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第308話

Author: 星柚子
もし昨夜、自分がほんの少しでも会社に帰るのが遅かったら、もしかすると――

けれど、運命とは皮肉なもので、なぜかいつもすれ違ってしまうものだ。

正修のことが、本当に腹立たしかった。わざわざ自分を探しに来ていたくせに、君江には自分に知らせるなだなんて。

もし君江が本当に何も言わなかったら、自分は一生その事実を知らずにいたのではないだろうか。

本当に、憎らしい正修……

それなのに、なぜ自分はこんなにも、その憎らしい男を思い続けているのだろう。

「社長?」秘書が顔をのぞかせた。「お支度はできましたか?そろそろ出発しましょう」

「ええ」奈穂はぼんやりと答え、重い心を抱えたまま、秘書たちと一緒にレストランへ向かった。

秘書が予約した個室は三階にあり、三階に上がったところで、ちょうど一人の人物と鉢合わせた。

奈穂は他人に気を配る余裕もなく、相手が誰かなど気にも留めていなかったが、「水戸社長」と声をかけられて、ようやく顔を上げた。

烈生だった。

「秦社長」奈穂は無理に作ったような営業スマイルを浮かべた。「お久しぶりです。いつご帰国されたんですか?」

「昨日です」烈生はじっと彼女
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