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第1189話

作者: 小粒キャンディ
「伊集院さん、眠れませんか?」

杏の声が背後から聞こえ、柊馬ははっと我に返り、ようやく視線を戻した。

「ああ」

柊馬は軽く頷いた。表情は穏やかで、月明かりに照らされて、その顔色がまだやや蒼白いのが見て取れた。

杏は毛布を持ってきて、柊馬に掛けようとしたが、彼の方が先にそれを受け取った。

「松本さんこそ、こんな夜更けにどうして眠らないんだ?」

「眠れなくて。外に出てみたら、あなたが見えました」

杏は微笑み、持ってきた小さな火鉢を置いて、柊馬の隣に腰を下ろした。

彼らは山奥の町にいた。住まいは質素だったが、一歩外に出れば山と空が見え、ここの気温と気候も非常に快適だった。朝と晩の温度差は大きいが、新年が近いというのに、それほど寒くはなかった。

柊馬は口角をわずかに上げたが、何も返さなかった。

杏が言った。

「何か心配事でも?」

「いや、ただ山の中の景色は、都会より美しいと思っただけだ」

柊馬は顔を上げた。

「残念ながら、撮影する道具がない。記録に残せればよかったのだが」

「まさか、伊集院さんにそんなご趣味があったとは」

杏が軽く笑った。柊馬は彼女の方を見向きも
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