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第410話

Autor: 小粒キャンディ
敬子は今でもまるで夢であるかのような気分だった。

小さい頃から殻に閉じこもり、冷たく厳しい性格になってしまった孫が、実は内に優しい情熱を秘めていたのだ。

敬子は以前柊馬は愛や恋などよく理解できず、ただ冷たく面白くない性格だから、女性を悲しませてしまうのではないかと心配していた。

それが今、あの二人がこんなに親密で仲良くしていることに、敬子はとても安心できた。

一花は数分ほど休んでから、すぐにキッチンに行って数人いるお手伝いさんたちと一緒に料理に取り掛かった。

柊馬は本来、一花について行こうとしたが、和彦が柊馬にくっつくように、ゲストルームから出てきた。

さっき話していたニュースの続きを聞かせたいらしい。

そうであっても、一花が料理の半分を作り終えた頃には、柊馬はやはり彼女の傍に行っていた。

彼は一花の後ろから抱きしめたい衝動をなんとか抑え、黙って食器を運ぶ手伝いをしていた。

「こんなところに立っていたら疲れるでしょ、あっちで座って休憩してて」

一花はコンロの火を見ながら、彼にキッチンから離れるように急かした。

彼女が話している時、柊馬はそっと彼女の額の端の方を触っ
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    柊馬はその瞬間、立ち上がり、耳を突きさすほどの大きな音をたてて椅子が勢いよく倒れた。柊馬の情緒が不安定であるのに気づき、美穂は急いでその場を収めるために言った。「修治!今すぐ私と一緒に帰りましょ!」修治は一花を叩いてしまい、この時気まずく思っていた。彼の手はヒリヒリと麻痺した感覚だった。さっきは確かに力を入れすぎていた。彼は頭に血がのぼりすぎて力加減を忘れていたのだ。今度は修治も美穂を押しのけるようなことはしなかった。敬子は怒りを爆発させていたが、修治を睨みつけるだけで、すぐに一花の体を支えに行った。一花はかなりの力で打たれたので意識がぼうっとしていた。家政婦と敬子に支えられながらやっと起き上がった。「柊馬」しかし、彼女は意識を取り戻すとすぐに柊馬の名前を呼んだ。彼女はとても柊馬のことが心配だった。修治が家に入ってきてから、彼の状態がおかしかったからだ。彼女はそれに気づいていた。柊馬は暫くの間一花だけに目を引かれていた。彼が視線をあげると、その真っ赤に染まった目が寒気が走るほど恐ろしかった。一花も一目見るだけで思わず彼に対する畏怖を感じてしまった。彼女は少し眉をひそめて、口を開いたが、何を言えばいいのか分からなかった。「待てっ!」修治が彼らに背を向けて美穂と一緒に帰ろうとしているところに、柊馬の声がまた響いた。「人を殴っておいて、そのまま帰るというのか?」柊馬は一歩ずつ近寄っていった。彼の声は低く、聞く者に悪寒と圧迫感を抱かせる。食卓まで来ると、彼はそっと鋭いナイフを手にとった。一花は彼のその動作に気づき、瞬時に緊張が走った。「柊馬、そんなことしちゃダメよ。私は大丈夫だから……」一花はどうにかして柊馬の理性を呼び戻そうとしていたが、微かにその声は震えていた。敬子は一花のことに気をとられていた。この父と子の二人はよく喧嘩していたので、彼女はただ今日、孫の嫁にこのような見せてはいけない恥ずかしい場面を見せてしまったと思っているだけだった。敬子は一花の体を支えて部屋に連れていこう思っていたが、一花が頑なに動こうとしなかった。修治は息子が自分を責めるような態度をとっていることに再び腹を立て、さっきの罪悪感が全く消えてしまった。「なんだ?お前は私の息子だろ、これでもまだ懲りないのか?彼女は

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    「旦那様、いらっしゃられたのですね……」家政婦の声が聞こえてきた。美穂はさっき夫の修治ではないかと予想していた。そうでなければ、家政婦もそのまま玄関を開けることはない。今日、修治は帰国した。彼は事前に美穂に連絡し、飛行機は夜のフライトだと伝えていた。美穂は彼が家に帰った時に、誰も家にいないとよくないと思い、一花のところに行くと事前に連絡をしていたのだ。柊馬が怪我をした時、修治はただ何回か電話をして状況を確認したくらいで、自ら柊馬に会いに来ることはなかった。その事が、柊馬の心を冷たくさせただけでなく、美穂も修治は薄情者だと感じていた。家族みんな、ずっと彼には不満を持っていた。「修治、何しに来たの?」敬子は修治が来たのを見ると、顔から笑顔が一瞬で消えてしまった。「一家揃って食事をするのに、どうして私を呼ばないんだ?」修治は冷ややかな口調でそう言うと、コートを家政婦に手渡して、食卓の前までやって来た。一花は立ち上がろうとしたが、柊馬に腕を引っ張られた。柊馬は片手に茶碗を持ち、もう片方の手で一花の腕を掴んでいた。彼は顔をあげることもせず、修治が自分に視線を向けていることにも気づいていないふりをしていた。「柊馬……」「食事を続けよう」柊馬は低い声でそう言うと、目の前にある皿からおかずをとって一花の皿に入れた。「まったく、無礼な奴だ」修治の目線は柊馬から一花に移った。一花は少し体を震わせ、どうすればいいか分からないようだった。美穂は傍まで近寄ると、修治の腕を叩いた。「何しに来たのよ。来てすぐに息子にそんな態度?今日は一花さんが私たちを招待してくれたから家にいないって伝えたでしょ。あなたは家に帰って早めに休んでって意味だったのよ!」「私は息子と嫁さんの様子を見に来たんだぞ。なんだ、私にさっさと帰れと言うのか?」修治がすでにイライラしてならなかった。彼の氷のように冷たい口調が周りの空気をさらに圧迫させた。一花は柊馬を見て、声を出した。「お義父さん、そんなことないですよ。さあ、早く座ってください」柊馬が修治のことを面白く思っていないのが一花は分かっていたが、それでも彼の父親の面子は潰すわけにいかない。しかし、一花はただ口でそう言っただけで、柊馬は彼女が修治のために行動するのは見たくないらしく、一花もた

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