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第42話 改変の時

Penulis: 結城らい
last update Terakhir Diperbarui: 2025-12-18 06:01:38

 翌日。

 俺はノコと一緒に、病院へ行った。

 診察の予定はなかったが、ノコの発作が酷かったので、念のためにお医者さんに診てもらおうと思ってのことだった。

 心なしか、病院は混雑している。待合室には多くの患者が詰め寄せており、座る場所を見つけるのもひと苦労、といった状況だ。

 これはもう、一日がかりになることを覚悟したほうがいいな、と思った。

「お兄ちゃん、ごめんね。学校休んでまで……」

「いいんだよ。ノコのためだ」

 一応、俺達は父方の叔母に養われている、という形になっている。だけど、叔母は酷い人で、途中から俺達の面倒を放棄し始めた。いわく、「兄貴の子にかけるお金は無い」とのことだった。

 形式上は保護者がいることになるので、行政に救いの手を求めようにも、俺達にはその資格が無いことになる。孤児として放り出されるよりも、ずっと過酷な状況だ。

 それもこれも、全ては、親父が蒸発したせいである。

 あいつが俺達や、母さんを見捨てて、行方をくらましたりしなければ、こんな苦しい思いをしなくて済んだんだ。

 なのに、いまさら俺の前に現れて、挙げ句の果てには命まで奪おうとしてきた。

(どこまで行っても、クソ親父だな)

 そんなことを考えていたから、表情が険しくなっていたのだろう。

「どうしたの、お兄ちゃん? 怖い顔してる……」

 ノコに尋ねられて、俺は慌てて作り笑いを浮かべた。

「大丈夫だよ。ちょっと、昨日のダンジョンのことを思い出していたんだ」

「危ないこと、あまりしな

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