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第172話

Author: 錦織雫
紬は黙り込んだ。

慎がなぜあれほど慌てて出て行ったのか理解した。

寧音が食事をせず体を壊すのを心配したのだ。

ただ返信した。

【分かりました】

「食べないこと」を武器にできるのは母親だけでなく、愛する人もだった。

紬は承一に返信してから、全身の力が抜け、ソファに倒れ込んだ。寝室に戻る力さえなかった。

時々発作が起きるとはいえ、それでもこの痛みには慣れることができなかった。

今回は特にひどかった。

堪えきれず慎に助けを求めたくなるほどだった。

でも、幸いにも寧音の方に問題が起きて、彼は死を意識するほどの激痛にまったく気づかなかった。

もちろん……

たとえ慎が自分の異変に気づいても、自分の側に残ってくれるなどと自惚れるつもりはなかった。

ただ幸運なことに、末期がんのことは依然として秘密のままだ。

叔父の病状が良くなってから、初めて何ひとつ隠し立てすることなく、真実を告げられる。

……

ランセー・ホールディングス。

慎が到着したとき、寧音はすでに二日間休みなく働いていた。

彼女の状態は明らかに良くなかった。

慎は時間を確認した。

「戻って休め。急ぐ必要
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