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第355話

Author: おやき
寧々の笑顔はすでに引きつっていた。感情のコントロールを失うのを恐れたのか、急いでバッグを手に取り、席を立とうとした。

しかしその時、ジーンズに白いスウェットという清純派の装いで、ポニーテールにした若い女性が、ジュースの入ったグラスを手に個室に入ってきた。

「寧々さん、わざわざお祝いに来てくださってありがとうございます。私からも一杯、お礼をさせてください」

この女性は最近人気急上昇中の若手女優で、清華も文雄とのスキャンダル報道で彼女の顔を知っていた。

清華が気づいたのだから、翔が気づかないはずがない。

彼は勢いよく立ち上がり、寧々の前に立ちはだかった。

「何の用だ?」

下野理沙(しもの りさ)という名のその女優は、翔を無視して小首を傾げ、寧々を見つめた。

「ただ、私は妊娠しているのでお酒は飲めません。寧々さん、怒らないでくださいね」

寧々は翔を押し退け、理沙を冷ややかに一瞥した。そして自らワインをなみなみと注ぎ、一気に飲み干した。

「これで文句ないわね?」

理沙は唇を尖らせた。「寧々さん、私があなたの役を奪ってしまったから怒っていらっしゃるの?」

「実力勝負の世界
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