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第二話 カップカレーラーメンと北斗七星(その四)

last update Dernière mise à jour: 2025-04-21 11:00:49

(もうそろそろ、彼からメッセージ来るかなぁ……?)

 淡い期待に……とふと思っていたら、ピコンっとスマートフォンからLIMEの通知が鳴っていた。

そろそろ辺りは真っ暗になる頃だった。

恭弥さんからメッセージが届いていたから、手に取って確認をする。

恭弥さん「お疲れ。今、何してる?」

私「今、晩御飯を食べてる最中。この後、星空観察するから暗くなるの待っているの」

恭弥さん「そっか、なるほど。今日は昼間も曇りが一切無かったから良い天気だったね」

私「うん。でも外はまだ寒くて冷えるからカイロ持って温めてる。あと、今日の晩ごはんにカレーラーメンのカップ麺を食べて身体を温めてた」

少し行儀が悪いけど、麺を食べ切ったカップ麺の残りスープを飲みながら彼に返事を送る。

もう少しで晩ごはんの食べ終わりが近い。

でも、スープはゆっくり味わいながら最後まで飲み干していこうと思う。

恭弥さん「だったらストーブ出せば良かったのに……。と言っても、家の炬燵の方が寛げられるか(笑)」

私「うーん、というか……炬燵で過ごす以前に、そもそも電源コードとかが無い」

恭弥さん「そうだった。今度、電源コードをどうするか検討もしないとなぁ。あれば便利なんだけどねぇ」

私「うん」

(と言っても……恭弥さん、こっちに帰って来る予定はいつなのだろう……)

なぁんてなことを思っていたら、またしても彼から返事が届いた。

今度は思いがけない内容だった。

恭弥さん「次の休みなんだけど」

私「うん?」

恭弥さん「今度、誕生日期間だから一週間をひとまず貰えるようにしたよ。その時に久しぶりに買い物とかしよう」

私「恭さん、今回も休みを貰えたの?」

恭弥さん「あぁ、もちろん。てか、毎年この時期は貰えるようにしてるだろ?(笑)」

私「そうだね」

確かに、毎年の記念日など大切な日は必ず帰ってくるようにしてもらっている。

ただ、どうしても都合がつかない時があったりすることも……。

その場合は、代わりにリクエストしてプレゼントを送ってもらうことがある。

恭弥さん「なぁ、空」

私「なに?」

恭弥さん「今日の星空、北斗七星が見えるね。初めて、空が家に来た頃を思い出すなぁ……」

(あっ……そうだった。私が初めて星空を見て感動した星座……)

彼も私と一緒で、休憩の合間に眺めているのかなと想像する。

恭弥さん「じゃあ、そろそろ俺は残りの仕事を終わらせてくる。ゆっくり眺めてね。あと寒くなるから風邪引かないように」

私「うん、ありがとう。夜もお仕事頑張って」

これで今日の分のメッセージを送信し終えた。

この後、私は食後のコーヒータイムに取り掛かろうと思う。

同じコッヘルに水を入れ、火をつけてお湯を沸かした。

今回選んだコーヒーは、赤いパッケージの袋に入ったコーヒー粉。

(コレを、今日初めて飲むコーヒー……どんな味だろう?)

先月、恭弥さんから送ってくれたものだ。

香りは、その袋に「キャラメルバニラ」と英語表記で記されている。

私自身コーヒーの製品については、そんなに詳しくない。

自分が飲みやすいかどうかくらいしか、判断が出来ないレベル。

恭弥さんはそれをわかっていたのか、私でも味が好みそうなものとオススメしてくれた品物だ。

(恭弥さんって、色んなこと知ってるんだね……私の好みの味も)

私は苦いものより、少し甘い方が好き。

ステンレス製のマグカップに、百均で買った茶色いプラスチック製のコーヒードリッパーを乗せる。

その中へドリップ用のペーパーをセットした。

コーヒーの粉を計量スプーンで計りながらセットしたペーパーの中に入れる。

(一人分の量だから、これぐらいでいいかな?)

あとは、お湯が沸騰したら飲める態勢だ。

今はまだ、小さな泡が出始めたところ。

沸いてくるまで、あともう少し。

(誕生日は恭弥さんとお出かけデート……。楽しみだけど、それより早く会いたい……)

今は、会えない寂しさで少し悶々している。

でも久しぶりに会ったら、私が緊張してお湯のように沸いちゃうのだろうか。

ちょっと恥ずかしいかも……なんて思っている内にボコボコと大きい泡の出る音がした。

(あっ、もうお湯が沸いてきた)

沸いたお湯をドリッパーに入れたコーヒーの粉へゆっくり注いていく。

注いだコーヒーの粉から、ふわっとキャラメルの甘い香りが漂ってきた。

(いい匂い……! この香り、キャラメルが甘い……。うっとりする)

全て注ぎ終わり、ミルクを入れてひと息……。

(はぁ……コーヒーを飲むとホッとする。落ち着くなぁ……)

寒さの中、温かいコーヒーを飲むひと時も悪くない。

むしろ、その温かさから私や色んな人の心を落ち着かせてくれる。

ようやく薄暗かった夜空の景色が一段と深まってきた。

さっきまではまるで密かに隠れていたであろう、星が次々と鮮やかに見えてくる。

(あっ! やっとハッキリ見えてきた。あの時と同じ……)

夜空一面にあちこちと星が散りばめられている。

この時期の象徴でもある春の大三角形が簡単に見つけられた。

恭弥さんとの思い出の一つ、北斗七星も美しい。

今日の星空は、一段とキラキラと輝いている。

初めて見たあの日の星空の出会いと同じように……。

私は、そんな気がした。

――恭弥さんと紡いだ思い出が、夜空に詰まっているのだから……。

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