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第376話

Author: おやき
清華が歩み寄ると、愛衣は顔色を悪くし、視線を泳がせて、何かにひどく怯えているように見えた。しかし、清華が近づいてくるのに気づくと、すぐに深く息を吸い込んで背筋を伸ばし、如月家の大奥様としての威厳を取り繕った。

「大した腕前ね。息子に私と決裂させるなんて!」

そう口を開いた彼女の喉は、ひどく枯れていた。

清華は眉をひそめた。

「もし、わざわざ私を罵りに来たり、嫌がらせをしに来たりしたのなら、申し訳ありませんが、私にはそんな暇はありません。これから出社しますので」

そう言い残し、清華は着替えるために二階へ上がろうとした。実際、そろそろ会社へ向かわなければならない時間だった。

「私の負けよ」

その言葉を聞いて、清華は思わず足を止め、振り返って愛衣を見た。

負けを認める?

こんなにあっさりと?

その言葉を口にした瞬間、愛衣の双肩はがっくりと落ち、先ほどまでの傲慢さは消え失せていた。それどころか、目元を赤くし、ひどく脆く無力な姿を晒していた。

「司が……何を?」

彼が一体何を言ったから、愛衣はこれほど急に態度を軟化させ、そればかりか自分の前で……涙まで見せているのか。

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