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第954話

Author: 北野 艾
……というか、北里市に豪邸を持ってるはずの彼が、どうしてホテルに?

その疑問を見透かしたのか、澪士は淡々と付け加えた。

「自宅を改装中なんだ」

「……ああ、そうなの」

ミキは居心地が悪そうに視線を泳がせた。

別に、わざわざ説明してもらう必要なんてない。

よく考えれば、今夜のことだってそうだ。彼は自分を助ける義理なんて、これっぽっちもなかったはずだ。

だって、二人の関係なんて。

所詮は「友達の友達」でしかないのだから。

二人は並んでエレベーターに乗り込んだ。

「何階だ?」澪士が問いかける。

「……18階」

彼は無言でボタンを押した。ちなみに、彼自身は27階のロイヤルスイートに泊まっている。

エレベーターが18階に差し掛かろうとした、その時だ。「――甘いものは好きか?」澪士が唐突に切り出した。

あまりに意外な質問に、ミキは一瞬呆気に取られたが、反射的にこっくりと頷いてしまった。

「なら、俺の部屋へ来い」

さすがに、この時間にお邪魔するのはまずいんじゃ……

逡巡が頭をよぎる。けれど、一度頷いてしまった以上、今さら断るのも不自然で、かえって自意識過剰な気がした
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