婚約してから始まる恋~炎の魔女と氷の公爵様

婚約してから始まる恋~炎の魔女と氷の公爵様

last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-04
Oleh:  根上真気Baru saja diperbarui
Bahasa: Japanese
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運悪く親友の修羅場に巻き込まれて刺殺されてしまったコハクは異世界の魔女に転生する。転生後、彼女はある目的のために〔魔女の里〕へとやってきた若き公爵・クローと出会う。魔女の力を目撃したクローは、病気の弟を救うために彼女を連れ帰りたいと言う。それから二人はやむを得ず婚約を交わし〔魔女の里〕を後にする。やがてコハクの心は、黒髪の貴公子(クロー)の蒼い瞳に惹き寄せられていく。そして病の美少年(クローの弟)にも出会い、コハクの恋と運命は大きく揺れ動いていくことになるのだった。

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Bab 1

ep1 プロローグ(1)

「ちゃんと綺麗にしてるじゃん」

 日野虎白ひのこはくは友人の部屋を見回しながら感心した。

「コハクがうるさく言うからな。ちゃんと一人でもキレイにしてんだよ」

 はやてはドリンクの入ったグラスをテーブルに二つ置くと、自分も床に腰を下ろした。

「もう半年前だっけ? ハヤテが一人暮らしを始めた時はビックリしたよ。なんだかんだハヤテはまだしないと思ってたからさ。あ、飲み物ありがとう」

 虎白はグラスを口に運んだ。

「俺だって大学生の間は実家にいるつもりだったんだ」颯はテーブルに肘をついて頭を掻く。「姉貴と妹にブチ切れられたからなぁ〜」

「でも、その原因は......」

 虎白は正面に座る友人に向かって、じと〜っと怪訝けげんな視線を貼りつける。

「ああーそうだよそうだよ」颯は両手を上げて降参のポーズをとる。「原因は俺のせいだよ、俺の女遊びのせい。実家にも連れ込んでたからな。わかってるって」

 もはや開き直ったのか、颯は明るく笑った。

 そんな友人に虎白はため息を漏らすが、すでに慣れっこだった。親友はそういう男だ。

「昔からハヤテはよくモテるから、つい遊んじゃうのかもしれないけどさ......もっと女の子のことを大切にしないと、いつか自分自身に返ってくるかもよ?」

「なんだコハク、俺のこと心配してくれてんのか?」

「それは心配するよ! 実家を追い出されるくらい遊ぶって、よっぽどだよ??」

「姉貴も妹もカタイからなぁ〜」

「ハヤテが軽すぎるんだよ!」

「わかったわかった。これでも今は控えてるほうなんだから」

「でも、今度の彼女とも別れちゃったんでしょ?」

「それはあれだ、どうも合わなかったんだよな。ちょっとこう、俺には重いっていうか、真面目なんだけど思い込みが激しいタイプでさ」

「ちゃんとやさしくしてあげてた?」

「そのつもりだけど」

「ホント?」

「なんだよ、疑うのか?」

「気になっただけだよ」

 虎白は腕組みして口をとがらせる。彼は本気で友人のことを心配していた。そのうち修羅場になって刺されたりするんじゃないか? そんな想像さえ働いてしまう。

「まあ、俺も反省はしてるよ」

 わかっているのかいないのか、颯は頬を掻きながら一応の反省の色を表した。それからグラスを手に取り一口飲むと、今度は彼のほうが虎白に意味ありげな視線を向けてきた。

「なに?」と虎白。

「いや〜こうやって改めて見るとさ......」颯は虎白をしげしげと見つめて言う。「コハクの女装姿もすっかり様になったなーって。完全に男の娘ってやつだよな? いや、コハクの場合は声も高くて女声だし、もはや完全に女の子だな。しかもカワイイし」

「そ、そうかな?」

 虎白は少しモジモジした。嬉しかった。

「そのうえ料理も得意で裁縫まで得意って......おまえは古き良き大和撫子かっ!」

「やまとなでしこ!?」

「ぶっちゃけおまえなら抱ける、いや、結婚したいぐらいだわ」

「なっ!」

「でもさ」

「?」

「昔は色々あったけど」と颯は感慨深さをにじませる。「今日久しぶりにコハクに会って、コハクが自分らしくやれてるみたいで良かったよ」

「ハヤテのおかげだよ」虎白は即答する。「あの時イジメられていたボクをハヤテが助けてくれたから」

「たまたまだよ、たまたま」

 颯は遠慮するように手を横に振った。

「たまたまだったとしても、事実は事実だから」

「それは、まあそうだけど」

「あの頃は本当に色んなことが重なって塞ぎ込んでいたし......」

 コハクは遠くを見つめた。

「ちょうど親が......」と言いかけて颯は言葉を飲み込む。「悪い。あんまり思い出したくないよな」

「ううん、全然平気だよ」コハクは微笑を浮かべる。「確かに当時は親が亡くなってショックだったけどね。そのあと親戚の家に預けられることになって、最初こそは戸惑いもあったけど、本当に良くしてもらったから」

「おじさんとおばさんがイイ人で良かったよな。それに従姉の杏奈ちゃんはコハクのこと大好きだからな」

「杏奈お姉ちゃん、本当にボクのこと可愛がってくれたからね。ボクの趣味にも理解を示してくれたし、本当に特別な人だよ。でもね?」

「ん?」

「ボクが変われた最初のきっかけは、やっぱりハヤテなんだよ」

 コハクは親友に、誠実な感謝の眼差しを向けた。

「お、俺は」と颯は照れくさそうにする。「できることをやっただけだよ」

 そのまま颯がソワソワしていると、虎白は悪戯っぽくニヤリとする。

「これで女癖さえ悪くなければねぇ......」

「おっとまたそこに戻るか」

「ちゃんと一途だったら、ボクもお嫁さんに立候補しようか、なーんてね」

「おいおいマジか」

「女遊び、やめられる?」

「無理だね」颯は謎のドヤ顔を決める。「それは俺の人間としての幅ってやつだからな」

「幅にも限度があるんじゃない?」

 二人はじ〜っと見つめ合うと、どちらともなくプッと吹き出した。

 親友二人の楽しそうな笑い声が部屋に響く。なんの変哲もない、平凡だけど幸福な時間。

 彼らは平凡な幸福に満たされていた。それが間もなく見るも無惨に破壊されてしまうことも知らずに......。

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ep1 プロローグ(1)
「ちゃんと綺麗にしてるじゃん」 日野虎白は友人の部屋を見回しながら感心した。「コハクがうるさく言うからな。ちゃんと一人でもキレイにしてんだよ」 颯はドリンクの入ったグラスをテーブルに二つ置くと、自分も床に腰を下ろした。「もう半年前だっけ? ハヤテが一人暮らしを始めた時はビックリしたよ。なんだかんだハヤテはまだしないと思ってたからさ。あ、飲み物ありがとう」 虎白はグラスを口に運んだ。「俺だって大学生の間は実家にいるつもりだったんだ」颯はテーブルに肘をついて頭を掻く。「姉貴と妹にブチ切れられたからなぁ〜」「でも、その原因は......」 虎白は正面に座る友人に向かって、じと〜っと怪訝な視線を貼りつける。「ああーそうだよそうだよ」颯は両手を上げて降参のポーズをとる。「原因は俺のせいだよ、俺の女遊びのせい。実家にも連れ込んでたからな。わかってるって」 もはや開き直ったのか、颯は明るく笑った。 そんな友人に虎白はため息を漏らすが、すでに慣れっこだった。親友はそういう男だ。「昔からハヤテはよくモテるから、つい遊んじゃうのかもしれないけどさ......もっと女の子のことを大切にしないと、いつか自分自身に返ってくるかもよ?」「なんだコハク、俺のこと心配してくれてんのか?」「それは心配するよ! 実家を追い出されるくらい遊ぶって、よっぽどだよ??」「姉貴も妹もカタイからなぁ〜」「ハヤテが軽すぎるんだよ!」「わかったわかった。これでも今は控えてるほうなんだから」「でも、今度の彼女とも別れちゃったんでしょ?」「それはあれだ、どうも合わなかったんだよな。ちょっとこう、俺には重いっていうか、真面目なんだけど思い込みが激しいタイプでさ」「ちゃんとやさしくしてあげてた?」「そのつもりだけど」「ホント?」「なんだよ、疑うのか?」「気になっただけだよ」 虎白は腕組みして口を尖らせる。彼は本気で友人のことを心配していた。そのうち修羅場になって刺されたりするんじゃないか? そんな想像さえ働いてしまう。「まあ、俺も反省はしてるよ」 わかっているのかいないのか、颯は頬を掻きながら一応の反省の色を表した。それからグラスを手に取り一口飲むと、今度は彼のほうが虎白に意味ありげな視線を向けてきた。「なに?」と虎
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ep2 プロローグ(2)
 ガチャッ 二人が談笑しているところへ、いきなり水を差すように部屋のドアが開いた。二人は驚いてそちらへ振り向く。「ど、どうしたんだ?」と颯が突然の来訪者へ向かって尋ねた。どうやら彼の知り合いのようだ。「ひょっとして......」虎白は勘づく。「ハヤテの元カノ?」 虎白の言葉は颯へ囁いたものだったが、女が反応する。「私はハヤテの彼女。てゆーかコイツがアンタの浮気相手??」 女は颯を睨みつけた。「ちょっと待て」颯が立ち上がる。「リコとは昨日別れたよな? いやその前になんでここに入って来ることができたんだ?」「これよ」女はキーを手に持って見せた。「スペアを作っておいたの」「い、いつの間に!?」「もちろんハヤテに気づかれないようにだけど」「お、おまえ、それ、悪質なストーカーと同じだろ......」「はあ!?」女はキーを思いきり颯に向かって投げつけた。「加害者のクセしてなに被害者ヅラしてんのよ! このクズ男!!」「お、おい、近所迷惑になるから騒ぐなって」「もう浮気はしないって約束したわよね!?」「あれからはもう女遊びはしてないって昨日も言っただろ?」「浮気がバレる前に私のことを捨てたってだけでしょ!」「違うっての!」「じゃあその女は誰よ!?」女が虎白を指さした。「ぼ、ボク??」虎白は仰天する。「待て待てコイツは男だよ」颯はうんざりしたように溜息をつく。「被害妄想もいい加減にしてくれ」「ひがいもうそう? 今アンタ、被害妄想って言った??」 ただでさえ激怒していた女の怒りのボルテージが俄然急上昇する。どうやら触れるべきでないスイッチを押してしまったようだ。「だから落ち着けって」と颯がなだめようとするが、手遅れだった。「私が今までどれだけ辛くて苦しい思いをしていたかわかる!? それがすべて私の被害妄想のせいだって言うの!?」「そ、そこまでは言ってないだろ」「いいや、あなたは思ってる! 私が傷つくことなんてどうでもいいと思ってる!」「そんなこと思ってないって! そうやって勝手に思い込むのはやめろ!」「思い込み??」「思い込んでるだろ。そもそもコイツは男だし」 颯は虎白の肩に手を置いた。「そ、そうです!」何か言わなきゃと虎白も声を吐いた。「ボクとハヤテは同性の友達です!」「ああ、そういうことなのね......
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ep3 目覚め
  【1】「ど、どうしよう、このまま閉じ込められたままだったら......」 がっくりと膝をついた。もう何時間経ったのだろう。閉ざされた薄暗い部屋で目が覚めてから。時計もなければ窓もないので昼夜もわからない。ただただ途方もなく感じる。「やっぱりこれって、閉じ込められているとしか考えられないよね。でも......」 中央に寝台があるのみの閑散としている部屋は、妙に広い。おまけに天井がやけに高い。牢獄というには些か様相が異なる。目立った汚れや埃も見当たらず、まるで掃除が行き届いているかのように思える。「ここはどこで、ボクはいったい何者なんだろう......」 改めて確かめるように自らの身体を触り、長い髪の毛を撫でた。確かに女の肉体だ。「まさか女装していたボクが、本物の女の子に生まれ変わってしまうなんて......」 それが自分にとって喜ばしいことなのかどうかはわからない。というより、そのことについてどうこう考える余裕がなかった。今はとにかくこの状況を何とかしなければならない。「い、いったん整理しよう」 寝台に腰かけて深呼吸する。そして目覚めてから今に至るまでに理解したことを確認する。「まず......ボクは生まれ変わった。あの時、刺されて死んだはずだったボクが。謎の女の子に生まれ変わってしまった。にわかに信じがたいけど。しかもボクには生まれ変わる以前の記憶がしっかりと残っている。火野虎白の記憶が」 荒唐無稽すぎる話だ。しかし、何度も繰り返し考えてみても、そうとしか思えなかった。自分で自分の頭は大丈夫かと疑ってしまうが、時間が経つにつれて現実感は増すばかりだ。 直感的な確信もある。転生したという確信。理由はわからない。だが、魂のレベルでそう感じさせる何かがあった。 目覚めてから数時間は経ったであろう今では、冷静さも取り戻している。「普通、生まれ変わるんなら、赤ちゃんから始まるんじゃないのかな......」 冷静になった分、ますます疑問も尽きない。それでも今は、わかることだけで何とかするしかなかった。 彼女は頭を切り替える。「結局、今のボクにハッキリとわかるのは、前世の記憶を持ったままで謎の女の子に生まれ変わり、部屋から出られない、ということだけか......つまり、ほとんど何もわからないのと一緒ということ」 フーッと大きく吐息をつく
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