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第218話

Author: 雪吹(ふぶき)ルリ
月はすぐに足を止めた。「真夕、佳子、偶然だね。ここで出会えるなんて」

真夕と佳子は月に近づこうとした。

しかし、月のボディーガードたちが立ちはだかった。「止まりなさい!」

月は手を振って笑った。「大丈夫よ、同級生なんだから」

ボディーガードたちは道を開け、真夕と佳子はようやく月の前に立てた。

「月、本当に大スターになったの?」佳子は月を見つめながら言った。

月は眉を上げた。「そうよ。彼氏ができてね、その彼が私をスターにしてくれたの」

「彼氏?月、付き合ってる人いるの?そんな話、聞いたことなかったけど」

月は甘い笑みを浮かべた。「ハンサムでお金持ちで、私のことすっごく大事にしてくれてるの」

そう言いながら、月は一歩近づいて真夕の手をそっと握った。「今の私、すごく幸せなの。私と彼の幸せを、真夕もきっと祝福してくれるよね?」

真夕は澄んだ瞳で月の顔を静かに見つめた。「月、おめでとう」

「真夕、ありがとう。それじゃあ、また今度会おうね」

月はそう言い残し、ボディーガードたちを連れてその場を去っていった。

佳子は驚いたように言った。「あの彼氏って一体誰なんだろう。こんなことまでできる彼氏なんて、浜島市にはそんなに多くないよ」

浜島市は大きくもなく、小さくもない都市で、富豪たちの世界の大物も限られている。月にこれほどのリソースを注ぎ込んで支援できる人物なんて、そう多くはいない。

真夕は月の消えていく姿を見つめながら、「さあね」と答えた。

「私はね、月は恋愛してるって感じじゃないの。まるでパパ活してるみたい。そのパパっていったい誰なんだろう?」

真夕はもう一度、月が消えていった方向を見てから、佳子の手を取った。「どうであれ、月はもう自分の欲しいものを手に入れたもん。お腹すいちゃったし、晩ごはん食べに行こう?」

「うん」

一方、月は人々を引き連れて廊下を歩いていた。隣にいたマネージャーの吉田さんが言った。「月、明日の朝九時は『ELLA』の雑誌撮影よ」

『ELLA』?

月は何かを思い出した。「『ELLA』雑誌の副編集長って、鈴木幸子って人だっけ?」

吉田さんは頷いた。「そうよ」

月は微笑んだ。幸子は真夕の一番の親友だったことを彼女は覚えている。

「ええ、明日は時間通りに行くわ」

どうやら、明日は面白いことになりそうね。

翌日。

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