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第2676話

Auteur: リンフェイ
数十年も経ち、法によって和子が重い刑罰を受けることがないというのなら、少なくとも、凪は当主の座を母親の姉の子孫に譲ることくらいはできる。

凪も黛家から離れ、自分の会社の経営に戻ればいい。

凪は以前のような、ささやかな生活のほうが好きだった。善悪の絡む物事からも、深く根を張った怨恨からも遠ざかりたいのだ。

母親から当時の話を聞き、凪は本気で母親が昔、人がやる事とは思えない残酷な事をしたのだと思った。

当主の座を狙ってのことだけでなく、そこには愛から生まれた憎しみも絡んでいるのだろう。

和子は今七十歳で、結婚してすでに数十年経っている。子供四人にも恵まれた。

しかし、和子の心の奥深くには、姉の付き人をしていた能力の高い秀才な男の存在があるのだ。

「口でいくら言っても意味はありませんね。実際の行動から、私が母親とは違う人間だということを証明してみせます」

唯月は暫く凪を見つめ、笑って言った。

「その正義感溢れた真剣な顔、すごくカッコいいです。それにとっても美しいですよ。あなたのお母様がもし今の姿を見たら、きっと気に障るでしょうね。

今、家庭内の状況は?お父様が浮気をしてお
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  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第2676話

    数十年も経ち、法によって和子が重い刑罰を受けることがないというのなら、少なくとも、凪は当主の座を母親の姉の子孫に譲ることくらいはできる。凪も黛家から離れ、自分の会社の経営に戻ればいい。凪は以前のような、ささやかな生活のほうが好きだった。善悪の絡む物事からも、深く根を張った怨恨からも遠ざかりたいのだ。母親から当時の話を聞き、凪は本気で母親が昔、人がやる事とは思えない残酷な事をしたのだと思った。当主の座を狙ってのことだけでなく、そこには愛から生まれた憎しみも絡んでいるのだろう。和子は今七十歳で、結婚してすでに数十年経っている。子供四人にも恵まれた。しかし、和子の心の奥深くには、姉の付き人をしていた能力の高い秀才な男の存在があるのだ。「口でいくら言っても意味はありませんね。実際の行動から、私が母親とは違う人間だということを証明してみせます」唯月は暫く凪を見つめ、笑って言った。「その正義感溢れた真剣な顔、すごくカッコいいです。それにとっても美しいですよ。あなたのお母様がもし今の姿を見たら、きっと気に障るでしょうね。今、家庭内の状況は?お父様が浮気をしてお母様にその現場を押さえられたとか。ここ数日、お父様は姿を見せていないそうですね」唯月は来たばかりだが、和子と洋文の件については知っていた。柏浜では、その件がビッグニュースになっていた。普段洋文とよくつるんでいる遊び仲間のほとんどが彼に同情していた。彼らは黛当主は夫を厳しく管理しすぎていると思っている。洋文には自由がなく、小遣いも少なすぎると。いくら仲の良い夫婦であっても、長期に渡り不自由な思いをさせられてしまえば、仲に亀裂が入るに決まっている。しかし、女性の大部分は和子のほうに立っている。彼女たちは、黛当主は確かに夫の管理が厳しすぎると思っているが、洋文が妻に対して不満があるなら、離婚を申し出ればいいだけの話であって、浮気をするとは何事かと思っているのだ。あれもこれも手に入れたいと?洋文は妻との結婚を続け、黛家から利益を得たいと思い、外では羽目を外したいという。その金は黛家のものではないのか?黛当主は夫に厳しく、毎日小遣いは一万円を超えないようにしている。しかし、彼女が河野家に与えている利益は決して少なくない。河野家は黛家という親戚がいることによ

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    「内海さんはこっちに来てどうしようとお考えですか?母もあなたが来ていることを知っています。母が何もしてこないとは思えませんから、気をつけてください。何か知りたいことで、私が知っていることなら教えます。私も知らないことは、お答えすることはできませんが」唯月は笑顔を引っ込めて、真面目な顔で凪を暫くの間見つめた。「凪さん、私たちはお会いしたことがあるし、あなたは正義感溢れる人だとわかっています。しっかりとした考え方をお持ちの人でしょう。だけど、彼女はあなたの実の母親であって、親子です。だから二人が完全に対立することはありえません」凪の顔からも笑顔が少しずつ消えていき、最後にため息をついた。「それもそうですね。私と彼女は実の親子同士。母と対立するのは私にとってもかなりのプレッシャーになります。それにかなりの勇気が必要。あなたが私に対して警戒するのはもっともな話です。でも、内海さん、私は本気であなたのことを気にかけ、心配しているのです。私の母はとても残酷な人間です。本当に容赦なく目的のためならどんな手も使う、残忍な人なんです。ただ、口で言っているだけではありません。私に対する警戒心から言いたくなければ、こちらからは尋ねません。でも、解決できない困難にぶつかった時は、本当に私に連絡してください。出来る限りの力であなたをお助けします。実際、私と母の間には親子の情なんてほとんどないんですよ。私は母に育てられたんじゃない、戻ってきた時には二十歳を過ぎていました。若葉が黛家に留まっている限り、家族はみんな彼女のほうを可愛がっている。もちろん、私と母には親子の感情があまりないからといって、血の繋がった親子である事実は消せないのですが。もし、内海さんたちがいなければ、きっと将来的には母から黛家当主という重荷を受け取っていたと思います。一族のトップに立って、黛家の発展に貢献するために」それに凪は、当主になった場合は黛家に伝わる決まりや一族を縛るおきてを変えたいと思っていた。頑なに昔の伝統とやらにこだわりたくない。その代償はきっと大きいだろうが、一族がこれから良い方向に発展し、黛家を残していくためにも、彼女はそう考えている。凪は名刺を取り出して唯月に渡した。「これは私が使っている別の電話番号です。知っている人はあまりいません。何かあれば、こち

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    「では、お嬢様お気をつけて。何かあればすぐに僕に電話をしてください」秀一は凪にそう念を押しておいた。凪は笑って言った。「なんでもかんでも天野さんに頼るわけにはいかないよ。安心して、私は大丈夫だから」たとえ暗殺者が目の前に現れたとしても、彼女も自分の身を守る力はある。もしそうでなければ、彼女も大人になることはできなかっただろう。もっと早くに養母からの虐待でこの世を去っていたはずだ。秀一との電話を終わらせると、凪はそのまま約束の場所まで車を走らせた。唯月は車から降りることはなく、他の車が走ってくるのが見えると、窓を開けて凪の乗る車が隣にとまるのを見ていた。凪はまずサングラスと変装用のマスクを外し、顔を見せた。そして車を降りながら笑顔で唯月に挨拶した。唯月はそれを見て、笑って車を降りてきた。「どうして私だとわかったんですか?人間違いだったらどうするんです?」「こんな時間ですし、こんな辺鄙な場所で周りには民家すらありません。度胸のない人は、こんな夜中にここまで来ないでしょう。ほら、あそこに墓地があります。オバケが出ると怖がって誰も来ませんよ。そんな場所で私を待っている人なんて、あなたくらいでしょう」唯月は周りを見渡した。彼女がここへ来てから、人里離れた場所であることを知り、長い時間かけて駐車する場所を見つけて、凪を待っていた。この時二人が駐車した場所は、秀一から教えられた住所の場所から数百メートル離れていた。「まさかこんなに墓地に近いところだとは知りませんでした。知っていたら、何か出るんじゃないか怖くて、一人で来る勇気はありませんでしたよ」凪は笑って言った。「オバケは怖くないでしょう。それは私たち人のほうですよ。人間のほうがオバケより恐ろしい生き物だって言う人もいるし。それにしても、内海さんの変装はなかなかのものですね。私の部下がホテルの入り口であなたを守るために見ていたんですよ。だけど、あなたが出てくるのに気付かなかったんです」もしこうやって約束をして唯月が来るとわかっていなければ、変装した唯月を見ても凪は気付かなかっただろう。ウィッグで髪型が普段と全然違うし、目立たない服装をしている。サングラスにマスクをつけられては、一体誰なのか見分けることは難しい。「別に大したことしてません。ただ、マ

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    そしてすぐに、唯月は車を運転して地下駐車場を出た。そして秀一から送られてきた住所をナビに入れて、向かった。この時、隼翔が電話をかけてきた。唯月は車のスピードを落とし、彼の電話に出た。「隼翔さん、ちょっと買い物に行こうと思って運転中なの。帰ってきたらまたかけなおすわ」隼翔は軽く返事をし、彼女に注意した。「そうか、運転には気をつけてね」「ええ」唯月は妹のようにスピードを出し過ぎることはない。彼女たちは普段市内で生活し、交通量も多いことから唯花はスピードを出すことができない。それで、しかたなくゆっくりと運転している。もし、郊外に出かけて車の流れが少ないようであれば、彼女はジェット機の操縦士だと勘違いしているのか、一気にスピードを出すのだ。理仁は妻がそんなスピード狂だとは知らないから、彼女が運転するのを禁止していないだけだ。隼翔は唯月が運転中に気がそれてしまうといけないと思い、すぐに電話を切った。この時彼がもし、唯月は変装して誰にも言わず、一人車を運転し凪に会いに行くところだと知れば、きっと心配して飛行機に飛び乗るかもしれない。唯月は彼が自分のことをとても気にかけていることを知っているから、彼には知られたくなかった。秀一から教えられた住所は市内ではなく、かなり辺鄙な郊外にあった。ナビには到着まで一時間以上かかると表示されている。唯月が車でホテルを離れた頃、凪は秀一に尋ねた。「内海さんが出てきたのが見えた?」秀一は言った。「スタッフに頼んで手紙を渡してもらいましたので、きっと来るはずです。彼女はこちらに来たばかりで土地勘はありませんし、車も所有していませんから、おそらくタクシーで来られるかと。彼女はきっと来ます。お嬢様も予定通りに出発されていいでしょう」秀一は唯月に会って、挨拶をしたことがある。彼は、唯月は何事も細かく気を配っているが、決断力があり、思い切った行動をするタイプだと思った。唯月が柏浜に来たのは、黛家とは関係がないと言っても、誰も信じるはずがない。その主な目的が黛家に関することであるなら、凪が唯月に会いたいと伝えれば、彼女は必ず会いに来る。「人を手配してよく観察させておいて、しっかり裏で彼女を守るのよ。ホテルから出てきたところは見ていないの?」凪は続けて尋ねた。秀一はそ

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    玲は横目で奏汰を睨みつけた。奏汰は気まずそうに鼻の頭を触り、笑って言った。「玲さんが作ったものも、美味しいですよ。もちろん」「それなら厚かましくお邪魔させてもらいますね。それじゃあ、私はもう休みますので、これで失礼します」唯月は空気を読んで、二人っきりにさせるため、部屋に戻った。彼女が部屋に戻ると、ソファに腰かけて隼翔に返事をする間もなく、誰かがドアをノックした。「どちら様?」唯月は尋ねながら立ち上がり、ドアを開けに行った。それはホテルのスタッフだった。唯月がドアを開くと、スタッフは笑顔で言った。「失礼いたします。内海様でいらっしゃいますか?ある方からお手紙をお渡しするように頼まれてきました」そう言いながら、スタッフは唯月に手紙を手渡した。唯月は手紙を受け取ると、スタッフにお礼を言った。部屋の中に戻り、彼女は興味深そうに封筒を開けた。中にはメモ用紙が一枚入っていた。そこに書かれていたのは、柏浜の、とある場所の住所だった。そして住所の下には一言。【内海唯月様、お一人でこちらに書かれている住所までお越しください。あなたの安全は保証いたします。誰にも知らせませんように】その右下には署名がしてある。【天野】天野?唯月は自分の周りに「天野」という名字の知り合いはいないと思った。他に天野という名字の人といえば……そういえば、黛凪についている人が天野という名字だった気がする。ビストロピエナのオープン初日、凪が天野という人に開店祝いを届けさせていた。つまり、凪が会いたいということだろう。でも「誰にも知られないように」とある。唯月は時間を確認し、ためらうことなく、すぐにスーツケースの中から個包装のマスクの箱を取り出し、中から二枚マスクを取り出して、サングラスも手に取った。そしてあまり目立たない着古した服に着替えて、ウィッグをかぶった。彼女は変装した後、携帯とさっきの手紙を手にとり、部屋を出てこっそりとホテルの部屋から出た。ちょうど彼女が柏浜に到着すると、奏汰がすぐさま二台の車を手配してくれていた。彼女とボディーガードたちが乗るためだ。車の鍵も彼女に渡してくれていた。唯月は直接エレベーターでホテルの地下駐車場まで行った。奏汰から、彼女が使う二台の車は駐車場のDエリアに

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