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第349話

作者: 錦織雫
紬の言葉は、静かだが、確かな重みがあった。

相手が秦野正樹という強大なバックグラウンドを持つ男であろうと、秀治ほどの重鎮が同席していようと、彼女は一切の愛想笑いでその場を取り繕おうとはしなかった。

正樹がフライテックを訪ねてきたあの日から、最終的に父親である秀治が動くことは予見していた。今回の新システムは、それほどの劇薬なのだ。正樹との間に、骨肉の争いほどの深い怨恨があるわけではない。

だが、善悪を見失い、自分を不当に貶めたあの傲慢な態度を、秀治が同席しているからといって水に流すつもりは毛頭なかった。沈黙していれば有耶無耶にできると思っているなら、あまりにも見くびっている。

落とし前は、きっちりとつける。

膿を出し切らなければ、初めて次のビジネスの話ができるのだ。

それが、温井紬という人間の矜持だった。

秀治は、驚愕の色を隠せなかった。

紬という女性の底知れぬ気質が、輪郭がはっきりと見えてきた。春風のように穏やかで静謐な佇まいの裏に、誰よりも強靭な芯を秘めている。そんな彼女が一歩も引かないと決意したのなら……

秀治は、傍らの息子へ険しい視線を向けた。

正樹の顔色は、
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