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第2話

مؤلف: 匿名
ぼんやりとしたまま家に帰り、ソファに座り込むと、無意識にスマホで動画をスクロールしていた。

これで心の中の恐怖が紛れると思っていたが、無駄だった。

むしろ不安はどんどん膨れ上がっていく。

どうしてまだ28歳なのに、こんな病気にかかってしまったの?

どうして私の夫は、私の話を最後まで聞く時間すらくれないの?

そんな疑問が頭をよぎったとき、偶然目に入ったのは、秀樹の初恋、森川安奈(もりかわ あんな)が投稿した動画だった。

すべてが繋がった気がした。

彼女の位置情報は、秀樹が出張で向かっている隣町だった。

1時間前に投稿された動画には、ソファに横たわる安奈の白く細い脚が、親しげに男性の膝の上に乗っていた。

男性の大きな手が、彼女の足首をやさしく撫でている。

キャプションにはこんな文章があった。

【ちょっと足を捻挫しただけなのに、彼ってば子供みたいに大騒ぎ!昔と違ってもう偉い医学教授なのにね~】

コメント欄は【まるでドラマみたい!】【エリート医者と心優しいダンサー、二人は初恋だなんてまさに運命なんだね】と盛り上がっていた。

もし、この動画に映っていた男性が私の夫じゃなければ、きっと私も「お似合い」なんてコメントしていたと思う。

爪が掌に食い込むほど強く握った拳が痛かった。

なるほど、「命を救う」彼は、捻挫の手当てをしていたのか。

彼女が足を捻挫したから、彼は私の電話を切った。

私ががんを宣告されたその日に、彼は私の誕生日を忘れ、初恋の彼女のそばにいた。

胸がむかむかして、私はスマホを乱暴に閉じ、洗面所に駆け込んで吐いた。目の前がかすみ、涙が止まらなかった。

その夜、私は秀樹とのウェディングフォトを一晩中見つめていた……

「葵(あおい)、なに考えてる?」

我に返ったら、秀樹が目の前で手を振っていた。

何度も夢に出てきたあの顔を見つめる。

もう、私はこの人のことを愛していないかもしれない。

私と秀樹は、見合いで出会った。

それは22歳の時、私の人生はどん底だった。

義父が病気になり、治療費が必要だったのだ。

私は大学に通いながら三つのバイトを掛け持ちしていた。

朝は学食で配膳、昼は塾講師、夜は宅配物の仕分け。

一学期働き通して、やっと60万円を貯めた。

そのお金を母に渡したとき、彼女は私を引き止めてこう言った。

「葵、大学はもうやめなさい。

いい見合い相手を見つけたから、会ってみたら?」

私は思わず言葉を失った。

「え……どうして?

お金を渡せば通っていいって言ってくれたじゃない」

「このくらいじゃ足りないのよ」

彼女は冷たく言い捨て、札束をバッグにしまった。

私の胸には熱いものが込み上げてきたが、涙は出なかった。

「じゃなんで安奈に頼まないの?彼女のお父さんでしょう?」

母の顔色が変わり、私を平手打ちした。

「安奈はあんたの妹なのよ!なにをバカなことを!」

「でも私だって彼女より3ヶ月早く生まれただけだよ?」

鼻血がにじみ、私は顔をそらして笑った。けれど、その笑顔は泣き顔よりもひどかった。

なぜそう言い返したか、自分でもよくわからなかった。

母にとって安奈は私より一万倍も大事だとわかっているのに。

私の方こそ、彼女の実の娘だというのに。

幼い頃に両親が離婚し、私は母の元で育った。最初の頃は「私のたった一人の支えよ」と優しかった。

けれど、母が再婚し、義父とその娘、安奈が家族になった瞬間、すべてが変わった。

初めて顔を合わせた日、母は私のお気に入りの人形を取り上げ、安奈に渡した。

あの日から、母は愛情をすべて安奈に注いだ。悪どい義母だと思われないために。

そして私は両親がいる「孤児」になった。

鼻血を拭いながら、母の目をまっすぐ見て言った。

「私は大学をやめない。今まで育ててもらった恩は、もう返し終わったと思ってる。

そんなに結納金が欲しいなら、彼の実の娘に頼んで」

そう言って私は家を出ようとしたが、母は激昂し、私を追いかけて殴りながら叫んだ。

「葵!この親不孝な娘!私と縁を切るつもりなの?親の恩は一生かけても返せないわよ!

あんたを産むためにあんなに苦労して、しかも難産で死にかけたのよ?恩を返し終わったなんてよく言えたわね!」

こういった話に私はもう慣れていた。安奈のことで私が不平不満をこぼすと、母は決まって「産んだ恩」を盾にして、私の口を封じようとした。

黙って母の罵声を浴びていたら、彼女は涙を流し始めた。

「葵、母さんの気持ちはわかるでしょ?お父さんの手術費、600万もかかるのよ。安奈はあの人の実の娘、もし彼女を嫁に出せば、周りから何を言われるか……

私はね、あんたのために再婚したのよ。父親のいない子にならないように、豊かな暮らしができるようにって……」

その言葉に、自分の目が死んでいくのがわかる。

母がかけてきたプレッシャーはまるで岩のように重たく、息すら苦しくなってしまう。

私は目を閉じ、これは運命だと諦め、首を縦に振った。

見合い当日。母が言っていた35歳の成功した実業家が目の前に現れたとき、私は少し驚いた。

見た目は若くて、端正な顔立ちだった。

彼も親のプレッシャーで来たらしく、最初だけ軽く名乗った――舟山秀樹だと。

それ以降、彼はまるで何かの業務を遂行しているかのようで、ずっと淡々とした表情をしていた。

私も開き直って、家庭の事情や母の要求をすべて正直に話した。

「異父姉妹がいる」と言った瞬間、気のせいなのか、彼の顔が固まった気がした。

安奈のことを知ってるのかと尋ねようとしたとき、彼が先に口を開いた。

「僕たち、相性がいいと思うけど、結婚しない?」

私は唖然し、言葉が少し詰まる。「ほ、本当に、そんなに高額な結納金を払ってくれるの?」

彼は真剣な顔でうなずいた。

こうして、私たちは恋愛をすっ飛ばして結婚した。

私は「愛のない婚姻生活」を覚悟していたが、秀樹はとても優しかった。

まるで本物の恋人のように花束を持って仕事場に迎えに来てくれたり、観覧車に付き合ってくれたり。「葵ちゃん」と呼んでくれて、甘い言葉もささやいてくれた。

私を泥沼から救い出し、愛すること、愛されることを教えてくれたのは、彼だった。

だから私は、このまま平穏に、幸せに生きていけると思っていた。

でも現実は残酷だった。後から知ったが、見合いの日、私はとある勘違いをした。

秀樹が私と結婚したのは、初恋の相手――安奈への当てつけにすぎなかったのだ。

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