Share

第1322話

Author: リンフェイ
唯花は理仁がいつも傍にいてぶつぶつ口を挟んでくるのにこりごりだった。

理仁は唇を不満そうに結んで、訴えるように言った。「唯花、そんな口の利き方するなんて、俺のことが鬱陶しくなったんだな」

唯花はもう彼に足蹴りでもして追い出してしまいたいくらいだった。「これ以上ぐずぐずここにいるなら、今夜はゲストルームで寝てちょうだい」

理仁は体の向きを変えて、ドアのほうへ歩きながら悲しそうにしていた。「奥さんから嫌われた、妻はもう俺のことなんて愛していないんだ……」

「……」

唯花はこの男にほとほと呆れてしまった。

今や彼女の身も心もすべて彼に捧げているというのに、彼は他に何を心配することがある?

二分後。

理仁は両親と向かい合って座っていた。

理仁は白のスーツを着ている父親に向かって言った。「父さん、もうこんな年なんだぞ、そんな真っ白なスーツなんか着て。なんだ、息子と張り合う気か?」

栄達は言った。「なんだその言い方は、父さんはそんなに年寄りか?俺は自分のメンテナンスならきちんとできていると思うが。母さんが、私とお前が一緒に立っていたら親子ではなく、まるで兄弟みたいだと言っていた
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第2556話

    鈴は必死に抵抗して現金を奪われないように守ろうとしたが、一人では二人の使用人の力に敵うはずもなかった。一体咲はどこからここまで力のある使用人を見つけてきたのやら。一千万近くある現金は全て没収されてしまった。「ここは私の家なんだから、うちにあるものは全部私の財産に決まってるでしょ。鈴、ドアを開けてくれてどうもありがとうね。そのバッグは要らないから、あなたにあげる。ドアを開けてくれたお礼とでも思ってちょうだい」その瞬間、鈴は咲の首を絞めて殺してやりたいと思った。このバッグは自分の金で買ったものだというのに、恥一つないこの女は「あげる」と言ってきた。「そうやって睨み続けるなら、そのバッグも返してもらうわよ。自分で出ていく?それともこちらから誰かにあなたをつまみ出させてあげようか?」咲はそう軽く笑いながら言っていたが、鈴の耳には身も凍り付くような冷たさに聞こえた。二人のおばは、一番残酷でひどいのは咲だと言っていた。この時、鈴はようやく多くの教訓を得て、理解した。実の妹に対しても、一番情けの欠片もないのは咲だったのだ!「自分で出ていくから構わなくて結構。咲、柴尾家の全てがあんた一人だけのものってわけじゃないんだからね。私とお父さんとお母さんのものは、必ず取り返してみせるから」鈴はそう言いながら、自分のバッグを抱きかかえて、息を切らしながら外に駆けていった。裁判を起こして、財産分与させてもらう!咲は別に鈴が財産争いのために裁判を起こすことなど怖くもなく、ただ笑っていた。柴尾家の全ては、この時すでに咲の手にある。鈴が両親の財産を裁判を起こして取り戻そうとしても、教えてやろう、柴尾グループ内の違法な行為を行っていた会社こそ鈴の両親のものだ。すでにそれらの会社には警察の調査が入っており、そうではない会社の株のほとんどが咲のものになっている。それに鈴のものになった財産も流星と分割することになる。だから最後に彼女の手に残る財産など、彼女が思っているよりも、かなり、相当、ものすごく少ないのだ。その事は今は伏せておいて、鈴へのサプライズにしてやろう。将来鈴のものになる少ない財産では、そう長くは持たないはずだ。それを使い果たした時、鈴にまだ何ができるというのか。いくら騒いだとしても無駄だ。裁判ではっきりと彼女の財産は分けら

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第2555話

    鈴は不動産権利書に咲の名前を見つけた瞬間驚いた。この家は本当に咲のものだったわけだ。それなら、確かに鈴一家は咲の家を勝手に占領して住んでいたことになる。鈴は両親には他にも持ち家があることは知っていたが、敷地面積はこの柴尾邸ほど大きくはない。一家全員でここには住み慣れていたし、咲は家では透明人間のように存在感はなかった。使用人たちですら咲をいじめていたし、たとえこの家が本当に咲のものだとしても、誰も気にしないだろう。この時、咲が手を伸ばして鈴からその不動産権利書を奪った。そしてすぐに執事に電話をかけて指示を出した。「今すぐ数人連れて二階にあがってきて、今から鈴を追い出して」「ちょっと、あんたね……誰がこの家があんた名義だって言った?その不動産権利書にはお母さんの名前が書かれているから、この家はお母さんのものなの。つまり、私の家だってこと。出ていくべきはあんたのほうよ」咲は表情を変えずにただ鈴を見つめて言った。「鈴、私の目はもう先生のおかげで治っているから見えるの。まさか私は文字を読めないとでも思ってる?不動産権利書にははっきりと私の名前が書かれてあるじゃないの。あなた達一家が私の家を勝手に占領して、一円も家賃を払ってなかったのよ。あなたの部屋の物は持って行ってはダメよ。それを二十年分の家賃として差し押さえておくわ」その言葉に鈴は大きく目を見開いた。「咲、あんた目が見えているの?」このめくら、その目に光を取り戻していたのか。あんなに多くの医者が診ても治すことができなかったというのに、なんたらとかいう名医の弟子はここまですごい医者なのか。まさかあの咲の目に光を取り戻すことに成功するとは。ということはつまり、咲はずっと目が見えないふりをしていたと……「この!私を騙したわね!」いくら馬鹿でもここまで来ればわかるだろう。咲は目が見えていることをまずは伏せておいて、鈴にまだ咲は見えていないと思わせておいた。そして鈴が両親の部屋の鍵を開けて中に入るのを待ち、金庫を開けさせて、それらの暗証番号を手に入れるのが目的だったのだ。鈴はまったく警戒心なく暗証番号を入力する時も咲が隣にいるのにお構いなしだった。きっとその時に咲は完全に暗証番号を記憶したはずだ。このめくらは記憶力だけはいい。目が不自由な時、歩くの

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第2554話

    咲は体の向きを変えて、車を支えにしながらドアまで行くと、また車に乗って運転手に頼んだ。「玄関まで送ってちょうだい」そして執事に言った。「彼女に、私の後について来るように伝えて」鈴は咲が手探りで車の中に戻るのを見ると、目が見えているのではないかという疑いを消してしまった。これで何も心配などない。まずは自分の携帯と銀行カードを取り返してからだ。そして数分後。二人は前後になって二階にあがっていった。鈴は前を歩いた。咲が考えを変えて、使用人に自分を追い出すように命令するのではないかと恐れていた。今、家の使用人たちは全員咲が変えてしまったから、鈴の言うことを聞く人は一人もいない。鈴はさっさと自分の物を持っていかなければと考えていた。咲はゆったりと歩いている。その時、辰巳から電話がかかってきて、階段の途中で長々と彼とおしゃべりをし始めた。暫くしてからやっと咲は電話を切って二階にやって来た。咲が二階にあがった時、鈴が部屋から出てくるのが見えた。鈴は刑務所に入る前に買った新作のエルメスのバッグを提げている。聞くまでもなく、部屋に戻ってまずは自分の物を取り返したのだ。どうやら、ここ二日ほど携帯もお金もなく、大変な思いをしたのだろう。咲はただ瞳を光らせて、鈴がそれらを持っていくのを見ていた。鈴の銀行口座なら、咲がすでに止めてしまっている。だからそれを持っていっても、何も買うことなどできはしない。鈴はまだ若く、仕事もしていないから収入などない。彼女の両親が渡した銀行カードは小遣いをあげるためのものだった。そして、会社から毎月彼女のカードにかなりの金額が振り込まれていて、贅沢三昧をしていた。それを咲が柴尾グループを引き継いだとたんに、鈴の銀行口座を凍結させてしまった。すると鈴は得意そうな顔で咲を一瞥し、偉そうな口ぶりで話し始めた。「ねえ、そこのめくら、もうすぐあんたが負けを認める時間よ。一体誰がこの家から追い出される立場なんでしょうね?」咲は無表情で言った。「不動産権利書を見れば、すぐに答えがわかるわよ」「待ってなさい、今取ってくるから」鈴は大股で両親の部屋に行き、咲がいる目の前で暗証番号を入力した。どのみち咲は目が見えないからいいだろうと鈴は思っているのだ。入力が終わると、鈴はドアを開

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第2553話

    「お父さんは亡くなる前に遺書を残していたわ。結婚前の個人財産は全て私に譲るって。あなたの母親が私がまだ幼かったから、私の財産を全て奪っていったのよ。それに、あなたの母親と私のお父さんが結婚してからの共有財産なら、半分をさっさとあの人は持っていってるわ」咲の父親が亡くなった時、彼女はまだたった二歳だった。しかし、父親がその遺書を残す時には多くの人に証人になってもらっていた。みんなは咲の父親が若いのにどうして遺書などこんなに早く残すのか理解できなかった。おばの裕子は、咲の父親は娘のことをとても愛し大切に思っていたから、若いうちから遺書を書いたのだと言っていた。彼は自分が結婚する前の個人の財産と、結婚後の夫婦共有財産の半分を咲のために残した。柴尾邸は祖父母が咲の父親が結婚して暮らすために用意した屋敷だ。だから、それは父親個人の結婚前にできた財産であり、咲が相続する権利がある。それから柴尾グループの株に関して、それも父親が結婚前に持っていた個人財産であり、咲のものだ。確かに昔の柴尾家は今のようにかなりのお金があったわけではないが、それでもお金に困っていたわけではない。咲の父親の個人財産の価値は、今では昔より何倍にもなっているはずだ。鈴は咲の堂々とした反論に対し、信じられない様子で考えていた。両親がずっと暮らしていた家は咲のものだった?そんな話今まで聞いたことがない。こんなに大きな屋敷が、まさか咲一人だけのものだというのか?暫くして、鈴はやっと冷静さを取り戻し、やはり信じられずに言った。「そんなバカなことがあるわけないでしょ。私はここで生まれて育ったの。だから、ここは私の家よ。いつあんたの家になったわけ?嘘つき、私の家を占領するために、適当な話をでっち上げてるんでしょ」「あなた、あの二人の部屋の鍵は開けられるでしょ?この家の不動産権利書ならきっとあの部屋の金庫に保管されているわ。その金庫を開けて取り出して見ればわかる話よ」咲は父親が残した遺書の内容は知ってはいたが、家の不動産権利書は彼女の手元にはない。裕子から、咲は当時たった二歳で、父親が生前、家の権利書には彼女の名前を入れているが、幼かったため、権利書はきっと母親が持っているのだろうと聞かされていた。咲はずっとその不動産権利書を実際に見たことはなかった。そもそ

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第2552話

    鈴は昔すでに咲が意外と力があるということを思い知らされていた。咲は昔から母親の命令で家事の多くをこなしていたので、力だけはついていたのだ。咲が手を離そうとしないので、鈴はもう片方の手を伸ばして、咲の手をほどこうと思ったが、その時急にまた力が強くなり手首をひねられてしまった。その痛みに鈴は叫び声をあげた。「咲、いえ、お姉さん、お姉さんってば、もう悪口言ったり、叩いたりしないから。放して、手を放してよ、痛い、痛いわ!」鈴はあまりの痛みに負けを認めた。咲は鈴が泣きながら懇願してきたのを見て、暫くしてからやっと手を放してやった。鈴は手を引っ込めると、ふるふると震わせていた。ひどく手首をねじられてズキズキと痛む。手首は真っ赤になってしまった。このめくら、一体いつの間にこんなに機敏な動きができるようになったのだ?目が見えないはずなのに、一寸の狂いもなく、正確に手首を掴んできた。鈴は涙目で、車の中にいる姉を恨めしそうに睨みつけていた。もはやその鋭い眼差しで相手に穴でも開けてしまえそうなくらいだ。「咲、ここは私の家なんだから、私が帰るのは当然のことでしょ。どうしてうちの使用人たちを全部変えて、私を中に入れようとしないわけ?」この時、咲が車から降りてきた。彼女は車から降りると、ぐるりと車体を回って鈴の前までやって来た。鈴は、咲が車を支えにせず、とても自然に歩いてくるものだから、咲を見つめて完全に呆けてしまった。もしかして、目が見えるようになったのだろうか?おばから、結城辰巳がなんたらとかいうすごい医者に咲の目を診てもらったと聞いたが、すでに完治しているのだろうか?その医者はそこまですごい腕なのか?咲は十年もの長い間目が見えず、優しいおばの裕子が走り回って医者に治療方法がないか尋ねても治せなかったというのに、その名医の弟子とやらは、こんな短期間で咲の目を治療できたと?鈴は探るように、咲の目の前で手を横に振ってみた。咲は静かに彼女を見つめていた。「やっぱり、前と変わらないじゃない。見えてないんでしょ?」咲は黙っていた。咲は答えず、鈴の判断に任せた。「ちょっと、咲、あんたの目が見えても見えなくても関係ない。この家は私の家よ。私は家に帰るの。だから、追い出すことはできないはずよ。それに、あ

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第2551話

    警備員は鈴がゲートの前で大声で騒いでいるのを見ると、また執事に電話をかけて指示を仰いだ。「さらに騒ぐようなら、追い払っていい」「わかりました」祐一はこの状況を見て、総司に言った。「なんで鈴を煽るようなことをするんだ。鈴に騒がれて結城家を怒らせたら、俺たちだって良い事ないんだぞ」総司はイライラした様子で言った。「今の俺らに何も恐れるもんなんてないだろ?会社も家も車も何もかもなくしちまったんだ。これ以上何も奪われるもんなんてあるか?仕事もクビにさせようってか?そんならペットボトルでも拾い集めて売って金を稼いでやる」「それすらもできなくなったらどうすんだよ」祐一は大きなため息をついた。「お前だって向こうのやり方がわからないわけじゃないだろう。ほら、鈴を連れて山をおりるぞ。こんなところでああやって大騒ぎさせたままにするとやばいって」総司は口を閉じて何も言わなかった。「俺たちはまだ鈴を使って咲と対抗しないといけないだろ。鈴だけが正統な理由で対抗できるんだ。俺たちはただの親戚で、本家の子供とはやり合えないんだからさ」祐一の説得を聞いて、総司はやっと彼とともに再び鈴を黙らせて強制的に引きずっていった。そして今度は二人で鈴を連れて下山していった。鈴は女で力はなく、従兄たちに敵うはずもなかった。暫くは腕を掴まれて引きずられていたが、それではきついから途中から二人におとなしくついて行くと約束して手を放してもらった。鈴は今の自分は彼らにとって何もメリットがないから、以前のように彼らがご機嫌取りをしてこないことがわかり、おとなしくついて行くことにした。鈴が琴ヶ丘にまで押しかけて騒いだことが、辰巳の母親である薫子の耳にも入った。嫁の咲が鈴に会いたがらないことを知っていて、薫子も鈴をほったらかしにしておいた。それに誰もこの琴ヶ丘で騒ぎ続けることなどできはしないから、数分も経たずに自然と静かになるだろう。こうやって楽しい週末は過ぎていった。月曜日。琴ヶ丘でゆったりと過ごした若者たちは、日曜日の夜に琴ヶ丘から市内に戻っていった。朝七時半、咲は車で花屋を見に行こうとしていた。午後は会社に行くため数日留守にしなければならない。彼女は花屋で花束を作って結城グループに行く予定だった。数日出張しないといけないから、辰巳の

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status