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第356話

Author: アキラ
花嫁御寮が馬に乗るお姿もまた凛々しく、ありきたりの花駕籠よりはずっと見栄えがするものだった。

人混みの中からさらに声が上がった。「なんと美しい花嫁御寮じゃ!」

「ご祝言、誠におめでとうござります!」

祝福の声があちこちから上がり始めた。

凝霜は用意しておいた小銭を手に取り、人混みに向かって撒いた。

瞬時に、皆が歓声を上げた。

喬念はこの歓声と賛美の声の中、馬に乗り、章家の方角へとゆっくりと進んでいった。

迎えの行列が先導し、喬念がそれに続き、喬念の後ろからは、小さな屋敷から絶えず運び出される嫁入り道具の行列が続いていた。

先ほどまで小銭を拾うのに夢中だった民衆も、まもなくその嫁入り道具の行列に度肝を抜かれた。

「これはまあ、なんという嫁入り道具の多さじゃ!」

「あのお嬢様は、侯爵家を出てからはただの身寄りのない娘に過ぎぬと思っていたが、まさかこれほどの嫁入り道具を整えられるとはのう!」

「見よ、まだ終わりではないぞ!行列はもう通りの端まで届きそうだ!」

......

正直なところ、喬念は蘇老女が一体どれほどの嫁入り道具を用意してくれたのか知らなかったが、耳に絶えず聞こえてくる驚きの声から、蘇老女が自分のために十分な面目を保ってくれたのだと分かった。

「お嬢様」凝霜は喬念の馬のそばに付き従い、今は前方を真っ直ぐ見つめ、声を潜めて言った。「間もなく侯爵家でございます」

喬念の屋敷から章家へ向かうには、必ず侯爵家の前を通らなければならなかった。

今日は彼女の婚儀の日であり、林鳶が章衡に嫁ぐ日でもあった。

そしてちょうどその時、章衡が花嫁を迎えて出てきたところだった。

鮮やかな赤い婚儀衣装をまとっていても、その身に纏う将軍の風格は少しも隠しきれなかった。

たとえ手に赤い絹の紐を持っていても、その周りに漂う雰囲気は依然として冷たく硬質で、強大だった。

おそらく喬念の方の銅鑼や太鼓の音がやや大きかったのだろう、章衡は侯爵家から出てきたばかりだったが、顔を上げて喬念の方を見た。

一目見て、章衡は喬念に気づいた。

喬念は婚儀衣装を身にまとい、艶やかで目を奪うほどだった。あの駿馬の上に座り、可憐でありながらも凛々しさを失っていなかった。

この瞬間、章衡は呆然とした。

喬念が婚儀衣装を着るとこれほど美しいとは、夢にも思わなかった。

本来
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