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第4話

Auteur: キュートキャット
5年間も恋人として付き合ってきたこの私を、圭佑は従姉妹と言ったのか?

しかも、彼は瑶子の母親のことを「お義母さん」と呼んでいる。

瑶子の父親の杉本竜也(すぎもと たつや)は、軽蔑のこもった目で私を見た。

「どうせ君の金を頼りに来た貧乏な親戚なんだろ?」

美優も鼻で笑う。

「こんないい大人が、誰かに頼らないといけないなんて。図々しいにも程があるわ。医療費ぐらい自分でなんとかするのが、当たり前でしょ?

圭佑さん、さっさとこの人を追い出してよ」

私がこんなことを言われていても、圭佑は私をかばおうともしない。

瑶子は隠しきれない喜びを浮かべながらも、わざとらしい声色で言った。

「お父さん、お母さん。私はもう圭佑さんと入籍したんだから、この人も親戚になるんだよ?親戚付き合いは大切にしたいから、ここに住まわせてあげてくれない?」

しかし、竜也と美優は声を揃える。「出て行ってもらわなきゃ困る!」

それを見た圭佑は、私を脇に引き寄せ、声を潜めて言った。

「梨花。申し訳ないけど、数日間どこか別のところで過ごしてくれないか?」

これで何度目だろう?圭佑が瑶子のために、私をこんな扱いにするのは……

瑶子が会社に入ってきてから、圭佑は私より彼女を優先するようになった。

何度、結婚するための「願い」のために私の成果を瑶子に譲ってきたことか。

そして今や、二人で築いた家まであの女に譲れというのだ。

しかし、今回の私は以前のように取り乱して泣いたりしない。私は無言で寝室へ行き、すでにまとめておいた荷物を取り出す。

「私も出ていくつもりだったから、ちょうど良かったよ」

圭佑は、私が心が広くなったと勘違いし、なぜ私が荷造りを終えていたのかは疑いもしなかった。

「梨花、今回が最後だから。1ヶ月が過ぎれば、瑶子と離婚して、君と入籍する。豪華な式も挙げよう。もう二度と辛い思いはさせない」

私は適当に頷き、圭佑に背を向けた瞬間、ある通知を確認した。それは、圭佑が私の退職届を承認したというメッセージだった。

この男は私に辛い思いはさせないと言った直後に、退職届を承認したのか?

まあ、別にいい。

私たちに未来がないことを、圭佑は知らないのだから。

私は2日後には国外へ飛び、圭佑の元から完全に消える。二度と会うこともない。

家を出た私は、ホテルを予約した。

その夜は久しぶりにぐっすり眠れた。

翌朝、私は圭佑が会社のシステム上で承認した退職届のコピーを携えて会社へと向かった。

人事課から出ると、同僚たちがひそひそと笑い声を漏らしている。

「谷口さんっていい人そうだったのに、裏では不倫してたなんて最低」

「そういう人間と一緒に働きたくないよね」

私は何が何だかわからず聞いてみた。「不倫?何の話ですか?」

すると、一人の同僚に、強く突き飛ばされた。

「知らないふり?瑶子さんが社長との婚姻届受理証明書をインスタにあげてたのを見たんだから。あんたなんか厚かましい第三者じゃない」

肩をドアの枠に激しく打ち付け、鋭い痛みが走る。

瑶子がこの会社にくる前まで、同僚たちは圭佑と私の関係を知っていて、利益のためにこぞってすり寄ってきていたのに。

瑶子が権力を得たとたんにこの様だ。かつて私が彼らの手柄を支えてきたことなど、すっかり忘れたらしい。

「私はそんな……」

弁解しようとした時、可愛らしいワンピースを着た瑶子がやってきた。両手は結婚式の招待状と、小分けにされたお菓子セットの袋でいっぱいだ。

瑶子は幸せを分けてあげる、と言わんばかりにそれらを配り歩く。

結婚式の招待状とお菓子セットをもらった同僚たちは、露骨に瑶子へとへつらいはじめた。

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