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第146章:五感が導く癒やし

Author: Déesse
last update publish date: 2026-10-31 08:55:59

ブランシュ

襲撃から三週間が過ぎた。

抜糸は終わった。

脇腹には、不規則なピンク色の線が残っている。日焼けした肌を横切る、戦いの署名のような傷跡だった。

彼は再び歩き始めていた。

最初は寝室の中を短い距離だけ。やがて廊下へ。

銀の柄頭がついた杖に体重を預けながら、一歩ずつ進む。

彼の体力は、干上がった海が再び満ちていくように、ゆっくりと戻ってきていた。

夜中にうなされることも減った。

私を恐怖に陥れていた、彼の瞳に浮かぶガラスのような曇りも消えつつあった。

ときには笑うことさえあった。

あの低く、めったに聞けない笑い声を聞くたび、私はどうしようもなく心を奪われる。

けれど、戻っていないものが一つだけあった。

私たちは口にしなかったが、それは幽霊のように二人の間を漂っていた。

欲望。

肉体。
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    「脱げ」私は指先でシルクの帯をほどいた。ガウンが開き、肩から滑り落ち、足元に黒い水たまりのように広がった。ランプの揺らめく光の中、私は彼の前に裸で立っていた。肌には鳥肌が立っていた。けれど、寒さのせいではない。期待と欲望。そして、いつも私たちの激しい時間の前に訪れる、甘美な恐怖のせいだった。黒い瞳が、裸足の先から赤く染まった私の顔まで、ゆっくりと私を見つめた。最初の夜、地下の闘技場で向けられたものと同じ視線だった。品定めするような、所有するような、飢えた視線。けれど今は、それ以上の何かがあった。より深く、より優しく、より人間らしい何か。彼は、失いかけた芸術作品を見つめるように私を見ていた。奇跡を目の当たりにした人のように。「きれいだ」彼がささやいた。「今までで一番きれいだ」私は目を伏せた。頬が燃えるように熱かった。彼がそう言うのは、これが初めてではない。けれど今夜、その言葉は違う響きを持っていた。彼の弱さから生まれた、思いがけない贈り物だった。「ベッドに上がれ」彼は穏やかに命じた。「私の隣に横になれ」私は言われたとおり、慎重な猫のようにシーツの上を這い、傷ついた脇腹に触れないよう注意しながら、彼の隣に身を横たえた。すると彼は顔をこちらに向け、指先で私の顎を捉えた。そっと持ち上げ、私に目を合わせさせる。「今夜は、お前が主導権を握る」私は信じられない思いで瞬きをした。「私が……?」「そうだ。私はまだ弱っている。動きにも制限がある。だが、お前が欲しい、ブランシュ。砂漠で道に迷った男が水を求めるように、お前を求めている」彼の声は、

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    ブランシュ襲撃から三週間が過ぎた。抜糸は終わった。脇腹には、不規則なピンク色の線が残っている。日焼けした肌を横切る、戦いの署名のような傷跡だった。彼は再び歩き始めていた。最初は寝室の中を短い距離だけ。やがて廊下へ。銀の柄頭がついた杖に体重を預けながら、一歩ずつ進む。彼の体力は、干上がった海が再び満ちていくように、ゆっくりと戻ってきていた。夜中にうなされることも減った。私を恐怖に陥れていた、彼の瞳に浮かぶガラスのような曇りも消えつつあった。ときには笑うことさえあった。あの低く、めったに聞けない笑い声を聞くたび、私はどうしようもなく心を奪われる。けれど、戻っていないものが一つだけあった。私たちは口にしなかったが、それは幽霊のように二人の間を漂っていた。欲望。肉体。私たちだけの秘密の言葉であり、神聖な領域でもあった、身体と身体の融合。私は今も、彼のベッドのそばにある肘掛け椅子で眠っていた。ときには彼と同じベッドに入ることもあったが、触れるのは慎ましい愛撫や額への口づけ、暗闇の中で手を握ることだけだった。彼は何も求めない。私も何も差し出せない。療養と親密さの境界は曖昧で、危うかった。彼を傷つけるのが怖い。無理をさせるのが怖い。彼の欲望がまだ戻っていないのではないかと怖かった。それ以上に恐ろしかったのは、欲望が戻っているのに、身体がそれに応えられない可能性だった。けれど、その夜は何かが違っていた。空気は柔らかく、庭では咲き始めた藤の花が香っていた。オイルランプが壁に揺れる影を映し出す。ダミアンはベッドの上で羽毛枕に背中を預け、上半身裸で座っていた。夕方の冷気など気にも留めていないよ

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    次は身体を洗う番だった。 医師は、包帯を濡らさないことを条件に、ベッド上で身体を清拭することを許可していた。 私は洗面器に温かい湯を用意し、天然のスポンジを浸した。 最初は彼の手から。 掌。指。関節の一つひとつを、優しく揉みほぐす。 水が肌を流れ、夜の汗と病の痕跡を洗い落としていく。 私は前腕から上腕二頭筋へ、そして肩へと移動した。 肌を覆う刺青の上を、スポンジが滑る。 左の上腕に巻きつく蛇。 右の前腕に刻まれた羅針盤の薔薇。 今では、その一つひとつが何を意味するのか知っている。 それぞれの刺青が、彼の復讐の一段階を示していた。 影の王を形作ったパズルの一片だった。 そして今、私は戦士の傷を戦いのあとに洗い清めるように、スポンジと石鹸水でそれらの象徴を洗っていた。 胸元へ移り、包帯を慎重に避ける。 私の指は、力強い筋肉の輪郭をなぞった。 私を押さえつけ、守り、温めてくれた胸。 私は聖遺物を扱うように、その身体を洗った。 敬意を込めて。 深い愛情を込めて。 愛を込めて。 一つひとつの動作が祈りだった。 一つひとつの愛撫が捧げ物だった。 脚に移ると、彼は小さくうめいた。 太腿の傷は、まだ痛むのだ。 私は注意深く、シーツを必要な分だけ持ち上げた。見せるべきではない部分は露わにせず、肌の上をスポンジでそっと拭う。 頬が熱くなる。 けれど、それは気恥ずか

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    必要ならすぐに介入できるよう、そこにいる。けれど、存在を感じさせないように。私は震える指で、ダミアンの顔にブラシを近づけた。手元は不安定で、動きもぎこちなかった。彼が目を開ける。黒い瞳が私の視線を捉えた。そして、珍しい笑みを浮かべた。大理石のように冷たく見える顔が、一瞬で人間らしい表情に変わる。「ゆっくり、ブランシュ。猫を撫でるように。指先に覚えさせるんだ」私は頬と顎、唇の周りに泡を広げた。泡の下にある伸びかけた髭は、ざらざらしていた。私は時間をかけた。単なる作業だったはずの動きを、ゆっくりとした愛撫に変えた。これまで知らなかった彼の顔を、指先で探る。こめかみ。薄く柔らかな皮膚。角張った顎。肉の下に浮かぶ骨の輪郭。下唇のすぐ下のくぼみ。今まで気づかなかった小さな窪み。眉間には、集中すると刻まれる一本のしわがあった。「覚えが早いな」目を閉じたまま、彼がつぶやいた。私は剃刀を手に取った。オイルランプの光を受けて、刃が銀色に輝く。その光景は、遠い昔のように思える〈狩猟のゲーム〉の短剣を思い出させた。けれど、この刃は武器ではない。これは手当ての道具。優しさと献身のための道具だった。私は刃を頬に当て、髭の生え際からゆっくりと動かした。刃が肌を滑り、泡と髭を取り除いていく。かすかな音がした。ほとんど聞こえない、ささやかな擦過音。私は息を止めた。手の動きが軽くなる。自分でも知らなかった本能に導かれるように、私は剃刀を滑らせた。一度。また一度。刃は頬から顎へ、そして喉へと進んでいく。そこには脈がある。私が何度も口づけし

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