LOGIN舞台は、お金持ちの子息、令嬢の通う【私立雅ヶ丘学園】。 主人公は、"学園の薔薇"と呼ばれ、容姿端麗、才色兼備の生徒会長【桜庭 麗華】。 そんな彼女には、婚約者で付き合っている、学園の一匹狼【鬼塚 凪】がいる。 凪は愛の重い系男子で、麗華のためなら手段を択ばない。 そんな彼のことを生徒達は"薔薇の棘"といい恐れている。 また、麗華には、敵対してる風紀委員長【藤堂 剛志】がおり、事あるごとにぶつかり合う。 しかし、剛志は麗華のことを好いており――。 ドタバタ学園ラブコメディ!
View More――気がつけばそこには血だまりが出来ていた。
そして積み上げられている屍の山。
「――凪」
愛しい彼女の愛らしい唇が己の名を紡ぐのを恍惚の表情を浮かべながらうっとりと聞く。
「またこんなにして......。ダメじゃないの」
「麗華ちゃん。こいつら麗華ちゃんの悪口言ってたんだよ? 僕がそれを許すとでも思う?」
「今に始まったことではないわ。――それより、加減はしたんでしょうね?」
彼女は、自分の悪口を言っていたヤツらのことまで心配しているようだった。
――あぁ。なんて優しいんだろう。
そんな心優しいところも愛している。
「大丈夫だよ? 酷いヤツでも骨の一本で許してやったからね」
「そう。それなら後始末は"掃除委員会"にやらせましょう。私達は早くこの場から立ち去るわよ」
"掃除委員会"
彼女が僕のために作ってくれた僕のためだけの委員会。
それもこれも"生徒会長権限"だろう。
あぁ、僕は愛されている。
そう実感するのには十分である。
「僕ってば、麗華ちゃんに愛されて幸せだなぁ」
「――貴方は野放しにすると、手加減がされないんですもの。私がちゃんと見張ってないと。ね?」
彼女の瞳が僕だけをとらえる。
その瞬間が僕はたまらなく幸せを感じる。
――麗華ちゃんは僕だけを見ていればいいんだ。
「麗華ちゃん」
「? ――っと」
僕はたまらなくなり、彼女を抱きしめる。
彼女はビックリした表情を浮かべる。
しかし、それも一瞬のこと。
彼女は僕の頭を優しく撫でる。
「凪。甘えるのはいいけれど、貴方、血塗れよ? ......制服に血がついたわ」
「!! ご、ごめん!! 麗華ちゃんに汚らわしいものをつけてしまって......!!」
「あ! こら。力任せにこするんじゃありません」
そういうと彼女は白いハンカチを取り出し、僕の頬についた血を拭った。
まっさらな白に血の赤が滲んでいく。
「さぁ、これで綺麗になったわ。そうそう。お父様が今日は早く帰って来るの。それで夕飯一緒にどうかって言ってたわ。もちろん来るでしょう?」
「麗華ちゃんが望むなら」
「ふふっ。いい子ね。ちゃんとしている子は好きよ」
――彼女が僕に「好き」だと言った。
これ以上に無い幸福だ。
「麗華ちゃん」
「なあに? 凪」
「ふふっ。僕は麗華ちゃんを"愛して"いるよ?」
僕がそういうと、彼女は頬を紅潮させそっぽを向く。
恥ずかしがりやな所は幼い頃から変わっていない。
彼女はどんな表情でも美しい。
凛としていて、かつ、時折可愛らしくて――。
人は彼女を"学園の薔薇"と呼ぶ。
「行きましょう。凪」
「うん。麗華ちゃん」
彼女を愛し、守り続けよう。
そう、僕は神様に誓った。
教室中は騒然とした。 なんでも、桃が凪のことを"王子様"と呼んで顔を赤らめているからだ。「......は? アンタ、誰?」「昨日出会ったばかりじゃないですか!! 昨日助けてもらった、一ノ瀬 桃です!!」「僕、人助けなんてしてない。仕事はしたけど」「いいえ! 私はたしかに貴方に助けていただきました!!」 桃は凪に必死にアピールするが、凪は全くと言っていいほど興味を示さない。 どうやら、麗華との会話を邪魔されたことが気に入らないらしい。「そ、それじゃあ一ノ瀬さん。席に着いてもらえますか?」 担任が桃に席に着くよう促すが、桃はそれを拒む。「イヤですイヤです!! せっかく王子様がここにいるのに!! 王子様......いえ、凪様!!どうか私と......」「――あのさぁ、馴れ馴れしく"凪"って呼ばないでくれる? 僕のこと名前で呼んでいいのは麗華ちゃんだけだよ?」「そ、そんなに"麗華さん"という人が大事なのですか?! 私よりも可愛いと?!」 ――桃のその言葉に、凪の表情が一瞬で険しくなった。 しかし、それを止めたのは他でもない麗華自身である。「凪。女性には紳士的な対応をよ。一ノ瀬さん。貴方も、何でもかんでも手に入れられるとは思わないことです。――凪は私の婚約者なので」「な!! 私が欲しいって言えば、パパが叶えてくれるんだから!!」「......桜庭グループを敵に回したいのであれば、止めはしませんよ」 桃は「言ったわね?! 後悔しても遅いんだから!!」と言いながら、渋々席に着いた。 麗華は、朝から面倒なものに絡まれた、と疲れの色を見せる。 しかし、一方凪はというと、喜びの笑みを浮かべていた。「凪。あまりこっちを見ないで頂戴。こう見えても柄ではないことを言ったのには自覚があるの」「んー? ふふっ。僕は麗華ちゃんに想われて幸せ者だ」 そう凪が言うと、麗華は思わず頬を紅潮させてしまう。 ――こんなことで照れてしまって、私らしくない。 いつだって麗華の心を乱すのは凪だけだ。「凪。今日は委員会会議があるので先に帰って頂戴」「いーやーだー! 何時になってもいいから僕は麗華ちゃんと一緒に帰る!! ......待ってるからね? 僕の女王様?」「手の焼けるペットだわ」 麗華は凪のことを"ペット"と呼ぶ。 しかし、凪のことを心から思って
*** バキッ! ボコッ! バコッ! 今目の前で繰り広げられている光景に、少女は只々固まるしかなかった。 少女の頬には殴られた男の返り血が飛び散ってくる。 「君達、ここ最近麗華ちゃんの後をつけてたよね? 分かってるんだよ? 僕の麗華ちゃんに近寄ろうなんて......反吐が出る」 少女は"麗華ちゃん"とは誰か? そう思う前に、自分の危機を助けてくれた、血塗れのヒーローに目が釘付けになっていた。「......あぁ。このままじゃ麗華ちゃんの所へ行けないじゃないか」「あ、あの!!」「ん?」 少女は思いっ切って、男を痛めつけていた人物に声をかけた。 その人物は、少女の声に不愉快極まりないと言わんばかりの顔を向けてきた。「た、助けて下さりありがとうございます! お、お名前をお伺いしても......?」「......別にアンタを助けたわけじゃない。麗華ちゃんのパパに頼まれて掃除をしただけ。そこにたまたまアンタがいた。ただそれだけのこと」「で、ですが! 私も助かったのには違いありません!! どうかお名前を......!!」「ハァ。鬼塚。鬼塚 凪。名前なんて聞いてどうするわけ? アンタとはこれっきりなんだから」 その人物......凪にそう言われ、少女はグッと言葉につまる。 が、少女は負けじと強い瞳を凪に向ける。「私は一ノ瀬 桃です! きっと、またお会いできると思います!!」「ハァ? アンタの名前なんてどうでもいいし、興味ない。お会いできても嬉しくない」「いえ。きっと、貴方の心を私に向けてみせます!! それでは!!」 桃はそう言い残すと、その場から走り去って行った。 凪は一体何だったんだと思いつつも、麗華の父に掃除完了の連絡を入れることにした。 ***「そう言えば、ここ最近嫌な視線を感じていたのだけれど、それがサッパリなくなったのよね」「へぇ! それはよかったじゃない!!」「......しらばっくれてもダメよ? 貴方が何かしたんでしょう?」 麗華に問われる凪であったが、凪はニコニコと笑顔を崩すことなく、「なんのことかなぁ?」とすっとぼける。「昨日、珍しく一人で帰るって言っていたから不審に思っていたのよ。そうしたら、お父様に貴方から連絡が入ったの」「......」「貴方が、お父様に連絡を入れた時、私も傍にいたということ
「麗華ちゃん、麗華ちゃん! ここ、どう解けばいいの?」「......凪。授業をちゃんと聞きなさい。そうすれば分かるから。......って、今日はまだそこまでいっていないわよ?」「えー? だって先生の話つまらないんだもん。教科書読めば大体分かったよ。麗華ちゃんだって、もう大学生の勉強してるでしょ? そうだ! 今日はもう帰って、デートしよ?」「......まったく。ちゃんと授業に出るようになったと思ったら......。始めだけじゃないの。悪い子にはご褒美はないわよ?」「えぇー?! それは嫌だ!! ちゃんと授業受ける!!」 今まで姿を見せなかった凪が教室にいることにより、教室の中は緊張感に包まれていた。 いつ、何が火種になって暴走するか分からない。 そう思うと、教師もクラスメイト達も滅多なことを言えなかった。 唯一、声を上げることが出来るのは麗華のみ。「はぁ......。麗華ちゃんが隣にいるなら、教室にいるのも悪くないね!」「そう? それはよかったわ。けれど、少しおしゃべりがすぎるわよ? 授業は静かに受けなさい。他の人達にも迷惑になるわ」「ごめんごめん! じゃあさ、静かに授業受けるから、今日もご褒美くれる?」 ――ご褒美をねだるのがもう当たり前のようになっている。 これは少し、いや、かなりまずいのでは?「凪。そんなに頻繁に求めてたら、ご褒美の意味がないわ?」 クラスメイト達は静かに授業を受けながら麗華達の会話を聞いていたが、皆思っていることは同じであった。(ご褒美ってどういうこと――?!) 皆、ご褒美の内容に興味を持った。 それもこれも思春期の子供達。 男女のあれやこれを想像してしまうのも無理はない。「でも麗華ちゃん。僕は麗華ちゃんの言う通りにちゃんと授業に出ている。これって素晴らしいことだとは思わないかい?」「......あとは、暴走癖を治してくれれば完璧なのだけれど」「それは、麗華ちゃんに害なす愚か者がいる限り、無理な相談だね」 ――これはもう、薔薇の棘なんて綺麗なものではない。 番犬......いや、狂犬と言ってもいいだろう。 麗華はそんな凪を見ながら、小さくため息をつく。(そんな凪の向ける愛が心地いいなんて思う私もどうかしている)「......麗華ちゃん? どうしたの?」「......何でもないわ。さぁ、午
「さて、凪? 今日からはちゃんと授業に出なさい?」「......授業なんて聞かなくても勉強は出来るし」 凪の言葉に麗華はため息をついた。 ――こうなっては、奥の手を出すしかない。「......凪がいないと、私が寂しいんです」「麗華ちゃん?」「凪と共に勉学に励む。そんな青春を送りたいと思うのはダメ、かしら?」 麗華の"お願い"に弱い凪は、ごくりと息を呑みこむ。 すると、何を思ったか、交換条件を出してきた。「分かった。これからはちゃんと授業に出るよ。......ただ、麗華ちゃんには条件を呑んでもらうよ?」「......条件?」「藤堂君に必要以上に近づかないで? 彼、何か隠してる」「......隠すも何も、彼は私のことを嫌っているのよ? 近づこうなんて思わないわ?」「......そう。ならいいんだ」 凪は心の底から安心したかのように息を漏らす。 そんな凪の様子に疑問を持った麗華であったが、敢えて言及はしないでおいた。 ――凪のオーラがこれ以上は何も答えないと言っているようだったからだ。「さぁ。教室へ行きましょう。ようやく私の隣の席が埋まるわ」「......え?」「だって、私の隣の席は凪なんですもの」「!! なんでそれを早く教えてくれなかったのさ!! 知ってたらちゃんと授業受けてたのに!!」 凪は激しく後悔した。 しかし、過ぎ去った日々は戻せない。 「麗華ちゃんの意地悪!!」「ふふっ。たまにはいいじゃない。いつも振り回されてる仕返しよ?」「うー!!」 その時だった。 大柄な男子生徒が数人、麗華と凪の前に現れた。「おうおう、生徒会長さんよぉ。今日も麗しいですねぇ」「......なんでしょうか? 貴方達のことなど知りはしませんわ」「んだと? お前のせいで、兄貴が退学処分になったのは分かってるんだぞ?!」 男の一人が麗華の胸ぐらを掴んだ。 そして、拳を振り上げる。 が、その拳が麗華に振り下ろされることはなかった。 ――凪がその腕を掴んだからだ。「......離せよ」「あぁ?! 聞こえねぇな?」「汚い手で麗華ちゃんに触れるんじゃないよ。いい加減離せ......!!」 凪は掴んだ腕を思いっきり捻り上げた。 すると、男は「痛たたた!!」と声を張り上げた。 ――凪は、離すことなくどんどん力を強めていく。





