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第14話

Author: イチイチニゴ
私たちの距離は、とても近かった。

彼の体から漂う、ほのかな松の香りと金木犀の香りが混じり合って、心地よかった。

何の抵抗もなく、私は微笑んで目を閉じた。

次の瞬間、軽いキスが降りてきた。

柔らかく、まるで心臓をくすぐる羽のようだった。

心の中の琴線が、久しぶりに震えた。

彼は私を腕の中に抱きしめた。

「君がいいと思ったら、結婚しようか?」

私は彼の胸に寄りかかり、力強く、そして少し速い彼の心臓の鼓動を聞いていた。

ただ、訳もなく、安心した。

「はい」

良い恋愛は、人をより良い自分にしてくれるという。

昨夜の出来事を経て、私はまるで重荷を下ろしたように、清々しい気持ちだった。

いつものように早起きして、カエデと一緒に朝のランニングを約束した。

私とカエデは幼い頃から一緒に育ち、家も隣同士だ。

あの頃、私がここを離れると言った時、彼女は長い間私を説得し、危うく絶交寸前になったものだ。

大切な親友を失わずに済んだことを、私はとても嬉しく思った。

カエデは走りながら、しきりに私を見ていた。

「どうしたの?」私は顔に触った。

出かける前にちゃんと洗ったはずだ
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