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第4話

Penulis: 夢見白
仲間たちは慌てて俺を担架に乗せ、空港へ向かって走った。

空港に着くと、ちょうど出発しようとしていた雫と蒼馬に鉢合わせた。

藤井由美(ふじい ゆみ)は真っ先に駆け寄り、雫の腕を掴んで叫んだ。「早く!先に智也さんを乗せて!容体が危険なの、このままじゃ本当に死んでしまう!」

だが雫は、考える間もなく首を振った。「駄目。ヘリには二人しか乗れないの。先に蒼馬を帰国させるわ。ここじゃ、危険すぎる」

その口調は断固としていて、微塵の迷いもなかった。

由美は怒鳴る。「智也さんは死にかけてるんだよ!?彼は雫さんの夫でしょ!?それでも蒼馬を送る方が大事なの!?」

蒼馬はわざと弱々しい表情を作り、小さな声で言った。「雫さん、大丈夫だよ……智也さん、たぶん嫉妬してるだけだから。雫さんは智也さんと帰ってあげて。僕は一人でも平気だから……」

雫は一瞬ためらう。

だが蒼馬のその言葉を聞いた途端、再び決意を固めたようだった。「智也は大丈夫。さっきだって容体は安定してたじゃない。みんなして、彼に合わせて私を騙そうとしてるだけでしょう。今はわがままを言ってる場合じゃないの!」

そう言うと、彼女は蒼馬の手を引いてヘリに向かう。

由美は泣きながら雫を引き止めた。「智也さんは本当にもう危ないの!見捨てる気なの!?」

雫は冷たくその手を振り払う。

そして俺を見下ろし、重たい声で言った。「あなた、少しは聞き分けて。蒼馬を送り届けたら、すぐ迎えに戻るから。変なやきもち焼かないで」

――違う、雫。

俺は嫉妬なんかしてない。

本当に、死にかけてるんだ。

俺は担架の上で痛みに喘ぎ、もう声すら出せなかった。

体の感覚が、少しずつ消えていく。

意識も次第に霞んでいく。

雫はゴーグルを外し、俺の傍に歩み寄った。

彼女はそっと酸素マスクをずらし、耳元に温かい吐息を落とす。「六時間だけ待ってて」

彼女は爛れた俺の口元に触れる。

その腕には、かつての任務で俺をかばって負った傷の痕がまだ残っていた。

「全部終わったら、一緒に桜を見に行こう?あなた、ずっと見たがってたでしょう?」

……俺はもう、桜なんて見たくなかった。

彼女を待ちたいとも、思えなかった。

俺はただ、目を開けたまま見ていた。

雫が蒼馬を連れてヘリに乗り込むのを。

プロペラが回り始めるのを。

機体が少しずつ空に浮かび上がるのを。

そして、やがて空の彼方に消えていくのを。

胸に残ったのは、絶望だけだった。

まさか彼女が、ここまで残酷な人間だったなんて。

別の男のために、俺の命を見捨てるなんて。

俺は震える手で懐からスマホと結婚指輪を取り出し、由美に渡した。

「スマホの録音……本部に渡してくれ……

蒼馬に……俺たちの手柄を奪わせるな……それと、これも……」

俺は息を切らしながら、一度言葉を止める。

呼吸はどんどん苦しくなっていった。「雫に返してくれ……俺たちは、もう終わりだって……もう、一生許さないって……」

由美は呆然とした後、目を真っ赤にした。

「智也さん、そんなこと言わないで!絶対に助かるから!別の飛行機を探す!だから頑張って!

ごめんなさい……私たちが不甲斐ないせいで、あの人たちを止められなかった……!」

俺は弱々しく笑った。「……もう、間に合わないよ……」

命が少しずつ遠のいていくのを感じた。

「俺を……火葬してくれ……

骨は雫に渡さないで……もう、あいつには会いたくない……」

それが最後の言葉だった。

俺の瞼は、とうとう限界を迎え、ゆっくりと閉じていく。

周囲の仲間たちは静かに帽子を取り、俺に敬礼した。

無言の別れがそこにあった。

……

その頃、遥か遠く離れた場所で。

蒼馬を傍に置き、俺たちの隊の功績を彼に移そうと上層部に掛け合っていたその時――

雫の通信端末が、突然けたたましい警報音を鳴らした。

「この世界の主人公、死亡を確認……」

「この世界の主人公を再選定します……」

「『世界の意思』は、宇野蒼馬を新たな主人公として選定しました」

その瞬間、雫の体が、ぴたりと固まった。

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