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第六話 梅雨時の部屋キャンプ(その一)

last update publish date: 2025-06-09 10:30:51

 ——六月後半、ある日の午前中のこと。

(うーん……。今日も一日中、雨かぁ……)

私は、仕事部屋で窓の外を眺めながら鬱々としている。

なぜなら、先週から梅雨入りしたとニュースで流れていたからだ。

梅雨時期になると庭でキャンプをすることが出来なくて、悶々とした心が私を襲う。

(キャンプが出来ないって辛い……。早く梅雨明けしないかなぁ……)

全くできない訳ではないが、雨の降っている山奥の外では冷え込む。

オマケに恭弥さんから「風邪引くからダメ」とキャンプを行うことを止められている。

私はしょんぼりした顔で、仕方なく雪絵さんから依頼された特集の企画を立てる仕事に戻る。

(うーん……)

仕事しながら、ふと考えていたことがある。

梅雨時に、キャンプみたいことをどうやって体験出来そうなのかということだ。

(仕事の企画を早く考えて立てないとだけど……キャンプのことを浮かんでしまったからとそっちのけになっちゃう)

どうしても頭の中では、家で何かそれらしいことを出来るものがないか模索してしまう。

——数十分後……。

パソコンの画面で仕事に向き合いつつ、アイデアを練っているうちにあることを思い出す。

(あっ! そういえば、昨日偶然見つけた番組でこんなことしてたわ!)

それは、テレビでチャンネルを変えていた時に流れていたバラエティ番組のことだった。

梅雨時に部屋でキャンプ風の過ごし方という特集を目にした際、興味が湧いていた。

(おぉ、我が家でもやってみたい……。いや、今日こそがチャンスじゃないか。これはやっておかないと!)

同じようなことが出来ると想像するだけで、私のやる気が俄然と出てくる。

私はその目標に向けて、お昼ご飯までに猛スピードで仕事を取り組んで終わらせるよう決めた。

 ◇ ◆ ◇

——数時間経ち、お昼の時間になった。

仕事に集中してエネルギーを使った分、いつにも増してお腹の音が鳴り止まない。

私は早速、頭の中で想像しながら立てた計画に取り掛かろうとしている。

そう、テレビで放送していたものと同じ、梅雨時ならばのキャンプの楽しみ方だ。

(題して、部屋キャンプ作戦!)

我が家には、一部屋だけ全く使ってないところがある。

その部屋を利用して外で行っているキャンプと同じように雰囲気を味わうという作戦だ。

テーブルや椅子は玄関の収納室にもある。

それを活用できる時がようやく来た。

(今回は、どんなレイアウトにしようかな?)

ラグと木製の折り畳みラック、テーブルランプとかもあれば良い感じになりそう。

まずはラグを床に敷いて、次はラックとかテーブルなど家具系の配置だな。

真ん中にはテーブル、その傍にローチェア置いて……。

(ラックを二つ用意したけど、どの辺にしようかな?)

一つは自分の手に届く範囲で、取りやすい場所に設置する。

残りは、少し離れた場所が良さそうかなと試しながら模索している。

他にローチェアの斜め後ろ辺りへ設置したり、テーブルより少し離れた場所に置いたりしている。

(小物は本やランプ、シングルバーナーに……あっ、コーヒーも必要だからそれも用意しないと)

一度部屋から離れ、台所へ向かうことにした。

そこへ入ったらお昼ご飯は何にしようと考えつつ、まずは冷蔵庫の中を見る。

(何があるかなぁ……? おっ、まずは食パンがある。あとは……あっ、いいもの見つけた!)

冷蔵室の真ん中にある棚から、白い陶器のボウルが目に入る。

中身は、昨日のドライカレーが残っていた。

(食パンとの組み合わせたら……これは、簡単なホットサンドが出来る!)

しかし、ここで一つ問題がある。

キッチンに取り付けてあるコンロはIHヒーターのもの。

我が家の持っているホットサンドメーカーは直火やガスコンロしか料理が出来ない仕様だ。

(うむ、ガスコンロが必要だ。上の棚から出そう)

調理器具の棚から、シングルバーナーを取り出す。

あらかじめキッチンでサンドイッチにしてホットサンドメーカーへ入れて置くのがいいだろう。

キャンプ部屋のテーブルに五徳のついたシングルバーナーを置いたら焼くだけで済むからだ。

他に冷蔵室から余ってるポテトサラダも付け合わせとして持っていくことも決まった。

デザートは、この前作ってみたプリンがある。

それにザラメを乗せてバーナーで軽く炙れば、カラメルにも出来る。

(よし、メニューはこれで決まり!)

私は心の中で思いながら合点ポーズをとる。

決めたからには早速、実行に移してみることにした。

(まずは、ホットサンドの準備を……)

食パン8枚入りを2枚分取り出して、1枚目をオリーブオイルを敷いたサンドメーカーの片面の方に乗せる。

中身を入れるものは、順番にスライスチーズ、昨日の余りのドライカレー、サラダ用の千切りキャベツ

それらをサンドメーカーに乗せた食パンの上へ重ねていく。

最後パンを上に乗せたら、鉄板で押し合わせこむように蓋を閉める。

パンの耳がはみ出てないの確認し、止め金具で取手の溝へ留めた。

あとは部屋にある五徳付きのシングルバーナーで焼くのみだ。

(次はポテトサラダだけど、ちょっと量があるなぁ……。別のお皿に入れよう)

もう一つ同じく残り物であるポテトサラダは器に盛り付けるのみ。

実を言うと、私は二日目のポテトサラダが好きだ。

一晩ぐらい寝かすことで、味も馴染んできてる感じが堪らない。

プリンはとりあえずザラメだけ乗せて後で持っていくから、一旦冷蔵庫に入れておくことにした。

(これで準備は整った。コンテナに入れて部屋へ持っていこう)

器具などの荷物をまとめ、キッチンをあとにした。

——体験したことのない、部屋での非日常を楽しみにするのである。

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