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last update Last Updated: 2025-11-24 06:00:31
 日は瞬く間に過ぎたある夜のこと――。

 咲良と咲真が同時に泣き出し、美桜はふらふらになりながら揺りかごを覗いていた。

 寝不足で身体が重い。目元も熱い。

「……ごめんね、泣かないで……」

 日々のお世話であやすことも満足にできず、徐々に疲弊していった。

 もっと穏やかに子供たちに向き合いたいのに、それができない役立たず。

 やはり自分が母親になるなんて、無理だったのではないか、綾音たちが言うように、日陰で一生表に出ることなく暮らしていればいいのだと、そう考えていた時だった。

 背後から大きな影が近づき、優しい腕が美桜の肩を包んだ。

「美桜」

「……一成くん?」

 彼は暫く新しく帝都にデパート建設のため、各地を回り、商品を探す旅に出ていた。

 本来なら海外に渡航したいところだろうが、綾音や京たちの手前、心配だからと入荷については現地の信頼のおける友人に依頼したり、工夫していた。

「戻ったの?」

「暫く留守にしていてごめんね。一人で子供を二人も見るのは辛かっただろう? もっと他の人も頼らなきゃいけないよ」

「ありがとう。わかっているのだけど……離れるとみんな私の前からいなくなっちゃいそうで……不安なの」

 かつて、東条の家が焼け落ちた日のことを思い出す。

 自分だけがこの世に助かってしまい、ずっと虐げられてきた。

 ようやくできた家族から、片時も離れたくないと思う美桜の気持ちは強かった。

 彼は泣いている咲良をひょいと抱き上げ、迷いなく背中を優しくトントンと叩いてあやす。

 不思議と子供たちは一成がこうしてくれると、泣き止むのだ。

 咲良が落ち着き、うとうとし始める。

「どうしてそんなに上手なの? 私なんかずっと泣かせてばかりなのに……」

「いろんな子のお世話をしてきたからね。君より少し慣れているだけだよ」

 さらりと言ったその声に、美桜の胸がぐっと熱くなる。自慢したり、恩着せがましく言ったりしない。

 一成はなにをやってもスマートだ。だから女性に非常にモテる。

 咲良が落ち着いたので美桜に渡し、続いて咲真を抱き上げる。

「よしよし。僕の子なんだから、美桜お母さんをそんなに困らせたらだめだろう」

 その言葉に美桜ははっと息をのむ。

「僕の子って……まだ、そう思ってくれるの?」

「当たり前だよ。誰の子だと思っているの? 誰がなんと言おう
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