僕は君のペット

僕は君のペット

last updateLast Updated : 2026-11-02
By:  朱音小夏Updated just now
Language: Japanese
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舞台は、お金持ちの子息、令嬢の通う【私立雅ヶ丘学園】。 主人公は、"学園の薔薇"と呼ばれ、容姿端麗、才色兼備の生徒会長【桜庭 麗華】。 そんな彼女には、婚約者で付き合っている、学園の一匹狼【鬼塚 凪】がいる。 凪は愛の重い系男子で、麗華のためなら手段を択ばない。 そんな彼のことを生徒達は"薔薇の棘"といい恐れている。 また、麗華には、敵対してる風紀委員長【藤堂 剛志】がおり、事あるごとにぶつかり合う。 しかし、剛志は麗華のことを好いており――。 ドタバタ学園ラブコメディ!

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Chapter 1

プロローグ

 ――気がつけばそこには血だまりが出来ていた。

 そして積み上げられている屍の山。

「――凪」

 愛しい彼女の愛らしい唇が己の名を紡ぐのを恍惚の表情を浮かべながらうっとりと聞く。

「またこんなにして......。ダメじゃないの」

「麗華ちゃん。こいつら麗華ちゃんの悪口言ってたんだよ? 僕がそれを許すとでも思う?」

「今に始まったことではないわ。――それより、加減はしたんでしょうね?」

 彼女は、自分の悪口を言っていたヤツらのことまで心配しているようだった。

 ――あぁ。なんて優しいんだろう。

 そんな心優しいところも愛している。

「大丈夫だよ? 酷いヤツでも骨の一本で許してやったからね」

「そう。それなら後始末は"掃除委員会"にやらせましょう。私達は早くこの場から立ち去るわよ」

 "掃除委員会"

 彼女が僕のために作ってくれた僕のためだけの委員会。

 それもこれも"生徒会長権限"だろう。

 あぁ、僕は愛されている。

 そう実感するのには十分である。

「僕ってば、麗華ちゃんに愛されて幸せだなぁ」

「――貴方は野放しにすると、手加減がされないんですもの。私がちゃんと見張ってないと。ね?」

 彼女の瞳が僕だけをとらえる。

 その瞬間が僕はたまらなく幸せを感じる。

 ――麗華ちゃんは僕だけを見ていればいいんだ。

「麗華ちゃん」

「? ――っと」

 僕はたまらなくなり、彼女を抱きしめる。

 彼女はビックリした表情を浮かべる。

 しかし、それも一瞬のこと。

 彼女は僕の頭を優しく撫でる。

「凪。甘えるのはいいけれど、貴方、血塗れよ? ......制服に血がついたわ」

「!! ご、ごめん!! 麗華ちゃんに汚らわしいものをつけてしまって......!!」

「あ! こら。力任せにこするんじゃありません」

 そういうと彼女は白いハンカチを取り出し、僕の頬についた血を拭った。

 まっさらな白に血の赤が滲んでいく。

「さぁ、これで綺麗になったわ。そうそう。お父様が今日は早く帰って来るの。それで夕飯一緒にどうかって言ってたわ。もちろん来るでしょう?」

「麗華ちゃんが望むなら」

「ふふっ。いい子ね。ちゃんとしている子は好きよ」

 ――彼女が僕に「好き」だと言った。

 これ以上に無い幸福だ。

「麗華ちゃん」

「なあに? 凪」

「ふふっ。僕は麗華ちゃんを"愛して"いるよ?」

 僕がそういうと、彼女は頬を紅潮させそっぽを向く。

 恥ずかしがりやな所は幼い頃から変わっていない。

 彼女はどんな表情でも美しい。

 凛としていて、かつ、時折可愛らしくて――。

 人は彼女を"学園の薔薇"と呼ぶ。

「行きましょう。凪」

「うん。麗華ちゃん」

 彼女を愛し、守り続けよう。

 そう、僕は神様に誓った。

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プロローグ
 ――気がつけばそこには血だまりが出来ていた。 そして積み上げられている屍の山。「――凪」 愛しい彼女の愛らしい唇が己の名を紡ぐのを恍惚の表情を浮かべながらうっとりと聞く。 「またこんなにして......。ダメじゃないの」「麗華ちゃん。こいつら麗華ちゃんの悪口言ってたんだよ? 僕がそれを許すとでも思う?」「今に始まったことではないわ。――それより、加減はしたんでしょうね?」 彼女は、自分の悪口を言っていたヤツらのことまで心配しているようだった。 ――あぁ。なんて優しいんだろう。 そんな心優しいところも愛している。「大丈夫だよ? 酷いヤツでも骨の一本で許してやったからね」「そう。それなら後始末は"掃除委員会"にやらせましょう。私達は早くこの場から立ち去るわよ」 "掃除委員会" 彼女が僕のために作ってくれた僕のためだけの委員会。 それもこれも"生徒会長権限"だろう。 あぁ、僕は愛されている。 そう実感するのには十分である。「僕ってば、麗華ちゃんに愛されて幸せだなぁ」「――貴方は野放しにすると、手加減がされないんですもの。私がちゃんと見張ってないと。ね?」 彼女の瞳が僕だけをとらえる。 その瞬間が僕はたまらなく幸せを感じる。 ――麗華ちゃんは僕だけを見ていればいいんだ。「麗華ちゃん」「? ――っと」 僕はたまらなくなり、彼女を抱きしめる。 彼女はビックリした表情を浮かべる。 しかし、それも一瞬のこと。 彼女は僕の頭を優しく撫でる。「凪。甘えるのはいいけれど、貴方、血塗れよ? ......制服に血がついたわ」「!! ご、ごめん!! 麗華ちゃんに汚らわしいものをつけてしまって......!!」「あ! こら。力任せにこするんじゃありません」 そういうと彼女は白いハンカチを取り出し、僕の頬についた血を拭った。 まっさらな白に血の赤が滲んでいく。「さぁ、これで綺麗になったわ。そうそう。お父様が今日は早く帰って来るの。それで夕飯一緒にどうかって言ってたわ。もちろん来るでしょう?」「麗華ちゃんが望むなら」「ふふっ。いい子ね。ちゃんとしている子は好きよ」 ――彼女が僕に「好き」だと言った。 これ以上に無い幸福だ。「麗華ちゃん」「なあに? 凪」「ふふっ。僕は麗華ちゃんを"愛して"いるよ?」 僕がそういうと
last updateLast Updated : 2026-10-28
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第1話
 ここは金持ちの令嬢や子息が通う日本屈指の高等学校、"私立雅ヶ丘学園"。 日本の未来を担う若者を育成すべく、優秀な教師達が教壇に立つ。 そして、そんな学園の頂点に君臨するのは"生徒会"である。 そこは優秀な生徒達が集められ、学園を運営していく。 そのトップに立つのは、その中でも特に優秀且つ有能である生徒、"生徒会長"である。 今現在その任についているのは、容姿端麗、才色兼備で名をはせている、桜庭 麗華である。 今日も今日とて、麗華は生徒たちの注目の的となっているのである。 そんな麗華には、なによりも大切にしている存在がいる。 その存在とは、学園の一匹狼で、麗華の婚約者である、鬼塚 凪だ。 「凪。またここにいたの?」「!! 麗華ちゃん!!」 麗華はさも当たり前のように立ち入り禁止の屋上へと入っていくと、先約である凪に声をかける。 凪は麗華が現れたことに喜びの笑みを見せた。 「貴方、また喧嘩したんですって?」「......だって、あいつら麗華ちゃんが好きだって言うんだもん。麗華ちゃんは僕のなのに」「えぇ。私は貴方のものよ? だから無駄な喧嘩はよして頂戴?」 麗華がそういうが、凪は首を縦に振ろうとしない。 ――むしろ嫌がってるようにも見える。「麗華ちゃんは自分の魅力に気付いてないの? 麗華ちゃんがあまりにも魅力的だから、"学園の薔薇"なんて呼ばれるんだよ?」「"学園の薔薇"ねぇ......。それじゃあ私を守る貴方は"薔薇の棘"、かしら?」「綺麗な花を守るためなら棘にもなるよ」 そう言って笑う凪の目は真剣そのものであった。「......それはそうと。貴方いい加減授業に出なさい?」「......テストはちゃんと受けてるよ。赤点も取った事ないし」 そう。 こう見えて、凪は成績は優秀なのだ。 テストでは十位以内をキープしている。「教室では、『鬼塚 凪はテスト以外姿を見せないがどうして進級できるのか』と議論されることもあるのよ?」「言いたいヤツには言わせておけばいいよ」「――私が嫌なのよ。凪が悪く言われたりするのが」 麗華ちゃんが僕のことを心配してくれている。 それだけで、胸の奥がじんわりと熱くなる。 ――やっぱり、麗華ちゃんは僕を愛している。「ふふっ。麗華ちゃんは優しいなぁ」「? 当たり前のことしか言ってい
last updateLast Updated : 2026-10-28
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第2話
 家に着くと、凪はさも当然と言わんばかりに麗華の部屋へと入り、ベッドにダイブする。 麗華が何度咎めてもやめることはなかったので、今ではもう好きにさせている。 「はぁー。麗華ちゃんのベッド落ち着くー」「......なんだか変態臭いわよ。ほら、宿題やるわよ」「えぇ。せっかく二人きりなんだからイチャイチャしようよ」 そういうと、凪はベッドから降り、麗華を思い切り抱きしめた。 麗華はそれを甘んじて受け入れる。 ――拒絶することは許されない。 そんなオーラを凪は醸し出しているからだ。 仕方なく抱きしめ返すと、凪は喜び、顔中にキスの雨を降らせる。「ん......。凪? くすぐったいわ」「可愛いからしたくなっちゃうの! 麗華ちゃん大好き! 愛してる!」「......私もよ」 麗華は凪ほど愛情表現が得意ではない。 どんなことでも恥じらいが勝ってしまう。 ――そんなことは凪にとってはお見通しである。 「......凪、そろそろ苦しいわ」「あ! ごめんね! それじゃあ宿題しよう!」 凪は満足したのか、自ら率先して宿題をしようとしている。 麗華はそれがとても嬉しい。「今日の宿題は数学だけよ」「数学か......。数学なんて簡単なんだからわざわざ宿題出すなんて先生達も暇だね」 ――凪の悪いところが出てきた。 頭が良い故、大人も馬鹿にしてしまうところだ。「凪。宿題終わらせたら、何でも言うこと聞いてあげるから頑張って頂戴?」「......"なんでも"?」 なんでもは言い過ぎてしまったかと、麗華は後悔した。 しかし、一度口に出した言葉は取り消すことが出来ない。「えぇ。なんでも"一つ"、いうこと聞いてあげるわ」「よーっし! 頑張るぞー!!」 これでいい。 凪がどんなお願いを言ってくるのかは分からないが、やる気になってくれるのであれば。「? 麗華ちゃん? 早く宿題しようよ。僕だけ先に終わっちゃったらつまらないじゃん!」「そ、そうね。今からするわ」 そういうと麗華も教科書とノートを取り出し、目の前の問題に取りかかった。 チラリと凪の様子を窺うと、真剣に宿題を取り組んでいた。 やはり、ご褒美があるとないとではやる気の入り方が違う。「......よし! 終わったよ、麗華ちゃん!」「お疲れ様。私もあとちょっとだから、もう少し待
last updateLast Updated : 2026-10-28
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第3話
 翌朝――。 麗華は学園の門の前に立っていた。 毎週恒例、"挨拶運動"のためである。 生徒会の面々は登校してくる生徒達に「おはようございます」と元気よく挨拶をしている。 そんな中、その挨拶運動を邪魔する存在が。「桜庭生徒会長。挨拶運動なんて、小学生でも今時しないぞ? それより、こちらの服装検査の邪魔をしないでもらいたい」「あら。藤堂風紀委員長。おはようございます。毎週月曜日と金曜日は挨拶運動をするのがこの学園の恒例行事ですよ? それに、週始めと終わりに挨拶をするのは素晴らしいことだと思いません?」 そう。邪魔をするのは生徒会のライバル組織、"風紀委員会"である。 そんな風紀委員会を束ねるのは、藤堂 剛志だ。 ことあるごとに、生徒会にイチャモンをつけ、生徒会の邪魔をする。 "生徒会長と風紀委員長は犬猿の仲だ"というのは学園では有名な話だ。「藤堂風紀委員長も、挨拶なしにいきなりこちらの邪魔をするなんて......。礼儀がなっていないのでは?」「なっ!!」 麗華にそういわれて、剛志は頭に血が上る。「ほら。そういうところですよ? 貴方も藤堂商社のご子息でいらっしゃるのだから。挨拶は社交界においても大事なものですよ?」「......言わせておけば!!」「――そこまでだよ」 毎度恒例となっている言い合いにストップをかける人物が。 ――凪である。 凪は二人の間に割って入ると、見せつけるように麗華に抱き着いた。 それを見た剛志は「うっ」と声を漏らす。「藤堂君、ダメだよ? そんなんじゃ。振り向いてもらえるものも振り向いてもらえない。......まぁ? それ以前の問題だろうけどね?」 凪はそういうと、麗華の頬へキスをした。「ハッ!! 相変わらずだな鬼塚。学園の一匹狼だか何だか知らんが、桜庭生徒会長の番犬でも気取っているつもりか?」「――麗華ちゃんは僕の女王様だからね。麗華ちゃんを守るためなら番犬にだってなれるよ?」「~~!! もういい!! 行くぞ!!こんなところで油を売っていたら、服装検査の時間がなくなる!!」 剛志は風紀委員の面々を連れ校舎の中へと姿を消していった。 麗華は、去って行く剛志達をただ静かに見送っていた。 凪はというと、邪魔者がいなくなって清々したと言わんばかりに、麗華に甘え始める。「か、会長、大丈夫ですか? 鬼
last updateLast Updated : 2026-10-28
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第4話
「さて、凪? 今日からはちゃんと授業に出なさい?」「......授業なんて聞かなくても勉強は出来るし」 凪の言葉に麗華はため息をついた。 ――こうなっては、奥の手を出すしかない。「......凪がいないと、私が寂しいんです」「麗華ちゃん?」「凪と共に勉学に励む。そんな青春を送りたいと思うのはダメ、かしら?」 麗華の"お願い"に弱い凪は、ごくりと息を呑みこむ。 すると、何を思ったか、交換条件を出してきた。「分かった。これからはちゃんと授業に出るよ。......ただ、麗華ちゃんには条件を呑んでもらうよ?」「......条件?」「藤堂君に必要以上に近づかないで? 彼、何か隠してる」「......隠すも何も、彼は私のことを嫌っているのよ? 近づこうなんて思わないわ?」「......そう。ならいいんだ」 凪は心の底から安心したかのように息を漏らす。 そんな凪の様子に疑問を持った麗華であったが、敢えて言及はしないでおいた。 ――凪のオーラがこれ以上は何も答えないと言っているようだったからだ。「さぁ。教室へ行きましょう。ようやく私の隣の席が埋まるわ」「......え?」「だって、私の隣の席は凪なんですもの」「!! なんでそれを早く教えてくれなかったのさ!! 知ってたらちゃんと授業受けてたのに!!」 凪は激しく後悔した。 しかし、過ぎ去った日々は戻せない。 「麗華ちゃんの意地悪!!」「ふふっ。たまにはいいじゃない。いつも振り回されてる仕返しよ?」「うー!!」 その時だった。 大柄な男子生徒が数人、麗華と凪の前に現れた。「おうおう、生徒会長さんよぉ。今日も麗しいですねぇ」「......なんでしょうか? 貴方達のことなど知りはしませんわ」「んだと? お前のせいで、兄貴が退学処分になったのは分かってるんだぞ?!」 男の一人が麗華の胸ぐらを掴んだ。 そして、拳を振り上げる。 が、その拳が麗華に振り下ろされることはなかった。 ――凪がその腕を掴んだからだ。「......離せよ」「あぁ?! 聞こえねぇな?」「汚い手で麗華ちゃんに触れるんじゃないよ。いい加減離せ......!!」 凪は掴んだ腕を思いっきり捻り上げた。 すると、男は「痛たたた!!」と声を張り上げた。 ――凪は、離すことなくどんどん力を強めていく。
last updateLast Updated : 2026-10-28
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第5話
「麗華ちゃん、麗華ちゃん! ここ、どう解けばいいの?」「......凪。授業をちゃんと聞きなさい。そうすれば分かるから。......って、今日はまだそこまでいっていないわよ?」「えー? だって先生の話つまらないんだもん。教科書読めば大体分かったよ。麗華ちゃんだって、もう大学生の勉強してるでしょ? そうだ! 今日はもう帰って、デートしよ?」「......まったく。ちゃんと授業に出るようになったと思ったら......。始めだけじゃないの。悪い子にはご褒美はないわよ?」「えぇー?! それは嫌だ!! ちゃんと授業受ける!!」 今まで姿を見せなかった凪が教室にいることにより、教室の中は緊張感に包まれていた。 いつ、何が火種になって暴走するか分からない。 そう思うと、教師もクラスメイト達も滅多なことを言えなかった。 唯一、声を上げることが出来るのは麗華のみ。「はぁ......。麗華ちゃんが隣にいるなら、教室にいるのも悪くないね!」「そう? それはよかったわ。けれど、少しおしゃべりがすぎるわよ? 授業は静かに受けなさい。他の人達にも迷惑になるわ」「ごめんごめん! じゃあさ、静かに授業受けるから、今日もご褒美くれる?」 ――ご褒美をねだるのがもう当たり前のようになっている。 これは少し、いや、かなりまずいのでは?「凪。そんなに頻繁に求めてたら、ご褒美の意味がないわ?」 クラスメイト達は静かに授業を受けながら麗華達の会話を聞いていたが、皆思っていることは同じであった。(ご褒美ってどういうこと――?!) 皆、ご褒美の内容に興味を持った。 それもこれも思春期の子供達。 男女のあれやこれを想像してしまうのも無理はない。「でも麗華ちゃん。僕は麗華ちゃんの言う通りにちゃんと授業に出ている。これって素晴らしいことだとは思わないかい?」「......あとは、暴走癖を治してくれれば完璧なのだけれど」「それは、麗華ちゃんに害なす愚か者がいる限り、無理な相談だね」 ――これはもう、薔薇の棘なんて綺麗なものではない。 番犬......いや、狂犬と言ってもいいだろう。 麗華はそんな凪を見ながら、小さくため息をつく。(そんな凪の向ける愛が心地いいなんて思う私もどうかしている)「......麗華ちゃん? どうしたの?」「......何でもないわ。さぁ、午
last updateLast Updated : 2026-10-31
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第6話
 *** バキッ! ボコッ! バコッ! 今目の前で繰り広げられている光景に、少女は只々固まるしかなかった。 少女の頬には殴られた男の返り血が飛び散ってくる。 「君達、ここ最近麗華ちゃんの後をつけてたよね? 分かってるんだよ? 僕の麗華ちゃんに近寄ろうなんて......反吐が出る」 少女は"麗華ちゃん"とは誰か?  そう思う前に、自分の危機を助けてくれた、血塗れのヒーローに目が釘付けになっていた。「......あぁ。このままじゃ麗華ちゃんの所へ行けないじゃないか」「あ、あの!!」「ん?」 少女は思いっ切って、男を痛めつけていた人物に声をかけた。 その人物は、少女の声に不愉快極まりないと言わんばかりの顔を向けてきた。「た、助けて下さりありがとうございます! お、お名前をお伺いしても......?」「......別にアンタを助けたわけじゃない。麗華ちゃんのパパに頼まれて掃除をしただけ。そこにたまたまアンタがいた。ただそれだけのこと」「で、ですが! 私も助かったのには違いありません!! どうかお名前を......!!」「ハァ。鬼塚。鬼塚 凪。名前なんて聞いてどうするわけ? アンタとはこれっきりなんだから」 その人物......凪にそう言われ、少女はグッと言葉につまる。 が、少女は負けじと強い瞳を凪に向ける。「私は一ノ瀬 桃です! きっと、またお会いできると思います!!」「ハァ? アンタの名前なんてどうでもいいし、興味ない。お会いできても嬉しくない」「いえ。きっと、貴方の心を私に向けてみせます!! それでは!!」 桃はそう言い残すと、その場から走り去って行った。 凪は一体何だったんだと思いつつも、麗華の父に掃除完了の連絡を入れることにした。 ***「そう言えば、ここ最近嫌な視線を感じていたのだけれど、それがサッパリなくなったのよね」「へぇ! それはよかったじゃない!!」「......しらばっくれてもダメよ? 貴方が何かしたんでしょう?」 麗華に問われる凪であったが、凪はニコニコと笑顔を崩すことなく、「なんのことかなぁ?」とすっとぼける。「昨日、珍しく一人で帰るって言っていたから不審に思っていたのよ。そうしたら、お父様に貴方から連絡が入ったの」「......」「貴方が、お父様に連絡を入れた時、私も傍にいたということ
last updateLast Updated : 2026-11-02
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第7話
 教室中は騒然とした。 なんでも、桃が凪のことを"王子様"と呼んで顔を赤らめているからだ。「......は? アンタ、誰?」「昨日出会ったばかりじゃないですか!! 昨日助けてもらった、一ノ瀬 桃です!!」「僕、人助けなんてしてない。仕事はしたけど」「いいえ! 私はたしかに貴方に助けていただきました!!」 桃は凪に必死にアピールするが、凪は全くと言っていいほど興味を示さない。 どうやら、麗華との会話を邪魔されたことが気に入らないらしい。「そ、それじゃあ一ノ瀬さん。席に着いてもらえますか?」 担任が桃に席に着くよう促すが、桃はそれを拒む。「イヤですイヤです!! せっかく王子様がここにいるのに!! 王子様......いえ、凪様!!どうか私と......」「――あのさぁ、馴れ馴れしく"凪"って呼ばないでくれる? 僕のこと名前で呼んでいいのは麗華ちゃんだけだよ?」「そ、そんなに"麗華さん"という人が大事なのですか?! 私よりも可愛いと?!」 ――桃のその言葉に、凪の表情が一瞬で険しくなった。 しかし、それを止めたのは他でもない麗華自身である。「凪。女性には紳士的な対応をよ。一ノ瀬さん。貴方も、何でもかんでも手に入れられるとは思わないことです。――凪は私の婚約者なので」「な!! 私が欲しいって言えば、パパが叶えてくれるんだから!!」「......桜庭グループを敵に回したいのであれば、止めはしませんよ」 桃は「言ったわね?! 後悔しても遅いんだから!!」と言いながら、渋々席に着いた。 麗華は、朝から面倒なものに絡まれた、と疲れの色を見せる。 しかし、一方凪はというと、喜びの笑みを浮かべていた。「凪。あまりこっちを見ないで頂戴。こう見えても柄ではないことを言ったのには自覚があるの」「んー? ふふっ。僕は麗華ちゃんに想われて幸せ者だ」 そう凪が言うと、麗華は思わず頬を紅潮させてしまう。 ――こんなことで照れてしまって、私らしくない。 いつだって麗華の心を乱すのは凪だけだ。「凪。今日は委員会会議があるので先に帰って頂戴」「いーやーだー! 何時になってもいいから僕は麗華ちゃんと一緒に帰る!! ......待ってるからね? 僕の女王様?」「手の焼けるペットだわ」 麗華は凪のことを"ペット"と呼ぶ。 しかし、凪のことを心から思って
last updateLast Updated : 2026-11-02
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