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第403話

Author: 豆々銀錠
美希はほっと安堵した。やはり自分の娘だ。何が一番大切かをよく分かっている。紗枝とは違って。

横で太郎は冷たく鼻で笑った。

昭子が部屋を出た後、すぐに美希に向かって言った。「母さん、もし昭子が黒木拓司と結婚したら、俺は黒木家の義弟のままだ。だから俺、会社を作りたいんだけど、その資金を――」

彼が話を終える前に、美希が彼の言葉を遮った。

「いい加減にしなさい。あなたは鈴木家の次男としてちゃんとやりなさい。一日中、金を無駄遣いすることばかり考えないの!」

その言葉を聞いて、太郎の顔は一瞬で怒りに染まった。「母さん、本当に俺を怒らせたいの?俺が真実を紗枝に話したらどうなると思う?そしたら俺たちみんな終わりだ!」

「そんなこと、あんたにできるわけない!」美希は怒りに任せて水の入ったコップをテーブルに叩きつけた。

太郎は気まずそうに視線をそらし、立ち上がって部屋を出た。

しかし、家を出た後も行くところがなく、彼は聖華高級クラブに行って酒を飲むことにした。

「この店で一番綺麗な子を呼んでくれ!」

太郎が到着すると、すぐに周囲の注目を集めた。

その姿は常連客である澤村和彦の目にも留まった。

和彦はすぐに部下に太郎の動向を監視させ、自分はスマホを取り出して電話をかけた。

「黒木さん」

彼は最近啓司と連絡を取り始めたばかりだった。

啓司が本当に記憶喪失しているとは思っていなかった。最初に彼に連絡した時、啓司は全く相手にしなかった。

最近ようやく少し話すようになり、少し思い出したと言っていた。

「何の用だ?」

啓司は仕事中に電話を受け取り、尋ねた。

「さっき太郎が聖華に来たよ。めっちゃ金を持っている、来るなり、会場を全部貸し切ったんだ」和彦はこの無能な男のことをまだ覚えていた。

かつて桃洲の一番の富豪だった夏目家を台無しにした太郎が、どうして金持ちぶれるのかと疑問に思った。

「放っておけ」啓司は淡々とキーボードを叩きながら答えた。

あいつには前に紗枝に関わるなと警告した。それ以上のことには興味がない。

「分かったよ」

和彦は少し落胆した様子で答えた。「そういえば、黒木さん、ニュース見たよ。会社を全部黒木拓司に任せたって本当?」

「一時的にな」

その言葉に、和彦はようやく安堵の息をついた。

彼は啓司が目が見えないから、誰にでも侮られると
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