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第0872話

Auteur: 十一
今度は、一はもう二人を止めない。

一は二人の後ろ姿を見つめながら、すぐに涙で視界がぼやけたが、胸の中には温かいものが込み上げてくる。

凛が部屋の入り口まで来た時、急に足を止める。

早苗も一緒に止まって、疑問に思う様子だ。

凛は隣の寝室のドアを目で示す。

早苗は意を悟り、そっと扉を少し開けて見ると――

まさか!

学而はまだぐうぐう寝ている。

起き上がって、形だけでも作る気すらなかったの?

早苗は言う。「さすがだわ」

凛は言う。「一は本当に学而がトイレに行ったと思ってたみたい」

「かもね……」

結局トイレに行くのは嘘で、布団にもぐりこんでまた寝てたんだ。

「じゃあ……」早苗は急に言葉を切る。「そうすると、私たち損してない?わざわざ起きて服を着替えて、玄関までついていったのに?」

凛は思案しながら頷く。「……確かに損したわ」

……

鶏が鳴き、朝が来る。

夜が明けたが、霧はまだ晴れていない時間だ。

玄関の扉を開けると、広大な土地が目に入り、遠くを見れば連なる山々がある。

早苗は言う。「C省は山城って呼ばれてるんだけど、本当にその通りね!」

ここに来る途中
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