしまう。雪の中でのキャンプを一度してみたい気持ちはある。だが今は、そこまで過ごすことができる装備や道具がない。ストーブと焚き火台だけあっても寒さが耐えられるのか?答えは当然「ノー」で、極寒の寒さには厳しいのである。(今日もきっと、寒いだろうなぁ……)だがこの時期こそ、どうしても食べたい物がある。それは……鍋料理である。鍋料理といえば寄せ鍋やキムチ鍋など定番の味。高級なものだと蟹やふぐ、あんこう鍋とか思い浮かぶかもしれない。そうは言っても、本当はそこまで予定していなかった。(食べたいものが急に浮かんできちゃったせいで、チャチャッと用意するのが難しい)その理由は、冷凍のお肉や魚を解凍してないからだ。今から解凍しても
(あ、そろそろ他の方へひっくり返そうかな)さつまいもを入れてから、二十分経った頃だった。焼き芋を均一に焼きたいため、火挟を持って焼いてる方面から転がすように返す。焼けるまでの時間まではまだまだといったところだ。炭が少なくなってきたので、薪や切炭を少し追加する。そうこうしていると、今度は雪絵さんからLIMEのメッセージが届いた。雪絵さん「い、芋……? どういうこと?」どうやら少し困惑気味だったので、ここは説明することにした。すると、すぐに返信が来た。雪絵さん「あぁ、そういうこと! 意味がわかったわ。 何を送ってきたのかと思ったら……今、焼き芋作ってるのね」私「うむ。焚き火台で作っているの」雪絵さん「へぇ~焚き火台で! それは面白そうだね。私も彼とやってみたいなぁ」(な、なぬ? 彼氏……だって⁉︎)雪絵さんがもう彼氏持ちになったということに、私は思わず驚いてしまった。この件は前回も説明したが、改めておさらいを……。同時に彼女から届いた今回の情報を共有しながら確認してみようと思う。(まさか、彼氏の話になるとは思わなかったけど)雪絵さんの彼は、私とも同い年で某アウトドアショップで働いている。彼女曰く、彼は販売リーダーという役職持ちの店員。オススメのキャンプ道具を取材した時が馴れ初めだという。その日をきっかけに数回訪れたり連絡先も交換したらしい。プライベートのことも話している内に意気投合し、ようやく交際に発展したのが昨年からだ。(告白はどっちだったかなぁ……あっ、これだ)探していると、先日送られてきたLI
今日もいつものトレーナーパーカーやジーンズ、ウインドブレーカーを着て外へ出る。最近は寒さも緩和されて過ごしやすくなったかなぁと思う。でも、私にとって夜はまだ少し寒い。(虫はそんなにいないけど、念のためにメッシュタープを立てておこう。おっと、少しだけ風も出てる)今はそよ風くらい弱いけれど、万が一と考えて備えることにしよう。外にある収納庫からタープと固定用の紐と重石と大物を運ぶ。その後に焚き火台、テーブル、ローチェア、木の棚、炭などの一式も
――大型連休に入る少し前のある日のこと。私はいつもの仕事部屋で、今日も原稿を書いている。唐突だが原稿を執筆している最中、こんなことを思ってしまった。(んー……アレ? そういや、最後に焼き魚や煮魚を食べた日って……いつだっけ?)なぜ、そんなことを言い出したのか?麺類や肉類、簡単な炒め物やスーパーで売っていた惣菜はよく食べている。しかし、最近は献立の中に自分で
(もうそろそろ、彼からメッセージ来るかなぁ……?) 淡い期待に……とふと思っていたら、ピコンっとスマートフォンからLIMEの通知が鳴っていた。そろそろ辺りは真っ暗になる頃だった。恭弥さんからメッセージが届いていたから、手に取って確認をする。恭弥さん「お疲れ。今、何してる?」私「今、晩御飯を食べてる最中。この後、星空観察するから暗くなるの待っているの」恭弥さん「そっか、なるほど。今日は
お湯を沸かしている間、私が星空を観察するようになったきっかけを振り返ろうと思う。それは、私たちが結婚する前のお話である……。 ——交際して半年くらい経った時のこと。「もしもし?」「空、今時間ちょっといいか?」「うん? いいけど、どうしたの?」恭弥さんから電話が掛かり、次回のデートの予定日を聞かれた。どうしても見せたいものがあるからと、彼の家でのお泊まりを招待してくれた。今はここ