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第887話

작가: 豆々銀錠
IMグループ本社。役員フロアの応接室にて、啓司は牧野を呼び出していた。

「紗枝の件、今どうなっている?」

牧野は、社長が記憶を失っていても紗枝を気にかけていると予想していたので、すぐに答えた。

「まず、社内関連のネガティブ発言はすべて削除しました。その後、時先生名義のアカウントから釈明が出され......ネットユーザーの間では『紗枝=時先生』であることが広く認知されました。盗作騒動は完全なデマだったと理解されています」

啓司はわずかに息を吐いた。先に動いた自分の判断が、結果として紗枝の計画に水を差してしまったと悟った。

紗枝は、すでに全てを見越していたのだ。ただ、世論が沸点に達するのをじっと待っていた。

「過去の投稿を再び拡散しろ。そして、トレンドのトップ10、その半分を『紗枝が誹謗中傷された』内容で埋めろ」

「承知しました」

数時間後、主要SNSのトレンドは瞬く間に逆転劇一色に染まった。

「#紗枝=時先生」「#義理の姉妹バトル」「#黒木家の内紛」

昨夜まで昭子が買い占めていた広告位置は、ことごとく紗枝によって塗り替えられていた。

同じ頃、景之は大学の休憩時間を使って、自ら動いた。

母を誹謗した複数の匿名アカウントに侵入し、そこに隠された金銭のやり取り記録――つまり炎上工作の裏取引を、完全公開したのだ。

その投稿は爆発的な拡散を見せた。

「全部嘘だったのか!昭子は夢にも思わなかっただろうね、将来の兄嫁がこんな手強い相手だとは!」

「紗枝さんって、子供の頃から難聴だったらしい。補聴器つけてあんな繊細な曲を書くとか、ただの天才じゃない......ファンになりました。応援します!」

「エイリーが『私は紗枝を信じる』って言った時......そうか、『時先生だから』って意味だったんだ!」

「本物の友情って、こういうことだよね。紗枝が誰かも知らないくせに適当に貶してた誰かさんとは大違い......」

その頃、昭子は私立病院で産科の検診を終えたばかりだった。しかし、出てきたところで、顔色を失ったアシスタントが駆け寄ってきた。

「昭子さん、大変です!」

昭子は眉をひそめた。

「またあの婆さんが何か言ったの?」

「違います!ネットで......完全に空気が変わってます!これ、見てください!」

アシスタントが差し出したスマホを受け取り、
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