Masuk「挨拶したところで、モンスターが寄ってきちゃったんだけど……」
俺の後ろに隠れるミリア。
テイムされたしな。 守るさ。「カタカタタ! ガタタダ!(かかって来い! ザコども!)」
そこに突っ込んできたのはまたしてもゴブリン。
スケルトンもいる。ゴブリンの首を刈り、胸を突き。
スケルトンなんざ、容易い。 そう思い、青い炎の胸を突く。ガラガラと骨が崩れていく。
骨を拾い、骨を投擲して他のスケルトンの胸の炎を破壊する。 ドンドン崩れていくスケルトン。後ろからはスライムもやって来た。
スライム?「スライムは核を攻撃するの!」
ナイス! ミリア。
核を突いて突いて突きまくる。
すると、身体が光った。「あっ! レベルアップした! 後でスキルポイントで獲るスキル選ぼうね!」
スキルが獲れるのか。
いいな。あとで獲れるスキル見せてもらおう。倒したはいいけど、出口が分からないな。
「あっ、私わかると思う! 来た道覚えてる!」
おお。
なら話が早いな。 俺が前を行くから後ろから案内頼むわ。「うん! こっちだよ!」
一緒に出口へ向けて歩いていく。
なぁ、なんでこの場所に来たんだ?
「あぁ。それはね、さっきの人たちの荷物持ちで来たんだ。それぐらいしか私に出来る仕事がなくて」
なるほど。けど、持つって言っても……。
「そうなの。力がある訳じゃないしね。私が持てる荷物なんて少しなの」
だよな。
じゃあ、これからは冒険者として活躍できるな?「うん! ナイルのおかげ!」
さっきEランクって言ってたけど、ランクってどうやって上がるんだ?
「それはねぇ、倒したモンスターの数と強さで評価されるんだ。後は、依頼の達成率かな」
それなら、今後は一緒に依頼を受ければ大丈夫だな。
「そうだね! 頼りにしてる!」
モンスターの討伐はどうやって?
「この冒険者カードに記録されるの」
はぁ。なるほど。
前は討伐部位を持っていかないと行けなかったが、楽なもんだな。「前って?」
あぁ。前世のことだ。
俺、実は前世が剣聖だったんだ。「へぇ! だから強いんだ!」
まぁ、そうだな。
力を出し切れてないけどな。「あれで? どうしたら力を出し切れるの?」
まずは剣の強度がないとダメだな。
あとは、俺のこの体の強度が必要だ。「それなら、当面の目標はそれだね! 体の強化の方はスキルを探してみよう?」
あぁ。だな。
おっ? 出口じゃないか?「あっ! ホントだ! やった! 出口ー!」
その小柄な体をいっぱい使って喜びを表現している。
それを見て可愛いと。 そう思ってしまった。 そう。思ってしまったのだ。急にモジモジしだしたミリア。
どうしたんだろう? あれ?おれさっき……。「そんなぁ。可愛いだなんてぇ」
うん。たしかにそう思ってしまった。
「正直だなぁ」
この念話よ切り方知りないなぁ。
「あはは。実は切れるんだ。でも、必要? なんか不便じゃない? 別にぃ、私のことは可愛いって思ってくれていいからさぁ」
そういいながら凄くいい笑顔で微笑んでくる。
くっ……可愛い。「ふふっ。ナイルっては正直だなぁ」
もうやめてくれ。
恥ずか死ぬ。「何それ? はははっ。とりあえず、街に行こっか?」
あぁ。
コクコクと頭を動かしながら街へと進む。 ミリアからは鞘も受け取って腰に帯剣している。街への道すがらはモンスターは見かけなかった。
今日のところは見捨てて行った奴らが狩り尽くして行ったんだろうな。街に入るとめっちゃ見られている。
何をそんなに見ているんだろうかと不思議に思う。「なんか見られてるね? スケルトンをテイムする人って珍しいからかなぁ?」
珍しいのか?
「だって、言っちゃ悪いけどさ、最弱モンスターの一体だからね」
そうか。
そうだよな。 ゲームとかでも序盤で出てくるし。「ゲーム?ってなに?」
いや、説明が難しいな。
遊びみたいなもんだ。「それにスケルトンが出てくるの? 変なの」
まぁ、たしかにな。
ホントに異世界に居るなんて思わなかったし。「あらぁ? ミリアちゃん! 生きてるじゃない!」
「はい! ピンピンしてます!」
「なんか、洞窟の中でモンスターに食べられたって噂になってるよ?」
アイツらだな。
「そうなんだ……ちょっとギルドに行ってみます!」
「えぇ。ちゃんと顔を見せた方がいいわ」
ギルドへ急ぐ。
ミリアも小走りになる。 俺は体力というものが無いのだろう。いくら動いても疲れない。
俺の体って、何を動力にして動いているんだろうか。 不思議だ。ギルドの扉を勢いよく開くと中にいた冒険者とギルド職員が勢いよく振り向いた。
置いていった奴らは顔を青くしている。「な、なんでお前が!」
「どういう事ですか? ミリアさんはゴブリンに食べられてしまったと言ってましたよね? それで、死亡した事を知らせて謝礼を貰おうとしてましたよね?」
ギルド職員に問いただされ、顔を青くして奴らは震えている。
「私、生きてますよ? ピンピンしてます!」
「な、何故だ!? あの場面で最弱テイマーの貴様なんかが生きていられるはずがない!」
「ふふーん。さぁ、何故でしょうね?」
「おい! こうなったら既成事実にしちまえ!」
「「「おう!」」」
部下と思われる三人に指示を出す。
剣を抜き放ち襲いかかってきた。出た出た。
話がわからないやつはこうやって逆上するんだよな。 ミリア、スイッチだ。「ナイル。お願い」
ミリアと位置を入れ替えるように交換する。
ストロング流剣術 抜剣術
「カタカタ(皇《すめらぎ》)」横一線の剣閃が男達の衣服《・・》を切り裂いた。
「「「はっ?」」」
素っ裸にされた男達は。
そそくさとギルドを出ていった。「カタカタカタカタ」
俺は思わず笑ってしまった。
「な、なんだ!? そのスケルトンは!?」
「私のテイムモンスターのナイルよ? 強いでしょ?」
ミリアが自慢げに話す。
まぁ、この程度はな。 別に技を出すまでも無かったがな。「はっ!? ザコなスケルトンに何が出来る!? ここで消してやるわ!」
その男は背中に担いでいた斧を持ち上げるとそのまま肉薄してきた。
ストロング流剣術 柔剣術
「カタタ(朧《おぼろ》)」斧を受け流すと床に突き刺さる。
ストロング流剣術 抜剣術
「カタカタ(皇《すめらぎ》)」男はバランスを崩して尻もちをついた。
その男の右腕は手首から先が無くなっていた。「腕がぁぁぁぁ! あぁぁぁぁぁ!」
「カタカタカタカタ」
「くそぉぉぉぉ! 覚えてろよぉぉぉ!」
手と斧を抱えて去っていった。
これで懲りたか?話しているうちに日が沈んでしまったので、野宿をする事となった。そこで疑問に思ったのだが、お嬢様って野宿するのか? 御者の人とお嬢様の後ろに控えているお付の女性もいるし。どうすんだろ? 「今日はこの近辺で野営になりますけど、皆さんはどうされるんですか?」「はっ! 私共もテントを設営しまして、野営をさせていただきます!」 それに答えたのは御者の人で、テントを張るらしい。それならもう少し木々がある方に行こう。 ミリア、こっちに案内してくれ。「あっ、こちらへどうぞぉ」 ミリアが俺の後を付いてきて案内してくれる。 いい草むらと気の感じのところを見つけた。 ここにしよう。「今日は、ここで野営にしましょう! ここでなら、少し大きなテントを張っても問題ないようです!」「先程から不思議に思っていたのですが、スケルトンと意思疎通が出来ているのですか?」「はい! 普通に念話で話してます!」「はぁ。凄いですなぁ」 御者に感心されてしまった。 野営するところを少し綺麗にして布を敷いたり丸太に座ったりしながら少し落ち着いた頃。「あっ。申し遅れました。私共はアーノルド家の者でして、わたくしは執事をしております。ダンテと申します。こちらはアーノルド家、当主代理のリンス・アーノルド様で御座います」 さっきまで御者だと思ってた人は執事さんだったんだな。身の回りの世話もしながら馬車の手綱も握って大変だな。「ご紹介に預かりました。リンス・アーノルドですわ。この度は助けて頂きまして、誠に感謝致しますわ。王都に戻ったらしっかりの謝礼をするようにお父様にお願いしますわ」「助けることが出来て良かったです! 私はミリアっていいます! ちょうど荷物も載せれましたし助かります! 逆に感謝したいくらいです! ねぇ、ナイル?」 あぁ。そうだな。 本当に丁度よかったわ。「ナイルと言いますのね。なんと言ってますの?」「丁度よかったって言ってます」「本
この日も街道をミリアと念話をしながら歩いていたのだが、喧騒は急にやってきた。ガタガタガタッガタッガタガタッ 馬車の車の音が後ろから迫ってきていた。「何あれ?」 ミリアも俺も疑問に思ってみていると、上空から炎弾が飛んできていた。 あれに追われてるのか!? 厄介な!「あれって……ワイバーン!?」 小さい版のドラゴンである。細かく言うと翼の形とか顔の形とか違うんだが、まぁ、だいたい一緒。 Aランクのモンスターだ。 馬車の前に出るように陣取る。「助太刀します!」 ミリアがそう宣言すると馬車の御者が口を開いた。「すまない! 護衛を付けていたんだが、やられてしまったのだ! あれはAランクです! 無理をなさらないで一緒に逃げましょう!?」「大丈夫です。私のナイルは、守るものがいた方が強いのです!」 まぁ、そうなんだけど。『四面楚歌《しめんそか》を発動します』 世界の声が聞こえた。 俺の体が赤い炎で包まれる。「なんですか!? あれは!?」「ふふぅん。見ててください! ナイルは強いですよ!」 上空にいるワイバーンと睨み合う。 今の状態ならあそこまで跳べると思う。「グゲェェェ!」 ワイバーンは急降下して突進してきた。 真正面からやってやろう。 タイミングを見計らう。 勝負は一瞬だ。 ストロング流剣術 剛剣術 「カタタ(紫電《しでん》)」 状態を前に倒して踏み込んだ、その一瞬でワイバーンは横に真っ二つに。そのまま墜落して土埃を上げた。 剣を確認する。 うーん。大丈夫そうだな。 ワイバーン斬っても刃こぼれなしか。 優秀な剣だ。これならかなりやれそうだな。 「なっ!? 何者ですか!? あなた達!? まさか、有名なS級冒険者とかですかな!?」「あ
空が薄暗くなってきた頃。 街道を少し外れたところで視界を遮れる草むらのあるところを探す。「あそこがいいんじゃない?」 草が生い茂っているゾーンがあった。 視界を遮れる場所だ。 火を起こしたあとがある。 ここならいいかもな。「よーっしっ! 薪になる枝を探そう」 待て待て。一人で行くな。「あっ。ごめーん!」 なんか……このやり取りいい。「ん?」 いや、なんでもない。行こう。「うん!」 枝をその辺から集めてきて石も探してきた。 石でコンロを作り出して枝をピラミッド型に積み上げる。 火をどうつけるかだが、それは魔法が出来れば一番いいんだが。そうもいかない。魔道具のライターに近いものを使ってつける。 魔法陣が描いてあり魔力を流す事で炎が出てくるのだ。便利なんだよなぁ。 パチパチと枝が音を鳴らしながら俺たちを照らしてくれている。ほのかに温かく、ユラユラ揺れる様は俺達の心を癒してくれる。 ボーッとしばらく眺めていると、ハッと気付いた。飯作んないと。 買ってきていたフライパンを作ったコンロの上に乗せる。 熱がフライパンにつたわり、すぐに熱くなった。肉を投入する。ジュージューと香ばしい香りを漂わせながら美味しそうなキツネ色になっていく。「わぁ。いい匂い!」 調味料もなかったのだが、今回は金があったから買ってきたのだ。塩をかける。それだけでどれほど美味しいことか。 はい。どうぞ。 フライパンから皿に肉をのせる。 ミリアの口からはジュルリと言う音が聞こえる。 行儀が悪いよ? ミリア?「エヘヘッ。ごめーん!」 まぁ。許すけど。 ミリアは肉にかぶりついた。 買ってきた肉だからホーンラビットの肉かな? 引き締まってて美味しいらしい。 美味しそうだなぁとは思うのだが、不
出立の準備を終えた俺達はギルドにその事を報告しに来ていた。「アンさん、私達この街を出て王都を目指すことにしました! 竜の鱗を加工できる職人を探すつもりです!」「そうなのねぇ。寂しくなるわぁ。あっ! ギルドカード貸してくれる? この前、盗賊の懸賞金払うの忘れてたのよ。ごめんね?」「えっ? 懸賞金?」「そう。賞金首だったみたいよ? 倒した盗賊。凄いわねぇ」 えっ? アイツら賞金首だったの? あんなに呆気なかったのにな。「すみません。知らなかったです」「いいのよ。こっちの落ち度だから。盗賊団に金貨五十枚だったのよ。ちょっとまっててね」 そういうとアンさんは奥に消えていった。 五十枚? 大金だな! やったな! ミリア!「これで……食事は外食しても大丈夫だし。遠出前に食料を買っておこう。一々狩った肉を食べなくてもいいなんて……幸せ」 ミリアの目から小さな雫が頬をつたった。 そんなに嬉しいか。 肉もいいじゃないか。 俺食えないけど。骨だから。「お待たせ。はい! 金貨五十枚ねぇ」「ありがとうございます! はい。ナイル」 そのまま俺に袋を渡してくる。 おられが持っていた方が安全だということだろうが。良いのかそれで?「じゃあ、私たちは行きます!」「うん! 気が向いたら戻ってきてよ?」「……はい。気が向いたら」 ミリアは曖昧に微笑むとカウンターに背を向けて出口に向かった。「おい! テイマー」 ガッチリとした冒険者に行く手を阻まれる。 はぁ。まだ俺達に手を出そうって言う奴がいるのか。学習能力がないこったなぁ。 剣を構えようと────「ありがとう! この街を救ってくれて! そっちのスケルトンも!」「「「ありがとう!」」」 前にいた冒険者達皆が頭を下げた。 これまでの分の謝
扉を開けた先には、大勢の人とステージには宝石の数々が並んでいた。 ステージの宝石に対して客が値段を提示している。そうして、値段がドンドンとつり上がっていく。 客席側からはステージを通らない限り、裏へは行けない構造みたいだ。 どうする?「もう、あそこに乗り込んじゃおっか?」 ボソッとミリアがそう言った。 確かにな。外の騒ぎにも気づいていないようだし、騒ぎを起こしても問題ないだろう。 ミリアは、背中にしがみつくんだ。「うん!」 背中にしがみつくミリア。 骨はこういう時に便利だ。 骨に足をかけることができる。 客席に足を踏み込む。 ローブを着ているから誰が来たかは分からないだろう。そのまま客の席を駆け抜ける。そして、ステージに跳躍した。「なっ!? なんだ貴様!?」「ドラゴンの子供はどこ!?」「何故それを!?」 ステージにいた男に剣を突きつける。 少しくい込ませる。「ぐっ!」「どこ?」「ステージ脇から入った通路の一番奥の部屋だ」 そのまま切り伏せるとステージ脇に駆ける。 通路が続いている。「何者だ!? 敵襲!」 各部屋からゾロゾロと武装した人が出てきた。 これは邪魔だな。 片っ端から切り伏せる。 剣術を出すまでもない。 コイツらはただのゴロツキだ。 あの傷の奴は何処だ? 次に会ったらたたっ斬ってやるのに。 そう思っている間に奥の部屋に着いた。 ドアを斬り破る。「なん────」 そこに係として居たんだろう奴を切り倒し。 置いてあった布を被っていたものを取り、中を確認する。 赤みがかった鱗の小さなドラゴンがいた。「おぉー。このドラゴンで間違いないね」 あぁ。脱出だ。 カゴを持って出る
それは、張り込みして八日目の深夜だった。 暗くて見えないが、人が二人、会って何か話している。 少し近づいてみると、少し会話が聞こえてきた。「…………はどうした?」「けいこく…………た」「だい…………か?」「…………ない。…………のこどもは…………か?」「あぁ。…………おーくしょんで…………うる」 ん? オークション? どこでやるんだ?「じゃあ、明日」 そう言って別れた。 何処かでオークションがあるのか? 一体どこでやるんだ? 待てよ。 オークションってことは、出す側だけじゃない。落札する側の人間が居るはずだ。そいつらを探せば……。 一旦は、その場を後にする。 明日、裏通りを探っていれば人の流れで分かるはずだ。 その日宿屋に戻るとミリアと打ち合わせをしてから寝た。 次の日は街が異様な空気だった。 何故か。 街の外から来た者が数多く闊歩していたからだ。 奴らは裏に行くと何回か路地を曲がると一件の家に入っていったのだ。その家の前には屈強な男が一人。受付なのだろう。何かを見せて家に入っている。 しかし、家の規模に対して入っていく人数が多すぎる。これは、地下だな。地下オークション。それを領主が行っているのか? 何をオークションにかけるのかわからないが、ろくなものでは無いだろう。中に入れるか? あの男を倒せば異常事態だと知らせることになる。 どうすれば…… その時、空を大きな影が覆った。それだけじゃない。気付けば、街は火の海に包まれていた。 何が起きた!? 上空をみると全長十メートルはありそうなドラゴンが旋回している。飛びながら口から火を放っている。 ファイヤードラゴンの成体だろう。 よく見るとキョロキョロと街を見ている。 なにか探しているのか?「グルルゥゥゥアアアア!(私の子供をどこにやったぁ!)