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第7話

Penulis: 朱音小夏
last update Tanggal publikasi: 2026-11-02 12:20:01

 教室中は騒然とした。

 なんでも、桃が凪のことを"王子様"と呼んで顔を赤らめているからだ。

「......は? アンタ、誰?」

「昨日出会ったばかりじゃないですか!! 昨日助けてもらった、一ノ瀬 桃です!!」

「僕、人助けなんてしてない。仕事はしたけど」

「いいえ! 私はたしかに貴方に助けていただきました!!」

 桃は凪に必死にアピールするが、凪は全くと言っていいほど興味を示さない。

 どうやら、麗華との会話を邪魔されたことが気に入らないらしい。

「そ、それじゃあ一ノ瀬さん。席に着いてもらえますか?」

 担任が桃に席に着くよう促すが、桃はそれを拒む。

「イヤですイヤです!! せっかく王子様がここにいるのに!! 王子様......いえ、凪様!!どうか私と......」

「――あのさぁ、馴れ馴れしく"凪"って呼ばないでくれる? 僕のこと名前で呼んでいいのは麗華ちゃんだけだよ?」

「そ、そんなに"麗華さん"という人が大事なのですか?! 私よりも可愛いと?!」

 ――桃のその言葉に、凪の表情が一瞬で険しくなった。

 しかし、それを止めたのは他でもない麗華自身である。

「凪。女性には紳士的な対応をよ。一ノ瀬さん。貴方も、何でもかんでも手に入れられるとは思わないことです。――凪は私の婚約者なので」

「な!! 私が欲しいって言えば、パパが叶えてくれるんだから!!」

「......桜庭グループを敵に回したいのであれば、止めはしませんよ」

 桃は「言ったわね?! 後悔しても遅いんだから!!」と言いながら、渋々席に着いた。

 麗華は、朝から面倒なものに絡まれた、と疲れの色を見せる。

 しかし、一方凪はというと、喜びの笑みを浮かべていた。

「凪。あまりこっちを見ないで頂戴。こう見えても柄ではないことを言ったのには自覚があるの」

「んー? ふふっ。僕は麗華ちゃんに想われて幸せ者だ」

 そう凪が言うと、麗華は思わず頬を紅潮させてしまう。

 ――こんなことで照れてしまって、私らしくない。

 いつだって麗華の心を乱すのは凪だけだ。

「凪。今日は委員会会議があるので先に帰って頂戴」

「いーやーだー! 何時になってもいいから僕は麗華ちゃんと一緒に帰る!! ......待ってるからね? 僕の女王様?」

「手の焼けるペットだわ」

 麗華は凪のことを"ペット"と呼ぶ。

 しかし、凪のことを心から思っているのはたしかである。

 それもこれも、麗華にとって凪が"あの時"のヒーローだったからだ。

 だから麗華は、これからも凪のことを大切に思い続ける。

 教室であることも忘れ、二人の世界を繰り広げる麗華と凪は、一番後ろの席であることをいいことに、そっと手を繋いだ。

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