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第147話

Auteur: 星柚子
正修は困ったように息を吐いた。「俺だって……君を『俺の彼女』だなんて、あの時は言えなかった」

当時すでに両家の婚約話は決まっていたとはいえ、自分のために奈穂を巻き込みたくなかったのだ。

「まあ、そこはわきまえてたってことですね」奈穂は口元を少し持ち上げた。

次の瞬間、彼女は突然正修の襟を掴み、彼を少し前に引き寄せて目を合わせた。

「でも今なら、どこで誰にでも言えますよ。私は九条社長の彼女……いや、婚約者」

正修の呼吸が、一瞬止まった。

目の前にある彼女の可愛らしい顔を見つめ、喉の奥がごくりと動いた。

彼女の瞳の奥には、微笑みと……確かな真剣さが混ざっている。

今の奈穂は、まるで彼にだけ「公に宣言していい」と許された子猫のようで、その愛らしさに正修の心はふわりと柔らかくなった。

「……分かった」正修の瞳が深く沈んだ。「じゃあ俺は今、『婚約者としてすべきこと』をしてもいい?」

奈穂の指先が微かに震えた。

「奈穂」彼の声は低く、そして甘く誘惑するようだ。「いい?」

奈穂は答えなかったが、代わりにゆっくりと目を閉じた。

長くて繊細な睫毛が微かに震え、まるで沈黙のまま差
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