第880話

耿じいの傷は放っておけない。すぐに止血して薬を塗らなければ！

喬念はほとんど考える間もなく、耿じいを支えて立ち去った。

喬念が去ろうとしているのを見て、刺客たちはすぐにまた突進してきた。

林華はすぐに迎え撃った。

刀と剣がぶつかり合う音は、この土砂降りの雨の中、ひときわ耳障りだった。

凝霜もすでに馬から降りて、二人の元へ駆け寄ってきた。

本来は喬念と一緒に耿じいを支えて逃げようとしたのだが、喬念はなんと耿じいを凝霜に直接預けた。

「耿じいを連れて馬に乗れ！あの紺色の蓋の瓶は塗り薬だ。急ぎ場所を見つけ、耿じいの手当てをしてあげて！」喬念はそう言いながら、振り返って戻ろうとした。

だが、凝霜に腕を掴まれた。「お嬢様！」

凝霜は顔中焦りで、その顔はすでに涙か雨水か分からなくなっていた。喬念は、凝霜が自分を心配しているのだと分かっていた。

しかし......

「彼を見捨てるわけにはいかぬ」喬念はそう言うと、凝霜の手を振り払い、林華の方へ駆け寄っていった。

林華の武芸は耿じいには及ばず、この時、刺客たちを相手にするのは一層苦戦していた。

何度か受け流すうちに、林華はあっという間に蹴り飛ばされ、地面に倒れた。

そして、刺客たちは彼に反応する時間すら与えず、剣を振り上げ、彼の胸元を突き刺そうとした。

だが、「シュー」という音が響いた。

小石が剣に命中し、剣の軌道が逸れ、林華の胸のすぐ横の地面に突き刺さった。

それを見た林華は、手の中の剣を勢いよく振り回し、目の前の刺客の喉を切り裂いた。

しかし、林華が立ち上がる間もなく、別の刺客が再び襲いかかってきた。

だが、彼が近づく前に、小石が彼の額に命中し、彼を二歩後退させた。

林華はついにその隙を突いて立ち上がり、剣を振り上げ、再び数人の刺客に襲いかかった。

道理から言えば、たとえ刺客が一人減ったとしても、林華の腕前では残りの数人に勝てるはずがない。

だが、どこからともなく飛んでくる小石が、常に肝心な時に彼らの攻撃を中断させるため、何度か交戦するうちに、劣勢だった林華は傷一つ負わなかったばかりか、そのうちの一人を殺していた。

そして、相手もついに異変に気づき、すぐに林華の背後の雨幕の方を見た。

あの松の木々の後ろに、きっと誰かが隠れている。

「誰かが彼を助けておる」

一人の刺客が口を開き